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融資マニュアル

決算書で気をつける事?(2.各項目について)

「決算書作成する為の注意すべき点は・・・?」

「金融機関の担当者が決算書をチェックする点とは・・・?」

金融機関の担当者が決算書をチェックする点ですが、企業格付けの為に金融機関の本社に決算書を送ったりして、企業毎の決算内容を様々に指標から分析します。
そこで、ここでは、決算書の勘定科目でチェックしておかなければならないポイントを検討しておきます。

 

 

1、現金勘定は適正か?

現金勘定は適正か・・・?

これの意味することは、通常は、現金勘定が多いことを意味します。
使途不明金や、損金にできない経費を、現金勘定として表示しているケースです。

分かり易いケースとして
①普通預金から現金で払い出し、接待交際費として支払った。
②その接待交際費支払い時に領収書を貰わなかった。

この場合、
①普通預金はマイナス
②しかし、費用は計上されていない
③結果として、費用分が現金勘定として残ってしまっている。

決算書では
「(費用が計上されていない=経費過小計上)→利益の過大計上→決算書(特に利益)を良く見せようとしているのではないかと疑われる。」
となります。

これは、企業の業種によって現金残高の中身は様々ですので一概には言えませんが、通常は現金が残っているというのは、危険ですし、そもそも金融機関と取引しているにも関わらず多額の現金が残っているというのは、怪しいものです。

その為、現金勘定が過度に多い場合等は、金融機関や保証協会からその理由を聞かれますので、注意が必要となります。

また過度に現金勘定が多いことは、決算書自体の信頼性を損なうことになります。

2、売掛金勘定は適正か?

売上を多く見せるためや、利益を確保する為に売掛金を過度に計上する事があります。

企業の月商や取引条件から乖離し売掛金(売上の増加)を計上することは、金融機関や信用保証協会から推測されてしまいます。

例えば、決算期日が3月末であれば、

税務署への報告期限は5月末まで、

金融機関への決算書の提出は一般的には、6月初旬頃(決算を税務署への申告以降となる為)

となります。

決算報告書の金融機関への提出時には、

3月締、4月入金の売掛金(月末締め翌月末入金)や、3月締、5月入金の売掛金(月末締め翌々月末入金)は、売掛金の内容や本当に決算書の売掛金の内訳科目が入金されているのかは、通帳を金融機関から求められると分かってしまいます。

そのため、多額に売掛金を計上するなどして、適正な売掛金を計上していないと、金融機関や信用保証協会は怪しいと考え、経営者に対し売掛金の内容について質問を行い、結果、企業から売掛金の内容について明確な回答が出来ない場合は、「過大に売掛金を計上し、売上や利益を操作したのでは・・・」となり、融資自体が難しという恐れがあるので、十分な注意が必要です。

3、棚卸資産が過大に計上されていないか?

一般的に、棚卸資産の過大計上というのは、本来は売上原価等として当期の事業年度に計上しなければならない費用を、材料勘定や仕掛品勘定等の棚卸資産として貸借対照表の資産勘定に振替え、その分だけ、利益を大きく計上するということです。

同様に、建設会社や建築会社では、本来は当期の事業年度に計上すべき費用であるにも関わらず、材料費や経費の一部を未成工事支出金勘定等に振替え、その分だけ、利益を大きく計上するということです。

また、ソフトウエア仮勘定やソフトウエア勘定等も同様、本来は当期の事業年度に費用として計上すべき費用項目をソフトウエア仮勘定やソフトウエア勘定等の資産勘定に振替、その分だけ、利益を大きく計上するということです。

特に、ソフトウエア仮勘定のままであれば、取り敢えずは、未完成という事で償却もしないで良いので、利益を更に大きく計上することが可能となるため、金融機関の担当者や信用保証協会では、「ソフトウエアがいつ完成するのか?」「ソフトウエアの開発進捗状況は?」等と質問をしてくるケースがありますので注意が必要です。

4、仮払金勘定が計上されていないか?

仮払金勘定は本来費用で計上すべき勘定を未処理や計上せず、その分だけ、利益を大きく計上することになります。

また、仮払金は決算書上では、残しておくべき勘定ではありません。

あくまでも、「仮」に支払っているためになります。

そのため、決算書上で仮払金勘定が残っていると、金融機関の担当者や保証協会の担当者は、その内容の確認を求めてきますので、注意が必要です。

5、貸付金勘定が計上されていないか?

貸付金勘定が決算で残ることは、決算書を作成するうえで、最も避けるべき勘定科目です。

これは、本来事業で使用されるべき資金が、貸付金として、社外に流出している事になるからです。

貸付金勘定が残っていると、金融機関としては、融資を実行しても「融資金は事業の為に活用するべき資金であるものの、貸付金勘定があるということは、本当にこの融資金を事業に活用してくれるのか?」と疑いをもってしまうからです。

そのため、決算書上で貸付金勘定が残っていると、金融機関の担当者や保証協会の担当者は、その貸付金の内容や貸付金がどのように回収されるのかの確認を求めてきますので、注意が必要です。

6、減価償却費が適正に計上されているか?

減価償却費の未計上は、費用を計上していない事となり、その分だけ、利益を大きく計上することになります。
本来、減価償却は法定耐用年数で、毎期実施することが求められています。

しかしながら、本来計上しなければならない減価償却が未実施の場合には未償却残高が残ってしまいます。

これは、決算書の固定資産税台帳等で簡単に分かってしまいますので注意が必要です。

7、未払金の勘定科目の内訳で社会保険料などの勘定科目がないか?

未払金の勘定科目の内訳で、過年度の社会保険料が残っている場合には、注意が必要です。

これは、社会保険料の納付が遅れているという事になり、本来支払われるべきものが支払われていないという事で、企業の資金繰りが厳しいのではという事になります。

また、未払金となる事で、本来は法定福利費として費用として計上しなければならない勘定を計上していない事となり、その分だけ、利益を大きく計上することになります。

8、別表に、税金等の延滞利息が計上されていないか

別表に税金等の延滞利息が計上されている事がままあります。

決算書の内容を詳細に確認する金融機関の審査担当者が確認をしたい内容となります。

これは、税金等の支払いを期日通りに行っていないという事で

  • 会社内部体制(経理体制)は、どうなっているのか?
  • 税金の支払いを遅れて支払っている=資金繰りが厳しい

という認識を金融機関が持ってしまう恐れがあるので注意が必要です。

9、まとめ

今回ご紹介したのは、「決算書作成する為の注意すべき点は・・・?」ですが、本来は日々の経理を適正に行い決算書を作成すれば良い話です。

しかし、いざ決算書を作成してみると、

「赤字になりそうだ・・・どうしよう」

「黒字で無いと融資が厳しくなる・・・どうしよう」

という事があります。

この場合、経営者にとれば、決算書を作成するという趣旨を取り違え、兎に角、何とか体裁を整えようと考えるものです。

その為、ここでは、「金融機関の担当者が決算書をチェックする点とは・・・?」という前提で記載していますが、日々の経理を正確に行い、事業運営の黒字化を目指せば、このような注意は必要ではないはずとなります。

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