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「将来のため」がアダになる?融資審査で銀行員があなたの『事業目的』をどう見ているか、裏側を解説

会社設立時、「将来のために気になる事業目的は念のために入れておこう!」と思い定款に多くの目的を記載していませんか?
実はその「念のため」が、融資審査であなたの足を引っ張る原因になりかねません。
この記事を読めば銀行が事業目的をどう見ているかが分かり、融資で不利にならない戦略的な事業目的の決め方が身につきます。

1.なぜ会社設立時の「事業目的」が融資審査でこれほど重要なのか?

「定款の事業目的など、ただの形式だろう」そう思っている経営者の方が非常に多いのですが、それは大きな誤解です。
銀行員は融資審査の際、決算書や事業計画書と同じくらい、この「事業目的」を見ています。

2.銀行が「事業目的」を見る本当の理由

銀行員が見ているのは、単なる記載内容ではありません。
その裏側にある「経営者の本気度」と「事業の明確性」です。

事業目的の欄に、本業とは関連性の薄い事業がいくつも並んでいるとこう考えます。
「この経営者は、結局何が一番やりたいのだろうか?」
「建設業や古物商が目的になっているが許認可が必要なことが分かっているのか?」
「軸が定まっておらず、計画性がないのかもしれない」
「もしかしたら、本業がうまくいかなかった時の逃げ道を最初から考えているのでは?」

厳しいようですが、これが審査の現場の本音です。
融資とは、あなたの会社の「未来」に投資すること。
その未来像が曖昧であれば、安心して資金を託すことはできないのです。

3.融資でNGに!やってはいけない「事業目的」3つの典型パターン

事業目的が原因で審査に影響が出たケースは数えきれません。特に、以下の3つのパターンは致命傷になりかねないので避けてください。

パターン1:事業計画と無関係な「数撃てば当たる」型

「将来やるかもしれないから」と、Web制作会社が「飲食店の経営」「不動産賃貸業」「古物商」などを入れてしまうケースです。
一見すると将来の多角化を見据えているようですが、事業計画書に具体的なプランがなければ、ただのノイズでしかありません。
特に創業融資や追加融資で「主力事業の拡大」を目的とする場合、関連性のない事業目的は「資金使途が不明瞭」と判断されるリスクをはらみます。

パターン2:信用保証協会の対象外となるアウト型

これは特に注意が必要です。
信用保証協会の保証付き融資を検討している場合、定款に下記の事業目的が記載されているだけでNGとなる可能性があります。

①農林・漁業
②遊興娯楽業のうち風俗関連営業
③金融・保険業
④宗教・政治・経済・文化団体

たとえ「実際にはやっていません」「現状、予定はありませんが・・・」と説明しても、定款に記載がある以上、保証協会の審査テーブルにすら乗らないケースがあるのです。
「興味があるから」という安易な理由でこれらの目的を入れるのは避けてください。

パターン3:許認可の計画がない「見切り発車」型

「建設業」「宅地建物取引業」「人材派遣業」など、許認可が必要な事業も注意が必要です。
事業計画にないのにこれらの目的が入っていると、面談で必ずこう質問されます。
「この事業の許認可はいつ取得予定ですか?」
ここで明確な計画を答えられないと「事業計画の具体性に欠ける」とマイナス評価に繋がります。
銀行は「計画なき事業目的」を嫌うのです。

4.【事例で学ぶ】事業目的で明暗が分かれた融資審査のリアル

言葉だけでは分かりにくいかもしれませんので企業の事例をいくつかご紹介します。

【成功事例①】創業融資:事業内容に絞り込み満額回答を得たITサービス業A社
企業概要 年商目標3,000万円のITサービス業(創業期)
融資希望額 500万円(日本政策金融公庫・創業融資)
【事業目的】 1. Webサイトの企画、制作及び運営
2. 企業のIT導入に関するコンサルティング業務
3. 前各号に附帯または関連する一切の業務
審査結果 満額融資成功
評価されたポイント 事業目的が事業計画書の内容と完全に一致しており非常にシンプルでした。「何で食べていく会社なのか」が一目瞭然で、経営者の強い意志と事業への集中力が感じられました。稟議書にも「事業内容が明確であり、計画の実現性が高い」と記載し易いです。
【成功事例②】追加融資:計画的な事業目的の追加で成長資金を調達した飲食店B社
企業概要 年商6,000万円のイタリアンレストラン
融資希望額 1,000万円(信用保証協会付き融資)
【事業目的】(変更後) 1.飲食店の経営
2.食料品の製造、加工及び販売(←追加)
3.インターネットを利用した通信販売業務(←追加)
4.前各号に附帯または関連する一切の業務
審査結果 希望額通り融資成功
評価されたポイント B社は創業時、「飲食店の経営」に目的を絞っていました。3年経営し、新たにデリバリーと通販事業を始めるにあたり、事業計画の策定と同時に定款の事業目的を変更・追加しました。この「計画性」と「行動」がセットになっていたことが評価され、ECサイト構築と運転資金としての追加融資をスムーズに実行できました。
【失敗事例】本業との関連性を疑われ否決されたWeb制作会社C社
企業概要 年商5,000万円のWeb制作会社
融資希望額 800万円(運転資金)
【事業目的】 Web制作、アプリ開発のほか、「不動産投資」「有価証券への投資」「海外事業への融資」など15項目を記載。
2. 企業のIT導入に関するコンサルティング業務
3. 前各号に附帯または関連する一切の業務
審査結果 融資否決
問題視されたポイント 本業の業績は悪くなかったものの、あまりに多くの「投資」に関する事業目的が記載されていたため「本業で得た資金を投機目的で流用するのではないか」という疑念を払拭できませんでした。経営者は「あくまで将来的な可能性」と説明しましたが、融資した資金が本業に使われる確証が持てないと判断され、残念ながらお見送りとなりました。

5.融資申込前に必ず確認!事業目的セルフチェックリスト

あなたの会社の定款は大丈夫ですか?融資を申し込む前にこのリストで確認してください。

チェック項目 □ YES □ NO
主力事業と関連性の薄い目的が複数入っていないか?
信用保証協会の対象外業種(風俗・金融等)が含まれていないか?
許認可が必要な目的について、具体的な取得計画があるか?
「投資」「資産運用」など投機的と見られかねない目的が入っていないか?
事業計画書に書かれている事業と、定款の事業目的に矛盾はないか?
最終項目に「前各号に附帯または関連する一切の業務」の一文が入っているか?

※一つでも「YES」にチェックが入った項目があれば、専門家への相談を検討してください。

6.面談で「事業目的」について質問されたらこう答えろ!

もし面談で事業目的について質問されても、慌てる必要はありません。正直に、かつ計画性を示して回答することが重要です。

Q1.「定款を拝見しますと、事業目的がかなり多いようですが、これはなぜですか?」

A1(回答例)
「はい。会社設立時に、顧問の専門家から将来の事業展開を考えて、可能性のあるものは幅広く入れておくようアドバイスを受け、そのまま記載しております。しかし、当面は『〇〇事業』に経営資源を集中する計画です。その他の事業については現時点で具体的な計画はございません。」

【ポイント】設立時の経緯を正直に話しつつ「今、何に集中するのか」を明確に言い切ることが大切です。

Q2.「こちらに『建設業』とありますが、許認可の取得予定はございますか?」

A2(回答例)
「将来的に取引先からご要望があった際に対応できるよう記載したものですが、許認可の取得は現時点では計画しておりません。まずは現在の主力事業である〇〇で基盤を固めることを最優先に考えており、今回お借り入れする資金も全て〇〇事業の運転資金(または設備資金)に充当いたします。」

【ポイント】計画がないことを正直に認めた上で融資資金の使い道が本業に限定されることを明確に伝え、銀行を安心させましょう。

7.もし事業目的が原因で融資NGになったら?再挑戦の道筋

万が一、事業目的がネックで融資を断られてしまったとしても、道が完全に閉ざされたわけではありません。
正しい手順を踏めば再挑戦は可能です。

まず知っておいてほしいのは、一度否決されると、その理由は銀行の内部システムに記録として残るということです。
「担当者の個人的な判断」ではなく「組織としての判断履歴」になります。

したがって次に申し込む際は、否決理由を完全に解消していることが絶対条件です。

(1)事業目的の変更登記:問題となった事業目的を定款から削除するための法務局への変更登記手続きを行います。(司法書士に依頼するのが一般的です)
(2)事業計画の再構築:変更後の事業目的に沿って事業計画書をより具体的に説得力のあるものにブラッシュアップします。
(3)銀行への説明と再申込:否決された銀行に再挑戦する場合、前回の担当者に「ご指摘いただいた事業目的をこのように変更いたしました」と改善したことを明確に伝えた上で申し込みます。これにより、「指摘を真摯に受け止め、改善する経営者だ」という誠実な姿勢を示すことができます。

一度失敗すると自信を失う気持ちは痛いほど分かります。しかし、ここで諦めずに改善策を講じることが、経営者としての信頼を高めることにも繋がるのです。

8.まとめ:融資を勝ち取るための戦略的「事業目的」5つの鉄則

最後に、この記事の要点をまとめます。融資に強い会社を作るため、この5つの鉄則を心に刻んでください。

(1)事業目的は「選択と集中」。あれもこれもと欲張らず魂を込める事業に絞り込む。
(2)事業計画書と定款は「一対」で考える。目的と計画に一貫性を持たせる。
(3)信用保証協会の対象外業種は絶対に避ける。融資の選択肢を自ら狭めない。
(4)許認可事業は「計画」とセットで。計画がないなら、安易に記載しない。
(5)「前各号に附帯関連する業務」の一文を保険として活用する。これがあれば、ある程度の事業拡大はカバーできる。

9.次へのアクションプラン

この記事を読んで「うちの会社、もしかして…」と不安になった経営者の方もいるかもしれません。でも、気づけた今がチャンスです。早速、今日から行動に移しましょう。

(1)自社の定款(または登記簿謄本)を取り寄せ、現在の事業目的を再確認する。
(2)最新の事業計画書と事業目的を見比べ矛盾や乖離がないかチェックする。
(3)もし懸念点があれば、融資申込前に必ず顧問税理士や専門家に相談する。

事業目的は、あなたの会社の「顔」であり「羅針盤」です。
設立時に何気なく決めたその一文が、数年後の会社の成長を左右することもあります。
ぜひこの機会に、自社の事業目的を戦略的に見直してみてください。







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