2.融資を申し込む前に注意するポイント(事業目的)
融資を確実に獲得するためには登記段階から戦略性を持って登記することが必要となります。
登記の際に具体的に注意すべき箇所は、
1、本店所在地
2、事業目的
3、資本金
4、役員の登記
5、個人情報・設立登記に関する事項
です。
ここでは、会社設立登記の「事業目的」についての注意点などを記載します。
この記事に関する目次
1.会社設立時の「事業目的」設定に注意すべきこと
(1)事業目的の項目は将来を見据えた選択を!
会社設立登記の手続きの中で、「事業目的」の決定は、将来の事業展開に大きな影響を与える重要な要素です。
設立時は、様々な可能性を考慮して、つい多くの事業目的を盛り込みたくなるかもしれません。「司法書士や行政書士、税理士から、『将来の事業の可能性を考え、多くの目的事項を入れておくべきだ。費用は変わらないので。』と勧められた」という経験談も耳にするでしょう。
確かに、会社は定款に記載された事業目的の範囲内でしか事業活動を行うことができません。将来性を考慮し、可能な範囲で事業目的を広く設定しておくことは、一見合理的にも思えます。
しかし、安易に事業目的を増やすことは、後々、予期せぬ弊害をもたらす可能性もはらんでいるのです。
2.事業目的を広げすぎた場合生じるリスク
(1)事業目的の数(多ければ良いというものではない!)
「将来行う可能性のある事業も記載しておくべき」というアドバイスは一理あります。しかし、「前各号に附帯または関連する一切の業務」という文言を記載しておけば、既存の事業目的に関連する新たな事業を行う場合でも、都度、目的事項を追加する必要はありません。
将来的な費用(目的事項の追加には費用が発生します)を抑えつつ、柔軟性を確保できるこの方法を、まずは検討してみましょう。
参考URL:商号・目的の変更,本店移転(法務局)
一方で、事業目的をむやみに増やすことは避けるべきです。
なぜなら、事業計画と整合性が取れない事業目的が多数記載されていると、融資の審査に悪影響を及ぼす可能性があるからです。
例えば、現状では必要ない、あるいは許認可取得が困難な事業目的を記載してしまうと、金融機関から「事業内容が不明瞭」「計画性が低い」と判断され、融資を断られてしまうケースも考えられます。
(2)事業目的の注意事項(融資の可否を左右する可能性も)
特に、信用保証協会の信用保証付き融資を検討している場合は、事業目的によっては融資自体が受けられなくなる可能性があります。
具体的には、以下の業種・形態は、信用保証協会の融資対象外となります。
* 農林・漁業
* 遊興娯楽業のうち風俗関連営業
* 金融業
* 学校法人
* 宗教法人
* 非営利団体(NPOを含む)
* LLP(有限責任事業組合)
参考URL:利用できない企業(信用保証協会)
参考URL:利用できない企業(日本政策金融公庫)
もちろん、これらの業種・形態でも、国⺠⽣活事業、農林⽔産事業など、別の融資制度の対象となる場合があります。しかし、一般的には、信用保証協会付き融資の審査は厳しくなる傾向にあります。
これらの業種・形態に関連する事業目的を安易に登記してしまうと、信用保証協会の融資を利用する道が閉ざされてしまう可能性があることを、しっかりと認識しておきましょう。
「興味があるから」「将来的に可能性があるから」という安易な理由で、安易に事業目的に入れてしまうことは大変危険です。
たとえ実際に事業を行っていなくても、事業目的として記載されているだけで、金融機関の融資担当者を悩ませることになります。
融資審査をスムーズに進めるためにも、本当に必要な事業目的に絞り込むことが重要です。
(3)許認可必要事業を目的とする時の注意事項(事業計画との整合性が重要)
宅地建物取引業、産業廃棄物の収集運搬業、建設業、人材派遣業や職業紹介事業など、許認可が必要な事業を目的とする場合は、更に注意が必要です。
これらの事業を事業目的に含めること自体は問題ありません。しかし、許認可を取得する具体的な計画がないにも関わらず、事業計画に記載してしまうと、金融機関から「許認可取得は必須」と判断され、融資対象外となってしまう可能性があります。
融資面談の際に、「将来的に事業として行う可能性があったので事業目的に入れたが、現在(初期段階)は実際に事業として行なっていない」等の説明をすることで、問題を回避できるケースも多いです。
しかし、「投資」「金融」といった事業目的は、許認可の有無に関わらず、金融機関が融資対象として厳しく判断する傾向があります。これらの事業目的を含める場合は、特に慎重な検討が必要です。
(4)事業目的が原因で融資がNGの場合(事業目的の見直しと再申請)
許認可が必要な事業目的を記載したために融資を断られた場合、一度 NG となると、次回の融資申し込みまでに一定期間を置かなければならない可能性があります。
また、一度融資を断られているという事実は、次回以降の融資審査においても、大きなマイナス要因となってしまいます。
次回以降の融資申し込み時に必ず確認されるのは、「前回、融資を断られた理由となった事業目的が削除されているか」という点です。
これは、一度 NG と判断した融資担当者の判断理由(今回のケースでは事業目的)が、社内システムにコメントとして残るためです。
一度融資を断られてしまった場合、事業目的を見直し、その内容を金融機関にしっかりと説明できる準備を整えた上で、再申請を行うようにしましょう。
3.まとめ(事業目的は慎重かつ戦略的に!)
会社設立時、多くの事業目的を記載しても、設立登記費用は変わりません。
しかし、実際には行わない事業や、許認可事業、金融・投資などを安易に記載してしまうと、金融機関からの融資を受ける際に、大きな障壁となる可能性があります。
「融資を受けたいのに、事業目的のせいで審査に通らない」という事態を避けるためにも、事業目的は慎重かつ戦略的に決定する必要があります。
将来の事業展開を見据えつつ、本当に必要な事業目的に絞り込むことが、会社設立後のスムーズな事業成長へと繋がるのです。
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