中小企業経営者のための融資対策マニュアル:融資審査突破の秘訣と再挑戦への道
中小企業にとって資金調達は経営の生命線。
しかし、融資が思うように進まず、お困りの経験はありませんか?
日本政策金融公庫、信用保証協会付き融資、金融機関のプロパー融資… いずれの融資においても、「なぜ融資が通らないのか?」その原因を特定し適切な対策を講じることが重要です。
融資を断られた際に、どのように状況を打開し、再挑戦に繋げていくのか、具体的な知識と戦略をお伝えします。
この記事に関する目次
1. 融資が通らない原因を徹底分析:創業時と創業後、それぞれの落とし穴
融資審査は、企業の将来性を評価するプロセスです。
審査担当者は、企業の「返済能力」と「成長可能性」を中心に、様々な角度から判断します。
ここでは、創業時と創業後、それぞれの段階で融資が通らない原因を詳しく見ていきましょう。
(1) 創業時の融資が通らない原因:事業計画の甘さと信用力の壁
創業融資は、実績がない分、将来性への期待で審査されます。以下の点に注意が必要です。
① 自己資金不足
自己資金は、事業への本気度を示す重要な指標です。
一般的に、希望融資額の1/3以上を目安に自己資金を用意しましょう。
自己資金が少ない場合、金融機関は「本気で創業に取り組む予定なのだろうか?」「もし事業がうまくいかなかったら、本当に返済してくれるのだろうか?」という疑念を抱きます。
② 事業計画の実現性
緻密な事業計画は、融資審査の要です。出資・投資を対象とする事業計画と融資を対象とする事業計画は異なると考えておいて良いかもしれません。
* 市場調査の不足: ターゲット顧客、競合、市場規模などを具体的に分析し客観的なデータに基づいた計画を作成しましょう。「これまでの経験からいけると思った」のような曖昧な根拠はNGです。
* 売上予測の甘さ:売上目標は、根拠となるデータ(客単価、顧客数、リピート率など)を明確に示しましょう。過剰な売上予測は審査担当者に「絵空事」と思われてしまいます。
* 収支計画の矛盾:経費の算出根拠(人件費、家賃、仕入れ費用など)を明確にし、売上高との整合性を確認しましょう。例えば、売上が少ないのに人件費が高すぎる場合、計画に無理があると判断されます。
③ 個人の信用情報
経営者の信用情報は、企業の信用力に直結します。
* クレジットカードやローンの支払い遅延:過去の支払い遅延は金融機関の信用情報機関に記録されます。日頃から、支払いをきちんと行うように心がけましょう。
※【注意】携帯電話・スマホの端末代金を分割払いにした場合、これは一種のローン契約とみなされます。
したがって、支払いの遅延は信用情報機関(CIC、JICCなど)に記録される可能性があります。
金融機関の審査基準: 金融機関は、融資審査の際に必ず個人の信用情報を確認します。
携帯電話・スマホの支払遅延の履歴は、金融機関にとって「期日管理能力の欠如」を示すサインと見なされます。
つまり、「少額の支払いすらきちんとできない人が、高額な融資をきちんと返済できるのだろうか?」という疑念を持たれてしまいます。
* 債務整理や自己破産の経験:債務整理や自己破産は原則として5~10年間、信用情報機関に記録されます。これらの情報がある場合、融資は非常に難しくなります。
* 税金や社会保険料の未納:税金や社会保険料の滞納は融資審査において致命的なマイナス評価となります。必ず期日内に納付しましょう。
④ 経営者の適格性
経験やスキル、人柄なども評価されます。
* 事業経験の不足:創業する事業に関する知識や経験が不足している場合、事業の成功確率が低いと判断されます。
* 経営理念の不明確さ:経営理念は事業の方向性を示す羅針盤です。明確な経営理念を持ち熱意をもって説明しましょう。
* コミュニケーション能力の欠如:金融機関の担当者とのコミュニケーションが円滑でない場合事業に対する理解が得られにくくなります。
(2) 創業後の融資が通らない原因:財務状況の悪化と経営課題の表面化
創業後の融資は、実績に基づいた審査となります。以下の点に注意が必要です。
① 業績不振
赤字経営が続いている場合、返済能力が低いと判断され、融資は非常に難しくなります。
* 売上不振:売上が伸び悩んでいる場合、その原因を分析し具体的な改善策を講じましょう。
* コスト高:無駄なコストがないか見直しコスト削減に努めましょう。
* 粗利率の低下:粗利率が低下している場合、仕入れ価格の見直しや販売戦略の改善を検討しましょう。
② 決算書の不備
決算書は、企業の健康状態を示す成績表です。
* 不明瞭な勘定科目(貸付金や仮払金):貸付金や仮払金は、内容を明確にし適切に処理しましょう。
* 売掛金の過大計上:売掛金の回収状況を把握し不良債権化している売掛金は早めに処理しましょう。
* 在庫の過大計上:過剰な在庫は、資金繰りを圧迫する要因となります。適切な在庫管理を行いましょう。
③ ノンバンクからの借入
ノンバンクからの借入は、資金繰りが厳しい状況を示すサインと見なされます。可能な限り、ノンバンクからの借入は避けましょう。
④ 社会保険・税金の未払い
社会保険料や税金の滞納は、企業の信用を著しく損ないます。必ず期日内に納付しましょう。
⑤ 口座の差し押さえ
口座の差し押さえは、金融機関からの信用を著しく低下させます。日頃から、資金繰りに注意し、口座の差し押さえを未然に防ぎましょう。
2. 融資を断られた時の具体的な対応策:諦めずに再挑戦!
融資を断られたからといって、決して諦める必要はありません。状況に応じて、適切な対応策を講じることで、再挑戦の道が開けます。
(1) 日本政策金融公庫に断られた場合:事業計画の見直しと熱意のアピール
日本政策金融公庫は、創業支援に積極的な金融機関です。断られた場合は、以下の点を意識しましょう。
① 事業計画の見直し
審査担当者が事業計画のどの部分に疑問を感じたのかを丁寧にヒアリングし、事業計画をより実現可能なものに修正しましょう。特に、売上予測の根拠、資金計画の妥当性、競合との差別化戦略などを重点的に見直しましょう。
② 担当者への再考依頼
審査担当者の説明に納得がいかない場合、支店長宛に面談時の状況と申請書類一式を送付し、再審査を依頼することも有効な手段です。その際、審査をしっかりと行ってもらえなかったことへの不満だけでなく、事業への熱意と具体的な根拠を示すことが重要です。ただし、感情的な訴えは避け、冷静かつ論理的に説明しましょう。
③ 専門家への相談
税理士や中小企業診断士などの専門家からアドバイスをもらい、事業計画や財務状況を客観的に評価してもらいましょう。専門家の意見を取り入れることで、事業計画の精度を高めることができます。
(2) 信用保証協会に断られた場合:書類の精度向上と 方法の検討
信用保証協会は、中小企業の融資を支援する公的機関です。断られた場合は、以下の点を意識しましょう。
① 再申請の準備
信用保証協会は、審査において書類の内容を重視します。より詳細な事業計画書、財務資料、担保提供可能な資産に関する資料などを作成し、再申請に備えましょう。
② 専門家への相談
信用保証協会の審査基準を理解している専門家に相談し、審査に通るためのアドバイスをもらいましょう。特に、事業計画書の書き方、財務資料の作成方法、面談時の注意点などを教えてもらうと良いでしょう。
③ 諦めずに他の方法を検討
信用保証協会への融資が難しい場合、他の金融機関からの融資申込や、補助金・助成金の活用も検討しましょう。
(3) 自己資金がない場合の融資:積み立て計画と調達方法の模索
自己資金は、金融機関に返済能力と事業への熱意を示す重要な指標です。
① 自己資金の重要性
自己資金が少ないと、融資のハードルは非常に高くなります。自己資金は、事業に対する自己責任の表れであり、金融機関は自己資金の額を参考に、融資の可否を判断します。
② 最低50万円~100万円の自己資金を目標に
融資の土俵に乗るためには、最低でも50万円~100万円程度の自己資金を用意することを目指しましょう。
③ 自己資金の積み立て
普段の生活費や経費を見直し、少しずつでも自己資金を積み立てる努力をしましょう。
④ 家族や友人からの借入
親族や友人から資金を借り入れることも、自己資金を増やす手段の一つです。ただし、借入条件(金利、返済期間など)を明確にし、書面で記録しておきましょう。また、家族や友人からの借入も返済が生じることから融資審査上はマイナスとなる可能性がありますので注意が必要です。
⑤家族や友人からの出資
親族や友人から出資は自己資金を増やす手段の一つです。返済が生じることがないことより借入の場合に比べて評価がマイナスになることは少ないです。
⑤ クラウドファンディングの活用
クラウドファンディングは、インターネットを通じて、多くの人から資金を集める方法です。
3. 融資成功のために大切なこと:日頃の備えと良好な関係構築
融資を成功させるためには、日頃からの準備が不可欠です。
① 正確な情報開示
融資審査では、正確な情報を開示することが重要です。虚偽の申告は融資を断られるだけでなく、今後の融資にも悪影響を与える可能性があります。
② 誠実な対応
金融機関の担当者には、誠実な対応を心がけましょう。不誠実な態度や言動は、融資審査に悪影響を与えます。
③ 専門家との連携
税理士や中小企業診断士などの専門家と連携し、事業計画や財務状況を改善することで、融資審査に通りやすくすることができます。
④ 諦めない姿勢
一度融資を断られたからといって諦めずに、原因を分析し、改善策を講じることが大切です。
4. まとめ:融資を成長の糧に!
この記事では、融資が通らなかった時の原因と対応策について解説しました。
融資を断られた場合、まずはその原因を分析し改善策を講じることが重要です。
必要に応じて専門家の力を借りながら、再挑戦に向けた準備を進めていきましょう。
融資が通らないことは、決して終わりではありません。
この経験を糧に事業をより強く、そして成長させていくためのステップにしていきましょう。
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