新型コロナ感染症の影響による2回目以降の融資申込も成功した事例
この記事に関する目次
法人概要
事業所:東京都武蔵野市
事業内容:リネンサプライ事業
年商:約12億円
新型コロナウイルス感染症の影響前
創業30年のリネンサプライ事業会社、事業はインバウンドの好影響もあり売上、利益共に順調に推移。既存融資取引金融機関とは比較的な良好な関係を維持しているものの、過去の大幅な設備投資等もあり新規融資取引については慎重な姿勢。
新型コロナウイルス感染症の影響初期に検討したことは
【前提】
リネンサプライ事業も観光・飲食業を中心に月商約10,000万円で事業展開していたものの、新型コロナウイルス感染症の影響が直撃し、売上、利益共に激減。
【仮説】
①新型コロナウイルス感染症の収束期間を1年として想定
②売上は2020年4月~6月まで前年対比20%(80%減)
2020年7月~9月まで前年対比30%(70%減)
2020年10月~12月まで前年対比60%(40%減)
2021年1月~3月まで前年対比70%(30%減)と想定
③期間中の赤字運転資金を25,000万円として資金調達を検討
最初の緊急事態宣言状況下での調達
最初の緊急緊急事態宣言発出前には、融資の必要性を既存金融機関に予め説明。その為、緊急事態宣言発出時には新型コロナウイルス感染症特別貸付で日本政策金融公庫より8,000万円、セーフティーネット4号で8,000万円、商工中金から5,000万円、プロパー融資で5,000万円を他社に先駆け調達
緊急事態宣言~蔓延防止対策が続いている状況下での調達
新型コロナウイルス感染症の収束がみえない状況の中、更に新型コロナウイルス感染症の収束を2021年9月頃まで継続すると再検討
しかしながら、雇用調整助成金の活用により想定より資金繰りが安定していたため追加融資検討にあたっては東京都の実質3年間の無利子が10,000万円まで可能ということで、既存融資及び新規追加融資(セーフティーネット4号)で10,000万円として借換。
直近の調達
売上減少、営業利益ベースでは大幅赤字であったものの、決算にあたり来期を見据えた事業報告という形式で書類を既存金融機関に提出
既存金融機関からは、事業報告を提出、説明したこと、また、雇用調整助成金の活用により営業利益ベースでは赤字であったものの、経常利益ベースでは黒字、資金繰りも比較的安定的である事を評価され継続資金調達支援体制を確保
なお、据置期間を2年~3年としているため、返済開始を見据え既存金融機関には必要所要運転資金を算出し、借換対応になることの想定を説明していることで、既存金融機関への当社の対応依頼事項について予め理解を得ている状況を確保。
当社の支援内容(融資の成功した要因)
新型コロナウイルス感染症の影響により売上が大幅に減少する一方で経費削減方法などのリカバリープランを事業計画として作成
また、事業計画にもとづき、幾ら必要なのかを示した資金繰り表を作成
調達後も定期的に金融機関に事業進捗状況を書面にて提出
【具体的な支援内容】
①早期提出すべく融資書類の作成支援
②融資が出易くなるため、事業計画、資金繰り表を作成
③顧問税理士とリレーションを図り試算表の内容を確認
④決算時の事業報告書の作成
⑤助成金の申請支援
現在の同社の状況
依然、新型コロナウイルス感染症の収束の兆しは見えませんが、新型コロナウイルス感染症時の資金繰りの大切さ、補助金の活用、金融機関との取引体制の構築をしていることで、借入残高は増えているものの、損益分岐点を大幅に下げるなど筋肉質なリネンサプライ事業の経営になっていると思います。
最後に
融資や資金調達はロジックが必要です。
ロジックとは、簡単にいえば
①なぜ、この融資が必要なのか
②なぜ、この金額なのか
③どうすれば、返済可能なのか
を説明できることにあります。
経営者は融資に対し事前準備の時間があまりないと考えています。しかしながら、融資は頻繁に申し込むものでもなく、この1回に全力投球というのが必要になります。
ことわざでも、備えあれば患いなしというように、準備は必要です。また、口頭説明だけででは融資窓口や担当者も全てを理解していて対応しているわけではありません。