融資マニュアル
「融資取引のある金融機関に対して追加融資を申し込むのに用意できれば「なお良い資料」とは・・・?」
「既に融資取引のある金融機関に対して追加融資を申し込むのに用意できれば「なお良い資料」とは・・・?」(追加融資)
金融機関担当者から、「追加融資のニーズはないですか?」との申し出を受けたり、
逆に、金融機関に対し「追加融資を申し込みたいのですが・・・」と考えている経営者は多いと思います。
融資取引のある金融機関に対して追加融資を申し込む際に最低限必要な資料の他に、用意しておけばなお良い資料とは何でしょうか?
ここでは、既に融資取引のある金融機関に対して追加融資を申し込むのに用意できれば「なお良い資料」を検討してみます。
1、用意できれば「なお良い資料」
(1) 納税証明書
納税証明書は融資の審査過程や、そもそも融資申込の際に必要となってくる書類です。
①信用保証協会では、「納税証明書のその1」
②日本政策金融公庫では、納税した納付書の控え
③東京プラスサポート融資制度では、「納税証明書(その3の3及び法人税の納税地が都外である場合は都の事業税)」
④金融機関からは、「納税証明書のその3の3」
等、申し込む金融機関や融資制度で、様々です。。
では、金融機関の担当者から求められてから提出すれば良いのでしょうか?
できれば、融資の申し込みの際に提出して欲しいと考えています。
理由はなぜでしょうか?
「簿外に負債がない」
「税金等の滞納により資金繰りを回していない」
と金融機関担当者への安心材料ともなります。
なお、最終的には納税証明書は求められる書類なので、申し込みの際に提出できるなら提出しておこうと考えておいた方が良いと思います。
(2) 資金繰表
資金繰表は、企業にとって資金の入出金を表す書類になります。
ただ、ほとんどの中小企業にとっては、資金繰表の作成は面倒なので、融資の際に金融機関から依頼された時にしか作成していないのも事実です。
では、なぜ、金融機関は資金繰表を求めてくるのでしょうか?
決算書の損益計算書は会社の損益の事実を表示し、未来を表示する事は基本的にありません。
一方、資金繰表は、あくまで入出金の事実と入出金の未来を表現する表となります。
簡単に言えば、資金繰表とは、企業の現金収入や現金支出を各項目別に月次で記入した表になります。
現金収入と現金支出との収支差額が月次でどのようになっているのか、また収支差額がマイナスの場合には、どのように資金を調達し、収支差額を黒字にするのかを現す表のことをいいます。
そのため、資金繰表は金融機関との融資交渉において重要な書類の1つとなります。
なお、資金繰りで分かり易い表現に「黒字倒産」という言葉があります。
これは、損益計算書上では黒字の状態であるにもかかわらず、資金繰りはマイナスのため倒産してしまうことを示しています。
更に言えば、「勘定合って銭足らず」という言葉もあります。
これは、帳簿上では収支の計算が合って儲かっているはずなのに、手元の現金を数えてみると足りないことを示しています。
例え、損益が黒字でも、資金繰りのマイナスが予想される場合には、融資等を検討してもらう必要があります。
また、金融機関が融資の際に重要視するのは、資金使途と返済財源となります。
資金使途が明確で金融機関にとって資金回収の見込みがしっかりしていれば融資取組に対し問題はありません。
ちなみに、私が金融機関勤務時に融資稟議書を作成のする時には、
「資金繰り、資金使途、資金回収に懸念なく本件融資について前向き対応致したい。」と記入し、稟議書本文に、試算表と資金繰表、金融機関別借入残高表を添付し審査部に提出していました。
このように、資金繰表は、金融機関に対し、資金使途や、返済に懸念がないことを訴求する資料ですので、日頃から作成していない企業には大変かもしれませんが、あれば有利に働く資料となると考えておかれると良いでしょう。
(3) 発注書や契約書の請求書等、受注・売上が分かる書類
金融機関や保証協会にとって融資を実行しても、確実に返済があり、回収できる事が最も重要な事になります。
しかしながら、金融機関や保証協会にとって返済できる根拠となる資料が無いと不安や懸念が出てしまい融資に慎重になるのです。
そこで、発注書や契約書、請求書等の売上の根拠となる書類があれば、金融機関にとっても安心して融資を実行できます。
日頃から受注一覧表や工事一覧表を作成していれば良いのですが、これも、経営者にとれば作成していない書類の一つになります。
時間がなく表として作成できていない場合には、発注書や契約書、請求書等、受注や売上に繋がる書類をコピーし、金融機関の担当者に渡すだけでも良いでしょう。
2、まとめ
今回ご紹介したのは、「既に融資取引のある金融機関に対して追加融資を申し込むのに用意できれば、なお良い資料とは・・・?」ですが、必要最低限必要な資料の他、この書類があれば、金融機関にとって融資が取り組み易いという書類になります。
融資実績があるのであれば、ここまでの書類が必要かなと考えるかもしれません。
しかしながら、用意できていれば、金融機関担当者に取っては融資取組姿勢が強くなります。
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