債務超過で倒産寸前!年商14億円の建設会社を救った「リスケジュール交渉」と緊急資金調達の全貌

「先生、もう終わりかもしれません。来月の手形が落ちません…」
電話口で震える声の主は、大阪で25年にわたり建設業を営むB社の社長でした。
長年の功労者である彼が、これほどまでに追い詰められている。
既に会社は「債務超過」に陥り、取引先の倒産が引き金となって資金繰りが完全にショート寸前だというのです。
この記事では、絶体絶命の淵から会社を救い出した、事業再生のリアルな道のりをお話しします。
この記事に関する目次
1. 相談企業の概要と財務状況:隠れていた経営の脆さ
B社は、大阪府を拠点とする年商14億円、業歴25年のベテラン建設業者です。
自治体や大手ゼネコンから安定的に受注し、主に商業施設や水道工事といったインフラ整備を手掛けてきました。
叩き上げの社長が一代で築き上げた、地域でも評判の優良企業。表向きは、そう見えていました。
しかし、決算書を拝見した私は、すぐに深刻な問題に気づきました。
貸借対照表(B/S)の純資産の部がマイナス、つまり「債務超過」の状態だったのです。
これは、会社の全財産を売り払っても借金を返済しきれない、銀行が最も融資を嫌う状態です。
取引先のプロジェクトごとに短期融資を繰り返して何とか運転資金を回していましたが、その実態は、自転車操業に近い危険なバランスの上に成り立っていました。
2. 経営課題と融資の必要性:一本の電話が命運を分けた
B社を奈落の底に突き落としたのは、一本の電話でした。
付き合いの長かった一次請け企業が倒産し、B社が受注していた大型プロジェクトの売掛金数千万円が回収不能になったのです。
この一撃は致命的でした。
ただでさえ厳しい資金繰りの中、入るはずだった大金が消えたのです。
手元のキャッシュは枯渇し、従業員の給与、仕入れ先への支払い、そして何より、銀行への返済が目前に迫っていました。
この状況で必要なのは、新規の追加融資ではありません。
そんなものは、債務超過の企業には絶対に通りません。
B社に必要なのは、まず出血を止めるための「時間稼ぎ」、そして当面の事業を継続するための「緊急のつなぎ資金」でした。
3. 当初の計画と見過ごされた問題点(元銀行員だから話せる本音)
「どこか貸してくれる銀行はありませんか!」
私の元に駆け込んできた社長は、パニック状態でそう訴えました。そのお気持ちは痛いほど分かります。しかし、元銀行員として、私は敢えて厳しい現実を突きつけなければなりませんでした。
「社長、落ち着いてください。そのやり方では100%失敗します。むしろ、銀行に『この会社はもう危ない』と判断され、一斉に債権回収に動かれるのがオチですよ。」
債務超過の企業が、返済計画の再構築(リスケジュール)の相談もなしに「お金を貸してくれ」と言うのは、銀行から見れば自殺行為に等しいのです。
「この社長は経営状況を全く理解していない」と見なされ、支援どころか、最後の一撃を食らうことになりかねません。
4. 改善指導と事業計画の磨き込み:再生への4ステップ
私は社長に、感情的な懇願ではなく、銀行団を納得させるための冷静な戦略を授けました。
ステップ1:緊急のリスケジュール申し入れ
まず、すべての取引金融機関に連絡し、元金返済の一時停止(リスケジュール)を真摯にお願いすることから始めました。
これが「出血を止める」ための応急処置です。
ステップ2:「事業再生計画書」の作成
なぜリスケが必要なのか、そしてその期間中に会社をどう立て直すのか。
これをロジカルに示した「事業再生計画書」を作成しました。具体的には、役員報酬のカット、不採算部門からの撤退といった徹底したコスト削減策と、確度の高い新規受注計画を数字で示し、返済再開の目処を明確にしました。
ステップ3:バンクミーティングの開催
個別の銀行と交渉すると、疑心暗鬼が生まれます。
そこで、全取引銀行の担当者らを一堂に集める「バンクミーティング」の開催を提案しました。
全ての情報を公平に開示し、「皆で足並みを揃えて支援してほしい」という協調体制を築くことが狙いです。
ステップ4:ファクタリングによる緊急資金調達
リスケ交渉中も、日々の支払いは待ってくれません。
そこで、新規融資が絶望的な中での最後の手段として、回収不能になっていない他の健全な売掛債権を売却して現金化する「ファクタリング」を実行しました。
5. バンクミーティングのシミュレーション:銀行からの厳しい追及に備える
バンクミーティングは、いわば社長の「査定の場」です。
厳しい質問が飛ぶことを想定し、問答の練習を重ねました。
銀行員Q:「なぜ債務超過になるまで、根本的な対策を打たなかったのですか!」
社長A:「全ては私の経営判断の甘さが原因です。深くお詫び申し上げます。しかし、本日お持ちしたこの再生計画を実行し、必ず会社を立て直す覚悟です。どうか、そのための時間をいただけないでしょうか。」
銀行員Q:「この計画、本当に実現できるのですか?絵に描いた餅では意味がありませんよ。」
社長A:「はい。計画にあるコスト削減は既に実行済みです。また、こちらの資料が、内示をいただいている新規案件の一覧と契約書です。この計画は、単なる希望ではなく、確かな裏付けに基づいています。」
銀行員Q:「正直なところ、御社を支援するメリットが我々にあるのでしょうか?」
社長A:「皆様にご迷惑をおかけしていることは重々承知しております。しかし、ここで弊社が倒産すれば、皆様の債権はほぼ回収不能となります。再生計画通りに進めば、時間はかかりますが、必ず全額返済いたします。どうか、その未来に賭けていただけないでしょうか。」
6. 交渉の結果と成功のポイント:絶望からの生還
バンクミーティングでの社長の誠実な謝罪と、緻密に練られた再生計画、そして何より「会社と従業員を絶対に守る」という強い意志が、銀行員の心を動かしました。
結果:全取引銀行がリスケジュールに合意。
さらに、並行して進めていたファクタリングにより、当面の運転資金として1,800万円を確保。これによりB社は、倒産という最悪の事態を回避することができたのです。
【成功のポイント】
(1)正直な情報開示:債務超過という不利な状況を隠さず、全てを正直に話したこと。
(2)緻密な再生計画:なぜ苦しいのか、どう立て直すのかを数字で具体的に示したこと。
(3)バンクミーティングによる公平性:全行を集めて協調体制を築き、銀行間の不信感を払拭したこと。
(4)現実的な資金調達:融資に固執せず、「ファクタリング」という次善の策を迅速に実行した判断力。
【今回活用した手法の概要】
(1)リスケジュール:元金返済を一時的に停止・減額する金融支援策。金利のみを支払うことで、企業の資金繰りを劇的に改善させる時間稼ぎの手段です。
(2)ファクタリング:企業が持つ売掛債権(請求書)を専門業者に買い取ってもらう金融サービス。手数料はかかりますが、融資ではないため、信用情報に関わらず迅速に現金を確保できます。
7. まとめ:この事例から全経営者が学ぶべき教訓
B社の事例は、すべての経営者にとって他人事ではありません。
(1)債務超過に陥っても、決して諦めてはいけない。打つ手は必ず残されている。
(2)危機的状況で最も大切なのは、プライドを捨てて全てを正直に話す勇気。
(3)窮地においては、融資以外の資金調達手段(ファクタリング等)も知っておくことが命綱になる。
(4)複数の銀行と取引がある場合、バンクミーティングは極めて有効な交渉手段となり得る。
(5)事業再生計画書は、銀行への「未来への約束状」。具体的でなければ信頼は得られない。
(6)平時からコスト構造を見直し、多少の外的要因では揺るがない「筋肉質」な経営を心がける。
(7)一人で抱え込まず、再生のノウハウを持つ専門家の力を借りる決断が、明暗を分ける。
8.最終アクションプラン
自社の足元が揺らいでいると感じたら、手遅れになる前に、すぐに行動してください。
(1)自社の借入金一覧と、向こう半年間の返済スケジュールを再確認する。
(2)簡易的な資金繰り表を作成し、3ヶ月後、6ヶ月後の現金残高を予測してみる。
(3)少しでも「危ないかもしれない」と感じたら、一人で悩まず、すぐに信頼できる専門家やメインバンクの担当者に相談する。
危機は、ある日突然やってきます。その日のために、今から備えておくことが、あなたの会社と従業員を守る唯一の道です。
資金繰りが厳しく、資金調達の準備が必要、自社に合った融資制度を知りたい、
手続きが難しそうで進める自信がないなど
元銀行員が融資獲得まで
サポートします!
- 資金繰りが厳しく、資金調達の準備をしなければ心配。
- 自分に合った融資制度を知りたい。
- 手続きはが難しそうで、自分ではなかなか進められない。
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