リスケ中でも融資は引ける!売上40%減の派遣業者が銀行を動かした「経営改善計画書」の秘密
この記事に関する目次
「先生、もう打つ手がありません。リスケジュール中なのに、資金が底をつきそうです…」
受話器の向こうから聞こえてきたのは、年商28億円を誇る派遣会社の2代目社長、C氏の切羽詰まった声でした。
既に銀行に返済猶予(リスケジュール)をお願いしている絶体絶命の状況。
追加融資など絶対に無理だと誰もが思う中、彼は最後の望みを託して私の事務所のドアを叩きました。この記事では、その奇跡とも思える逆転劇の裏側をお話しします。
1. 相談企業の概要と財務状況:順風満帆から一転、苦境へ
C社長の会社は、東京都に本社を置く、業歴25年の老舗派遣会社です。
製造業に特化した人材派遣で、大手企業を顧客に持ち、日本経済の成長と共に右肩上がりで業績を伸ばしてきました。
しかし、その輝かしい歴史の裏で、会社は大きな問題を抱えていました。
それは、先代社長が残した多額の負債です。
順調な時期はそれでも何とか返済を続けていましたが、新型コロナウイルスの影響が事業を直撃。
製造業の現場が次々とストップし、派遣需要が激減。
売上はピーク時から40%もダウンしてしまいました。
元銀行員の視点から言えば、C社の状況は最悪でした。
既にリスケジュール中ということは、銀行内の評価でいえば「要注意先」どころか「破綻懸念先」に分類されていてもおかしくありません。
これは、「追加融資は原則として不可能」という烙印を押されているのも同然の状態だったのです。
2. 経営課題と融資の必要性:リスケ中でも足りない資金
リスケジュールによって元金の返済は止まっています。
しかし、それでも会社のキャッシュは減り続けていました。
なぜなら、売上が半減しても、派遣スタッフへの給与支払いや社会保険料などの固定費は、変わらず毎月発生するからです。
「このままでは、来月の給料が払えなくなるかもしれない…」
C社長にとって必要なのは、単なる赤字補填の資金ではありませんでした。
会社の再生計画を軌道に乗せ、V字回復を果たすための「未来への投資」としての運転資金です。
この資金がなければ、会社は再生のスタートラインにすら立てず、静かに倒産を待つしかありませんでした。
3. 当初の計画と見過ごされた問題点(元銀行員だから話せる本音)
最初に私がお会いした時、C社長はこうおっしゃいました。
「とにかく頭を下げて、銀行にもう一度お願いするしかないと思っています…」
そのお気持ちは痛いほど分かります。
リスケ中の会社が「お願いします」だけで追加融資を受けられることは絶対にありません。
銀行の担当者が、上司に「リスケ中のC社に追加融資をしたいのですが…」と稟議を上げたと想像してみてください。
支店長はこう言うでしょう。
「ただでさえ返済を待ってやっている先に、なぜ追加でお金を出す必要があるんだ?回収の目途はどうなっているんだ!返済の見直しを通じて資金支援をしている」と。
基本的に稟議書はその場で突き返されるのが関の山です。
この絶望的な状況を覆すには、感情論ではなく、銀行を「支援せざるを得ない」と納得させるだけの圧倒的なロジックと覚悟が必要だったのです。
4. 改善指導と事業計画の磨き込み:覚悟を「数字」に変える
私はC社長と共に単なるお願い事を、銀行が評価する「経営改善計画書」へと昇華させる作業に取りかかりました。
これは、過去への反省と未来への約束を冷徹なまでに「数字」で示すプロセスです。
改善ポイント1:口先ではない「痛みを伴う行動」
まず、計画書を提出する前に、C社長自らが身を切る改革を断行しました。
(1)自身の役員報酬を50%カット
(2)本社オフィスを解約し、より賃料の安い小規模な事務所へ移転
(3)使用していない社用車をすべて売却
これらの「実行済みの事実」は「私たちは本気です」という何より雄弁なメッセージになります。
改善ポイント2:不採算事業からの撤退
長年の付き合いがあっても、利益率の低い派遣先との契約を見直しました。
そして、今後需要が見込める分野の優良顧客にリソースを集中させる「選択と集中」の戦略を明確に打ち出しました。
改善ポイント3:希望的観測を排した売上計画
「景気が回復すれば…」といった曖楽な言葉は一切排除しました。
代わりに、「既存顧客A社から、来期〇名の増員要請(内示あり)」「新規開拓中のB社と、〇月を目途に契約締結の見込み」といった裏付けのある具体的な数字だけを積み上げて、堅実な売上回復計画を策定しました。
5. 銀行面談のシミュレーションとアピール戦略:謝罪と決意表明
完璧な計画書を手に、いよいよ銀行との面談です。
これは融資の「お願い」ではありません。
リスケという迷惑をかけていることへの「謝罪」と必ず再生するという「決意表明」の場です。
銀行員Q:「C社長、リスケをお願いしている状況で追加融資とは、話が矛盾していませんか?」
社長A:「ご指摘の通りで、多大なるご迷惑をおかけしている中、大変心苦しいお願いであることは重々承知しております。まずはお詫びさせてください。しかし、この資金はただの延命資金ではありません。本日ご説明するこの経営改善計画を完遂し、必ず貴行へのご恩返しをするための、最後の投資なのです。」
銀行員Q:「この計画、本当に達成できるという確証はどこにあるのですか?」
社長A:「確証はありません。しかし、私はこの計画の実現に全てを賭けています。その覚悟として、役員報酬を半減させ、本社も移転しました。この資料にある通り、既にコスト削減はここまで進んでおります。どうか、私たちのこの具体的な行動と覚悟を信じていただけないでしょうか。」
6. 融資審査の結果と成功のポイント:不可能を可能に変えた一手
銀行との交渉は困難を極めました。しかし、C社長の揺るぎない覚悟と緻密に計算された経営改善計画が、次第に担当者の心を動かしていきました。
結果:経営改善サポート保証を活用し、3,000万円の追加融資に成功。
今回の成功の決め手は「経営改善サポート保証(伴走支援型特別保証)」という制度融資の活用を提案したことでした。
これは、金融機関が企業の経営改善に継続的に関与(伴走支援)することを条件に、信用保証協会が保証を行う制度です。
銀行側としても、この制度を使えば「当行は、この企業の再生に責任を持ってコミットします」という大義名分を稟議書に書くことができます。
まさに、不可能を可能に変えるための一手でした。
【成功のポイント】
(1)「覚悟」を具体的な「行動(コストカット)」で示したこと。
(2)未来を「数字」と「根拠」で語る経営改善計画書を作成したこと。
(3)銀行を「敵」ではなく「再生パートナー」と位置づけ、共に汗を流す公的制度の活用を提案したこと。
7. まとめ:この事例から全経営者が学ぶべき教訓
C社の事例は、苦境に立つすべての経営者に希望を与えてくれます。
(1)リスケジュールは終わりではない。それは再生への始まりである。
(2)銀行を動かすのは「お願いします」ではなく「ここまでやりました」という事実。
(3)経営改善計画書とは、未来への意志を数字に翻訳したものである。
(4)厳しい状況だからこそ、社長自らが身を切る覚悟が問われる。
(5)自社だけで戦おうとしない。公的な保証制度や専門家の知恵を借りる勇気を持つ。
(6)銀行担当者を説得するのではなく「味方」にして一緒に戦う体制を作る。
(7)どんな状況でも、決して諦めない。社長のその意志こそが、最大の資本である。
8.アクションプラン
もしあなたが今、C社長と同じような苦しみにいるのなら、どうか一人で抱え込まないでください。
まずはこの3つのアクションから始めてみましょう。
(1)自社の財務状況を直視し「最悪の事態」を想定してみる。厳しい現実から目を背けないことが第一歩です。
(2)今すぐ実行できるコスト削減策を大小問わず10個書き出してみる。小さな一歩が大きな変化を生みます。
(3)信頼できる財務の専門家に「壁打ち相手」になってもらう。客観的な視点を得ることで、必ず新しい道が見えてきます。
あなたの会社には、まだ可能性があります。
その可能性の芽を摘んでしまうのは社長であるあなた自身が「もうダメだ」と諦めてしまうことなのです。
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- 手続きはが難しそうで、自分ではなかなか進められない。
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