融資を断られる会社の共通点。あなたの会社の「役員登記」、銀行員はこう見ている!

会社設立や事業拡大のため、信頼する仲間を役員に迎えようとしていませんか?
実はその「仲間」が、融資審査で致命的な足かせになることがあります。
「代表は自分だから大丈夫」という油断は禁物です。
この記事を読めば、銀行が役員構成をどう見るかの本音が分かり、融資で失敗しないための戦略的な役員選びができるようになります。
この記事に関する目次
1.なぜ銀行は代表取締役だけでなく「役員全員」の経歴を気にするのか?
「個人信用情報を提出するのは代表者の自分だけ。他の役員の過去まで調べられるはずがない」
多くの経営者がそう思っていますが、それは半分正解で、半分は大きな間違いです。
銀行員は、融資の稟議書を作成する際、会社の登記簿謄本に記載されている役員全員の名前をチェックします。
2.銀行の「身体検査」の裏側
銀行には独自のデータベースがあり過去の取引履歴やトラブル情報が蓄積されています。
融資を申し込むと、担当者は代表者だけでなく、役員全員の名前をシステムで検索します。
これは、もはやルーティン業務です。
なぜなら、銀行は会社を「経営チーム」として評価するからです。
たとえ代表者が優秀でも、チームの一員に大きなリスク要因(過去の金融トラブルなど)があれば、「そのリスクはいずれ会社全体に伝染するのではないか?」と考えるのがセオリーになります。
会社の信用度は最も信用の低い役員に引っ張られてしまうのです。
【NG】融資審査で絶対に役員に入れてはいけない人物像
事業遂行上、どうしても必要な人材もいるでしょう。
しかし、融資を成功させたいなら、以下の経歴を持つ方を安易に役員登記するのは絶対に避けてください。
銀行から「理由はいえないのですが…」と断られたら、これが原因かもしれません。
(1)過去に自己破産や債務整理の経験がある方
・官報情報などで発覚します。経営の根幹である財務管理能力に大きな疑問符がつきます。
(2)過去に経営していた会社で融資の焦げ付き(代位弁済)がある方
・信用保証協会や銀行のデータベースに記録が残っています。「また同じことを繰り返すのでは?」と判断され、審査のテーブルにすら乗らない可能性が高いです。
(3)インターネット検索でネガティブな情報が出てくる方
・反社会的勢力との関与を疑われるような情報はもちろん、詐欺事件や頻繁なトラブルに関する記事が出てくる場合も、コンプライアンスを重視する銀行は敬遠します。
「優秀な営業マンだから」「長年の友人だから」という理由だけで役員にすると、後で取り返しのつかないことになりかねません。
【失敗事例】役員の過去が原因で追加融資を否決された建設会社A社
| 企業概要 | 年商8,000万円の建設会社。業績は好調。 |
| 融資希望額 | 1,500万円(運転資金・信用保証協会付き融資) |
| 役員構成 | 代表取締役と、営業担当の取締役1名 |
| 審査結果 | 融資否決 |
| 問題視されたポイント | 社長の個人信用情報や会社の業績には全く問題がありませんでした。しかし、銀行が調査したところ、営業担当の取締役に過去に経営していた別会社での融資焦げ付き(代位弁済)履歴があることが判明。「代表者ではないから大丈夫だろう」と安易に考えていたことが仇となりました。銀行からは「総合的な判断」としか説明されませんでしたが、これが決定的な否決理由でした。 |
3.あなたは大丈夫?代表取締役の個人信用情報、銀行はここまで見ている
もちろん、最も厳しくチェックされるのは代表取締役であるあなた自身です。以下のような状況に心当たりはありませんか?
「払っているから大丈夫」という考えは通用しません。
(1)クレジットカードやローンの支払いが遅れがち
・たとえ数日の遅れでも、頻繁に繰り返されると「ルーズな人」という評価になります。資金繰りもルーズなのでは?と疑われます。
(2)消費者金融やノンバンクからの多額の借入
・遅れなく返済していても、「なぜ銀行ではなく高金利のところで借りる必要があるのか?よほど資金繰りに困っているのでは?」と見られ、それ自体がマイナス評価です。
(3)スマートフォンの割賦代金の支払いを忘れていた
・「たかがスマホ代」と侮ってはいけません。これも立派なローン契約。
過去の未払いや延滞は、個人信用情報に記録されています。
「学生時代の話だから」「もう数年経ったから」は通用しません。
個人信用情報は、あなたの「お金に対する姿勢」そのものを映し出す鏡なのです。
【成功事例①】正直な申告で創業融’資を勝ち取ったWeb制作会社B社
| 企業概要 | 創業期のWeb制作会社 |
| 融資希望額 | 500万円(日本政策金融公庫・創業融資) |
| 懸念点 | 代表が数年前にクレジットカードの支払いを2ヶ月延滞した記録があった。 |
| 審査結果 | 満額融資成功 |
| 評価されたポイント | B社の代表は、融資面談の冒頭で自ら過去の延滞について正直に申告しました。そして、「当時の未熟さを深く反省し、現在は家計簿アプリで徹底的に収支を管理しています」と、具体的な改善行動をアピールしました。この誠実な姿勢と、事業実績、非の打ち所がない事業計画書が評価され、「過去の失敗から学び、改善できる人物」として信頼を勝ち取り、満額融資に繋がりました。隠すことこそが最大の悪手なのです。 |
4.融資に強い役員構成を作るためのセルフチェック
融資を申し込む前に、役員構成をチェックしてみましょう。
| チェック項目 | □ YES | □ NO |
| ・役員候補者の氏名をネットで検索し、ネガティブな情報がないか確認したか? | □ | □ |
| ・役員候補者に、過去の自己破産や債務整理の経験がないか確認したか? | □ | □ |
| ・役員候補者に、過去の事業での金融トラブル(代位弁済等)がないか確認したか? | □ | □ |
| ・代表者自身の個人信用情報を事前に確認したか?(CIC等で取得可能) | □ | □ |
| ・代表者自身、消費者金融等からの借入残高はないか? | □ | □ |
※もし役員候補者に直接聞きづらい場合は「融資を受ける上で、銀行から役員全員の経歴について確認される可能性がある」と伝え、自己申告してもらうのが角の立たない方法です。
5.よくある質問 Q&A
Q1. どうしても役員に入れたい人材に、過去の金融トラブルがあります。どうすれば?
A1. 正直に申し上げて、極めて厳しい道です。融資を優先するなら、その方を役員ではなく「従業員」や「業務委託」として迎え入れることを推奨します。登記簿に名前が載らない形であれば、融資審査への影響を最小限に抑えられます。
Q2. 自分の個人信用情報がどうなっているか不安です。
A2.CIC、JICC、KSCといった信用情報機関に、インターネットや郵送で開示請求ができます。手数料は1,000円程度です。
融資を申し込む前に自分の情報を確認し、もし問題があればその原因と対策を説明できるように準備しておくことが重要です。
【各信用情報機関の特徴】
①CIC(シー・アイ・シー)
主な加盟会員: クレジットカード会社、信販会社、携帯電話会社(割賦販売)。
主な情報: クレジットカードの利用・支払い状況、携帯電話の分割払い状況など。
②JICC(日本信用情報機構)
主な加盟会員: 消費者金融(サラ金)、銀行、クレジットカード会社。
主な情報: 消費者金融からの借入・返済状況、クレジットカード情報。
③KSC(全国銀行個人信用情報センター)
主な加盟会員: 銀行(メガバンクから地方銀行、信用金庫まで)。
主な情報: 銀行ローン(住宅ローン、自動車ローンなど)、奨学金、自己破産などの官報情報(KSCのみ保有)
6.「経営者保証ガイドライン」で第三者保証は原則不要に!
以前は、共同創業者や代表の親族が役員の場合、連帯保証人を求められるケースが多くありました。
しかし、現在は「経営者保証に関するガイドライン」が浸透し、経営に関与しない第三者の保証はもちろん、代表者や代表者以外の役員に保証を求めることも原則としてなくなりました。
【経営者保証に関するガイドライン】
・経営者保証に関するガイドライン(全国銀行協会)
・経営者保証(中小企業庁)
・経営者保証を不要とする保証の取扱いについて(東京信用保証協会)
また、無担保、無保証(代表取締役の個人保証を除く)とするのが原則となっていますので、持株割合で(例えば他の取締役の持株が代表取締役の持株数より多い場合に持株が多い株主の第三者保証を求められる場合が過去においては散見されていました。)保証人となることも現在はありません。
第三者連帯保証の原則禁止については経営者の家族や友人、知人等、経営に直接関与していない第三者による個人連帯保証を原則禁止にする内容で、第三者の積極的な申し出でにより連帯保証を認める場合でも、その意思を事前に署名、文書で確認するよう金融機関に義務づける内容となっています。
これは、経営者にとって大きな追い風です。
会社の事業性や将来性、財務の健全性で正々堂々と勝負できる時代になったのです。
【成功事例②】ガイドラインを追い風に事業承継資金を調達した製造業C社
| 企業概要 | 年商1.5億円の老舗製造業 |
| 融資希望額 | 3,000万円(事業承継に伴う株式買取資金) |
| 役員構成 | 会長(先代)、代表取締役(後継者)、取締役(番頭役の古参社員) |
| 審査結果 | 代表者個人の保証のみで融資成功 |
| 評価されたポイント | C社は明確な事業承継計画と、承継後の成長戦略を提示。銀行は「経営者保証ガイドライン」に則り、会社の将来性を高く評価し、会長や他の取締役の保証を求めることなく、新代表者個人の限定的な保証のみで融資を実行しました。役員構成がクリーンであったことも、スムーズな審査に繋がりました。 |
7.まとめ:融資を勝ち取るための戦略的「役員人事」5つの鉄則
最後に、この記事の要点をまとめます。役員人事は、財務戦略そのものです。
(1)役員は「チーム」。チームの一員に金融事故歴など信用不安のある人物は絶対に入れない。
(2)代表取締役の個人信用情報は命綱。スマホ代の延滞も命取りになると心得る。
(3)審査前に必ずCIC等で自身の個人信用情報を確認しクリーンな状態にしておく。
(4)ネガティブな経歴を持つ人材は「役員」ではなく「従業員」として迎える工夫を。
(5)「経営者保証ガイドライン」を理解し会社の事業性で勝負する準備をする。
8.次へのアクションプラン
この記事を読み、自社の体制に少しでも不安を感じたなら、すぐに行動を開始しましょう。
(1)CICなどの信用情報機関に、自身の個人情報の開示請求を行う。
(2)役員候補者がいる場合、今回学んだ視点で問題がないか再度検討する。
(3)懸念点があれば、融資申込前に顧問税理士や我々のような財務の専門家に相談し最適な役員構成を戦略的に構築する。
役員登記は一度行うと変更が大変です。
そして、その名前はずっと銀行の記録に残ります。
ぜひ、会社の未来を託すにふさわしい、クリーンで強力な経営チームを築いてください。
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