【融資獲得の鍵】金融機関の種類と賢い付き合い方マニュアル
資金調達は、企業の成長に欠かせない要素です。
しかし、いざ資金が必要になった時、どの金融機関に相談すればいいのか迷うことはありませんか?
この記事では、主要な金融機関の特徴を解説し、中小企業経営者にとって最適な資金調達を実現するための付き合い方のポイントを紹介します。
この記事に関する目次
1.【都市銀行と取引するメリット・デメリット】中小企業の実情に合っている?
「都市銀行と取引できたら、会社としての信用も上がるし、資金調達も有利になるはず!」
確かに、都市銀行は資金力もネームバリューも抜群です。
しかし、中小企業にとって本当に都市銀行と取引するのがベストな選択なのでしょうか?
メリット・デメリットを理解した上で自社にとって最適な選択をすることが重要です。
(1) 都市銀行とは?
三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行、りそな銀行を指し、全国に支店網を持つ巨大銀行です。企業規模でいうと大企業相手のビジネスを得意としています。
(2)中小企業が都市銀行と取引するメリット
①信用力・ブランド力の向上
・取引先や顧客に対して「メガバンクと取引がある会社」という印象を与えることができ信頼獲得に繋がります。
※経営者の年齢が高い方に印象を与えますが、若手経営者はインターネットバンキングを好む傾向がありますのでメガバンクだからということはないです。
・新規取引開始時や大型契約を結ぶ際に有利に働く可能性があります。
②低金利での融資
・ 一般的に地方銀行や信用金庫と比べて金利が低い傾向があります。
・多額の融資( 一般的に信用金庫等にくらべワンショットでの融資額が多い傾向があります。)を受ける場合、金利差は大きなメリットとなります。
③多様な金融サービス
・国内外のネットワークを生かした海外進出支援やM&Aなどの金融サービスを受けることができます。
(3)中小企業が都市銀行と取引するデメリット
①審査基準が厳格
・企業の規模や業績、財務内容など、審査基準が厳しく中小企業にとってはハードルが高いのが現状です。
・創業間もない企業や業績が安定していない企業は融資を受けにくいため注意が必要です。
②柔軟な対応は期待薄
・担当者が頻繁に変わったり融資の相談や経営課題への対応など、きめ細やかなサポートは期待しにくい傾向があります。
③取引開始までの時間・労力がかかる
・必要書類が多く取引開始までに時間がかかります。
【例】製造業を営むG社の場合
G社は創業5年目で業績好調、新規取引も順調に増加していました。
更なる事業拡大を目指し設備投資資金を借り入れるため都市銀行に融資を相談しました。
しかし、G社の決算書を見た都市銀行の担当者は「業績は悪くないですが、自己資本比率が低いですね。もう少し財務体質を強化してから改めてご相談ください」と融資を断られてしまいました。
(4)まとめ
都市銀行は、ネームバリューや低金利など、魅力的な要素が多い一方で、中小企業にとっては取引開始のハードルが高く、柔軟な対応も期待しにくいという側面もあります。
事例の場合も、自己資本比率が低いという観点からの融資謝絶は地方銀行や信用金庫では謝絶までにはいたらないです。
都市銀行と取引する場合は、メリット・デメリットを十分に理解した上で慎重に判断することが重要です。
2.【信託銀行とは?】中小企業が取引するメリットはある?その特徴と注意点を解説
「信託銀行って、なんだか難しそう…」「富裕層向けの銀行でしょ?」そんな風に思っていませんか?
確かに、信託銀行は、一般的な銀行業務に加えて「信託」という特殊な業務を扱う金融機関です。
しかし、近年では、中小企業の事業承継問題や資産運用ニーズの高まりを受け、信託銀行のサービスに注目が集まっています。
(1)信託銀行とは?
①銀行業務:預金、融資、為替など、一般的な銀行と同様の業務を行います。
②信託業務:個人や企業から預かった財産(金銭、有価証券、不動産など)を、預かった人の意向に基づいて管理・運用する業務です。
③併営業務:証券代行業務、不動産仲介業務、相続関連業務など、多岐にわたるサービスを提供しています。
代表的な信託銀行としては、三井住友信託銀行、三菱UFJ信託銀行、SMBC信託銀行などがあります。
(2)中小企業が信託銀行と取引するメリット
①事業承継問題の解決
・後継者への株式の円滑な承継や、自社株対策などをサポートしてくれます。
・専門知識を持つ担当者から最適なスキームの提案を受けられます。
②資産運用・管理の効率化
・遊休資産の活用や事業資金の効率的な運用など、専門家の視点からアドバイスやサポートを受けられます。
・中長期的な視点で、資産を増やすための戦略を立てることができます。
③相続対策
・相続税対策や遺産分割協議など複雑な相続手続きをサポートしてくれます。
・円満な相続を実現するために専門家のノウハウを活用できます。
【例】不動産賃貸業を営むH社の場合
H社の社長は、保有する賃貸マンションの相続対策に悩んでいました。相続税の納税資金を確保するため、所有不動産の一部を売却することも検討しましたが、信託銀行に相談したところ、「信託を活用した相続対策」を提案されました。
具体的には、H社社長が所有する賃貸マンションを信託銀行に信託し信託銀行が管理・運用することで、相続発生後も安定した収益を確保できる仕組みを構築しました。
その結果、H社社長は、納税資金の確保と賃貸マンションの安定経営という両方の課題を解決することができました。
(3)中小企業が信託銀行と取引する際の注意点
①手数料
・信託報酬や管理手数料など比較的高額な手数料が発生する場合があります。
・事前に手数料体系をよく確認し、納得した上で契約することが大切です。
②取引開始のハードル
・ 都市銀行と同様に信託銀行も審査基準が厳しく中小企業にとっては、取引開始のハードルが高い傾向があります。
・都市銀行、地方銀行などと比較し店舗網が少ないです
(4)まとめ
信託銀行は、一般的な銀行業務に加えて信託業務や併営業務など、幅広いサービスを提供しています。
特に、事業承継問題や資産運用、相続対策など、専門性の高いコンサルティングを必要とする中小企業にとっては、心強いパートナーとなりえます。
しかし、手数料や取引開始のハードルなど、注意すべき点もあるため事前にしっかりと情報収集を行い、自社にとって最適な金融機関かどうかを見極めることが重要です。
3.【地方銀行と取引するメリット・デメリット】中小企業が知っておくべきこと
「地方銀行って、地元に密着したイメージだけど、実際どうなの?」
「都市銀行と比べて、どんな点がメリットなの?」
このように考えている中小企業経営者の方も多いのではないでしょうか?
地方銀行は、特定の地域に根ざし、その地域の経済発展に貢献することを使命とする金融機関です。
今回は、中小企業にとって、地方銀行と取引するメリット・デメリット、そして、上手な付き合い方について解説していきます。
(1)地方銀行とは?
特定の都道府県または地域を営業基盤とする銀行のことです。
地域経済への貢献を重視し地域の中小企業への融資に積極的なのが特徴です。
(2)中小企業が地方銀行と取引するメリット
①地域密着型の情報量とネットワーク
・長年、その地域で事業を行ってきた実績から、地域経済や企業の情報を豊富に持っています。
※その情報を活かし、きめ細やかなコンサルティングやビジネスマッチングなどのサポートを受けられる可能性があります。
②柔軟かつ迅速な対応
・意思決定が早く、融資の審査や実行までがスピーディーな傾向があります。
※中小企業の事情を理解し柔軟な融資条件や返済計画に対応してくれる場合があります。
③地域貢献という共通の想い
・地方銀行は、地域社会への貢献を重視しており、地域経済の活性化に繋がる事業には、積極的に融資を行っています。
※地域貢献意欲の高い中小企業は共感を得やすく、融資を受けやすいと言えるでしょう。
【例】観光業を営むJ社の場合
J社は、地域活性化を目指し、新たな観光資源開発に取り組んでいました。
しかし、開発資金が不足し融資を受けようと都市銀行に相談したものの、「収益化の見通しが不透明」と断られてしまいました。
そこで、地元の地方銀行に相談したところ「地域の活性化に繋がる事業」としてJ社の想いに共感し、融資を実行してくれました。
結果として、J社は、新たな観光資源を開発し地域経済の活性化に貢献することができました。
(3)中小企業が地方銀行と取引するデメリット
①資金力が都市銀行に比べて小さい
・都市銀行に比べて融資限度額が低く、希望する金額を調達できない場合があります。
②全国展開や海外進出のサポートは不向き
・海外支店網や海外企業とのネットワークは都市銀行に比べて限られているため、全国展開や海外進出を支援するには不向きです。
(4)まとめ
地方銀行は、地域密着型の金融機関として、中小企業にとって心強いパートナーとなりえます。
特に、地域貢献意欲の高い企業や地域に密着した事業を展開している企業にとっては、最適な金融機関と言えるでしょう。
ただし、地方銀行にも資金力や事業規模など、得意分野と不得意分野があります。
メリット・デメリットを理解した上で自社の事業計画や資金ニーズに合わせて、最適な金融機関を選択することが重要です。
4.【信用金庫と取引するメリット・デメリット】地域密着型のサポートを受けるコツ
「信用金庫って、なんか親近感がわくけど、銀行と何が違うの?」
「都市銀行より金利が高いって聞くけど、本当?」
こんな疑問をお持ちの経営者の方も多いのではないでしょうか?
信用金庫は地域社会に貢献することを目的とした地域密着型の金融機関です。
今回は、中小企業にとって、身近な存在である信用金庫と上手に付き合っていくためのポイントを解説していきます。
(1)信用金庫とは?
会員からの出資金をもとに運営されている協同組織の金融機関です。銀行と異なる点は、以下の通りです。
①営業地域が限定されている:特定の地域内の中小企業や住民を対象としています。
②会員になる必要がある:基本的に出資金を払い込み会員になることで、預金や融資などのサービスを利用できます。
③地域貢献を重視している:地域経済の活性化に貢献するため中小企業への融資に積極的です。
(2)中小企業が信用金庫と取引するメリット
①親身で柔軟な対応
・地域の中小企業を支えるという理念から親身になって相談に乗ってくれることが多いです。
・経営状況や資金ニーズに応じて柔軟な融資条件を提示してくれる場合があります。
②手厚い経営サポート
・融資だけでなく経営相談や事業承継、補助金申請などのサポート体制が充実しています。
・経験豊富な担当者からきめ細やかなアドバイスを受けられます。
③審査が比較的柔軟
・都市銀行に比べて審査基準が柔軟で、スピード融資にも対応してくれる場合があります。
・創業間もない企業や業績が安定していない企業でも、融資を受けられる可能性があります。
【例】飲食店を経営するI社の場合
I社は、オープンして間もない飲食店でしたがコロナ禍の影響で売上が激減。運転資金が不足し経営が立ち行かなくなってしまいました。
そこで、以前から取引のあった信用金庫に相談したところ「地域経済を支える」という理念のもと迅速に融資を実行してくれました。さらに、経営改善に向けたアドバイスや補助金制度の紹介なども受けI社は無事に経営を立て直すことができました。
(3)中小企業が信用金庫と取引するデメリット
①金利が都市銀行より高め
・都市銀行に比べると金利が高めに設定されている場合があります。
②営業エリアが限定されている
・営業エリアが限られているため都市銀行や地方銀行に比べると利便性が低いと感じる場合もあります。
なお、支店数は限られているものの、「しんきんゼロネットサービス」があり北海道から沖縄までの47都道府県に設置されている全国の信用金庫ATMを手数料無料で利用できるサービスがあります。
(4)まとめ
信用金庫は、地域の中小企業にとって心強い味方となる金融機関です。
親身な対応や手厚いサポートを受けられる一方で金利面や利便性など注意すべき点も存在します。
メリット・デメリットを比較検討し、自社の状況に合わせて最適な金融機関を選択しましょう。
5.【信用組合とは?】中小企業と相性が良いってホント?メリット・デメリットを徹底解説
「信用組合って、あまり聞かないけど、どんな金融機関なの?」
「中小企業と相性が良いって聞くけど、本当?」
信用組合は、地域住民や中小企業によって構成される協同組織の金融機関です。
今回は、信用金庫と混同されがちな信用組合について、その特徴やメリット・デメリットを解説していきます。
(1)信用組合とは?
「相互扶助」を原則に会員の出資によって運営されている金融機関です。
会員は、信用組合の営業エリア内に居住または勤務している個人事業主や法人、団体などが対象となります。
(2)中小企業が信用組合と取引するメリット
①会員重視の親身な対応
・会員の利益を第一に考えるため、経営相談や融資など親身になって対応してくれることが多いです。
※経営課題を抱える中小企業に対しては親身になって相談に乗り親身な解決策を提案してくれることがあります。
②金利が都市銀行より高め
・一般的に都市銀行に比べると金利が高めに設定されている場合があります。
③地域密着型の情報提供
・地域に密着した情報網を活かし顧客に役立つ情報を提供してくれます。
※地域イベント情報や、補助金・助成金情報など、経営に役立つ情報を提供してくれる場合があります。
【例】小売業を営むK社の場合
K社は、地域密着型の経営を掲げる小売店です。
創業当初、運転資金の融資を受けるため都市銀行に相談しましたが、実績不足を理由に断られてしまいました。
そこで、地元の信用組合に相談したところ「地域貢献に繋がる」とK社の事業計画に共感し融資を実行してくれました。
さらに、信用組合はK社に対して、販路拡大のサポートや地域イベント情報などを提供し、K社の事業成長を支え続けました。
(3)中小企業が信用組合と取引するデメリット
①利用条件が限定的
・会員になるためには、出資金の拠出が必要となり、信用組合の営業エリア外に事務所がある場合は、原則として、利用できません。
②事業規模拡大には不向き
・信用組合は、地域の中小企業を主な取引先としているため、都市銀行に比べて資金力や事業規模が限定的です。
・大規模な設備投資や海外進出など、多額の資金を必要とする事業には対応できない場合があります。
(4)まとめ
信用組合は、地域密着型の金融機関として中小企業にとって、心強い味方となりえます。
特に、地域貢献を重視する経営者や親身な対応を期待する経営者にとっては、最適な金融機関と言えるでしょう。
しかし、信用組合にも利用条件や資金力など、得意分野と不得意分野があります。
メリット・デメリットを比較検討し、自社の経営方針や資金ニーズに合わせて、最適な金融機関を選択することが重要です。
6. 【ネット銀行】中小企業の強い味方?融資を受けるメリット・デメリットを解説!
「ネット銀行って、便利そうだけど、本当に安全なの?」
「中小企業でも、融資を受けられるの?」
近年、店舗を持たずインターネット上でサービスを提供するネット銀行が注目されています。
今回は、数ある金融機関の中でも特に注目度が高まっているネット銀行についてその特徴やメリット・デメリットを解説していきます。
(1)ネット銀行とは?
インターネット上での取引をメインとする銀行のことです。
実店舗を持たないことでコストを抑えATM手数料や振込手数料が割安な場合が多く利便性の高さが魅力です。
(2)中小企業がネット銀行と取引するメリット
①手軽でスピーディーな取引
・インターネット上で、いつでもどこでも、口座開設や取引を行うことができます。
※来店不要、書類郵送不要など、スピーディーな手続きが魅力です。
②手数料の安さ
・実店舗を持たない分、ATM手数料や振込手数料が割安に設定されていることが多いです。
※ 経費削減に貢献できます。
③魅力的な預金金利・サービス
・預金金利やキャンペーンが魅力的な場合があります。
※独自のポイントサービスなど、便利なサービスを提供している場合もあります。
【例】ECサイト運営のL社の場合
L社は、従業員5名でレディースアパレルを販売するECサイトを運営しています。
事業拡大のため運転資金を借りたいと考えていましたが、都市銀行からは「業績が安定していない」という理由で融資を断られてしまいました。
そこで、ネット銀行の「ビジネスローン」に申し込んだところスピーディーな審査と柔軟な融資条件が評価され希望額の融資を受けることができました。
ネット銀行の融資のおかげで、L社は、在庫を確保し広告宣伝費を増やすことができ売上拡大に繋げることができました。
(3)中小企業がネット銀行と取引するデメリット
①対面での相談が難しい
・実店舗がないため対面での相談やサポートは基本的に受けられません。
※電話やメールでのサポートが中心となります。
②融資限度額が低め
・中小企業の場合、都市銀行や地方銀行に比べて融資限度額が低めに設定されていることが多いです。
※多額の資金調達には不向きと言えるでしょう。また、融資業務を行っていないネット銀行もあります。
③審査基準が不透明な場合も
・審査基準が公開されていない場合が多く融資を受けられるかどうか判断しにくいことがあります。
(4)まとめ
ネット銀行は、利便性が高く、魅力的なサービスを提供している一方、対面での相談が難しかったり融資限度額が低かったりするなどのデメリットもあります。
ネット銀行のメリット・デメリットを理解した上で自社の事業規模や資金ニーズ、経営方針に合致しているかどうかを判断することが重要です。
7.まとめ
資金調達を成功させるためには、自社の事業内容や資金ニーズに最適な金融機関を選び良好な関係を築くことが重要です。
ぜひ本マニュアルを参考にして、金融機関との良好なパートナーシップを構築し企業の成長につなげましょう。
資金繰りが厳しく、資金調達の準備が必要、自社に合った融資制度を知りたい、
手続きが難しそうで進める自信がないなど
元銀行員が融資獲得まで
サポートします!
- 資金繰りが厳しく、資金調達の準備をしなければ心配。
- 自分に合った融資制度を知りたい。
- 手続きはが難しそうで、自分ではなかなか進められない。
元銀行員が融資獲得まで
サポートします!
- 資金繰りが厳しく、資金調達の準備をしなければ心配。
- 自分に合った融資制度を知りたい。
- 手続きはが難しそうで、自分ではなかなか進められない。