銀行融資を申し込むベストタイミングはいつ?会社の状況に合わせた8つの必勝パターン

「融資はいつ申し込むのが正解なんだろう…」
「決算書の内容が悪いから、どうせ断られるだろう…」
「一度断られたら、もう半年は申し込めないと聞いたけど本当か?」
経営者の皆様であれば、こうした資金繰りの悩みが尽きることはないでしょう。
実は、融資の成否は「タイミング」と言っても過言ではありません。
同じ決算内容でも、申し込む時期や伝え方一つで結果は天と地ほど変わるのです。
この記事では、あなたの会社の状況に合わせて融資の可能性を最大限に高める「ベストタイミング」を解説します。
これを読めば、もうタイミングで迷うことはありません。
自信を持って銀行と対話し、必要な資金を確保するための具体的な一歩を踏み出せるはずです。
この記事に関する目次
1.【大原則】融資タイミングを見極める「3つの鉄則」
個別のタイミングを解説する前に、まず覚えていただきたい大原則が3つあります。
(1)「お金があるとき」に借りるのが最強
意外に思われるかもしれませんが、銀行が最もお金を貸したい相手は「今すぐにはお金を必要としていない財務が健全な会社」です。
手元資金が尽きる寸前に駆け込むのではなく、余裕があるうちに将来の投資や不測の事態に備えておく。
この姿勢が銀行からの信頼を勝ち取ります。
(2)「客観的な数字」で未来を語る
「頑張ります」「売上を上げます」といった精神論は銀行員には響きません。
なぜ業績が改善するのか、その根拠は何かを決算書や試算表、事業計画書といった「客観的な数字」で示すことが絶対条件です。
稟議書を書く担当者が上司を説得できる材料を提供してあげましょう。
(3)銀行との対話は「定期的」に
融資が必要な時だけ銀行に連絡するのではなく普段から自社の状況を報告し、コミュニケーションを取っておくことが極めて重要です。
良好な関係性があれば、いざという時に親身に相談に乗ってくれますし、銀行側から有利な提案をしてくれることもあります。
2.【攻めのタイミング】決算好調時に最大の果実を得る
タイミング1:決算書が完成した直後
これは融資申し込みにおける「ゴールデンタイム」です。
特に黒字決算で前期よりも財務指標が改善していれば、これ以上ない絶好の機会です。
【銀行員の本音】
「良い決算書が出てきたぞ!この会社は伸びているな。今のうちにしっかり融資をして、取引を深めておきたい。
余計な資料(試算表など)を求めずに、この決算書だけで稟議が書けるから、手続きもスムーズに進められる。」
このタイミングで、今期に必要な資金額や設備投資計画を伝えることで、最も有利な条件(プロパー融資や低金利)を引き出しやすくなります。
【元銀行員が教える!決算書と合わせて提出すべき「魔法の1枚」】
それは、シンプルな「事業計画書」や「営業報告書」です。
詳細で複雑なものである必要はありません。
以下の4点をA4一枚程度にまとめるだけで融資の可能性は劇的に高まります。
ⅰ:事業を取り巻く環境: 業界の動向、市場の変化、経済状況など、業績に影響を与えた外部要因。
Ⅱ:当期の業績の概要:前期実績、当期実績との比較
Ⅲ:来期の見通し:来期の計画と将来の業績予想や経営戦略など
Ⅳ:金融機関への依頼事項
担当者はこの1枚を稟議書に添付するだけで、上司への説明が格段にしやすくなるのです。
これは、担当者への最高の「アシストパス」だと考えてください。
【成功事例①】決算直後の計画書で希望額以上のプロパー融資を獲得
| 企業 | 年商8,000万円の金属加工業 B社 |
| 状況 | 2期連続の増収増益で決算を終えた。 |
| アクション | 決算報告の際、税理士と作成した来期の事業計画書(新型機械導入による生産性向上と売上増の見込みを記載)を提出し、設備資金として1,500万円の融資を希望。 |
| 結果 | 銀行側は将来性を高く評価。「ぜひ当行でメインで応援させてほしい」とプロパー融資(銀行独自の融資)で2,000万円の融資を提案され実行に至った。 |
3.【守りのタイミング】業績不振でも融資を引き出す逆転の一手
赤字決算だったり、決算後の融資打診がうまくいかなかったりした場合でも諦める必要は全くありません。ここからが腕の見せ所です。
タイミング2:試算表で「回復の兆し」が見えた時
決算は過去1年間の結果に過ぎません。銀行が見たいのは「今と未来」です。
たとえ決算が赤字でも、その後の月次試算表でポジティブな変化が見えれば、それは力強いメッセージになります。
・ベスト:預金残高も十分あり、単月黒字かつ累積黒字に転換したタイミング
・ベター:単月黒字が2〜3ヶ月続いたタイミング(累積では赤字でもOK)
【銀行員の本音】
「決算は赤字だったが、社長が言っていた対策が功を奏して、業績が回復してきたな。
ここが底だと判断できれば、融資で後押しする意義がある。稟議書にも『業績は回復基調』と書けるぞ。」
この時、預金残高が少ない場合は「売上増加に伴う仕入資金が必要」といった前向きな理由を説明しましょう。
その際に「資金繰り表」を提出し、この融資によって事業がさらに安定することをアピールできれば万全です。
【成功事例②】赤字決算から3ヶ月後の試算表でつなぎ融資を確保
| 企業 | 年商4,000万円のWeb制作会社 C社 |
| 状況 | 前期は大型案件の失注が響き、創業以来初の赤字決算。 |
| アクション | 決算後、必死に新規営業を行い、3ヶ月連続で単月黒字を達成。その月次試算表と受注残を加味した向こう半年間の資金繰り表を持参し、銀行に「一過性の赤字であり、既に回復基調にある」ことを説明。運転資金として500万円を申し込んだ。 |
| 結果 | 計画的な行動と数字による証明が評価され信用保証協会付きで500万円の融資が決定。資金繰りを安定させ次の成長への基盤を固めることができた。 |
【失敗事例】資金ショート寸前の「SOS」では手遅れに
| 企業 | 年商3,000万円の飲食店 D社 |
| 状況 | 売上減少が続き、赤字が慢性化。銀行への報告を怠り、日々の支払いに窮する状態に。 |
| アクション | 手元資金が底をつく1週間前に銀行へ駆け込み、「来週までに1,000万円貸してほしい」と懇願。 |
| 結果 | 計画性のなさと、もはや融資では立て直せないほどの窮状を問題視され融資は謝絶。「なぜもっと早く相談してくれなかったんですか…」と担当者に言われた時には、もう打つ手がなかった。半年前なら再生計画を共に考える時間があったかもしれません。 |
4.【チャンスのタイミング】銀行が「貸したくなる」特別な時期
自社の状況とは別に、銀行側の都合で融資のハードルが下がる「ボーナスタイム」が存在します。
これを知っているかどうかで、交渉の有利さが変わります。
タイミング3:銀行の「期末」である2月・8月
多くの銀行は3月期末、9月中間期末です。
その直前である2月や8月は、支店や担当者が融資残高の目標達成(ノルマ)のために追い込みをかけはじめる時期です。
【銀行員の本音】
「今月中にあと〇〇円、融資を実行しないと目標に届かない…!多少条件が厳しくても、何とか稟議を通して実績を作りたい!」
ここだけの話ですが、この時期は支店長や役席者のボーナス査定にも直結するため現場は必死です。
普段なら渋られるような案件でも検討してくれる可能性が高まります。
ただし、3月や9月に入ってからでは「今からじゃ間に合わない」と後回しにされるため、少し早めに相談を開始するのがコツです。
タイミング4:新しい「制度融資」が発表された時
国や自治体、信用保証協会などが新しい融資制度(例:コロナ関連融資、DX推進融資など)を開始した直後は絶好のチャンスです。
【銀行員の本音】
「新しい制度が出たぞ!他行に取られる前に、うちで実績を作らなければ。本部からも推進するよう指示が出ている。積極的に提案しよう。」
制度開始当初は、実績作りのために審査のハードルが比較的低くなる傾向があります。
銀行の担当者から案内が来た場合は、まさに「渡りに船」です。積極的に検討しましょう。
タイミング5:銀行から「新規融資」の打診があった時
既存の取引銀行や、まだ取引のない銀行から「融資しませんか?」と声がかかった場合、それはあなたの会社が優良だと評価されている証拠です。
・既存行からの打診:既に決算書などを分析し、支店内で「この会社なら貸せる」という合意形成ができているケースがほとんどです。
・新規行からの打診:帝国データバンク等の評点を元に、融資先候補としてリストアップされています。取引を拡大するチャンスです。
【注意点】
この時、安易に信用保証協会付き融資の提案に乗らないようにしましょう。
「プロパー融資でご検討いただけませんか?」と切り返すことで銀行の本気度を測ることができます。
保証協会付き融資は枠さえあれば新規取引行でも可能です。
そのため、「最後の切り札」として温存しておくのが賢明です。
5.特定の目的がある場合の最適なタイミング
明確な資金使途がある場合は、その計画段階から銀行を巻き込むことが成功の鍵です。
タイミング6:設備投資を計画している時
「見積書」があり資金使途が明確な設備投資は銀行にとって非常に取り組みやすい融資です。
【やってはいけないこと】
自己資金で設備を購入した後に「資金が減ったので運転資金を貸してください」と申し込むこと。
これは計画性のなさを露呈する最悪のパターンです。
【正解】
設備導入の計画段階で見積書を持って銀行に事前相談することです。
「この設備投資でこれだけ生産性が上がり売上が伸びます」と説明すれば設備資金はもちろん、それに伴って必要になる運転資金もセットで検討してくれます。
タイミング7:補助金が採択された時
補助金は入金までに時間がかかるケースがほとんどです。
その間の「つなぎ資金」として融資を活用しましょう。
【ポイント】
補助金の申請書を作成する段階で借入予定金融機関として事前に相談している銀行名を記載しておきましょう。
採択後の融資手続きが非常にスムーズになります。
銀行としても、補助金という返済原資が見えているため安心して融資できます。
タイミング8:取引のない金融機関からのセールス
取引のない金融機関から新規融資の打診があったタイミングは積極的に対応することをお勧めします。
この場合、取引のない金融機関としては帝国データバンクや商工リサーチの評点などから融資の取り組みを検討できる企業とリストアップし新規融資の打診があったものと考えて間違いないです。(但し、取引のない金融機関からの融資セールスがあっても求められる資料の内容次第で謝絶のケースもありますので注意が必要です。)
そのため、求められる書類(履歴事項全部証明書、過去3期分の決算書や借入の分かる書類)を用意し積極的に対応することが良いでしょう。
なお、取引のない金融機関からの新規融資の打診内容が信用保証協会付き融資であれば既存行でも調達可能です。そのため、プロパー融資が前提か否かという判断は必要になります。
6.すぐに使える!融資タイミング見極めチェックリスト
融資を申し込む前に、以下の準備ができているか確認しましょう。
| チェック項目 | YES | NO | 備考 |
| ①決算書は黒字で、前期より改善しているか? | □ | □ | YESなら「攻めのタイミング」 |
| ②直近3ヶ月の月次試算表は単月黒字か? | □ | □ | 赤字決算でもYESなら「守りのタイミング」として交渉可能 |
| ③今は銀行の期末(2月・8月)に近いか? | □ | □ | YESなら「チャンスのタイミング」 |
| ④明確な資金使途(設備投資など)があるか? | □ | □ | YESなら計画段階で相談を |
| ⑤向こう半年間の資金繰り表を作成できるか? | □ | □ | 苦しい時ほど必須。信頼度が格段に上がる。 |
| ⑥銀行の担当者と定期的にコミュニケーションを取っているか? | □ | □ | NOなら、まずは情報提供から関係作りを。 |
7.銀行員からの想定問答集 Q&A
Q1.「なぜ今、資金が必要なのですか?」
A1.「はい。おかげさまで新規の受注が増えており、それに伴う仕入資金・外注費として〇〇万円が必要です。この資金があれば、さらに売上を〇〇円伸ばすことが可能です。こちらがその根拠となる受注状況と資金繰り表です。」(前向きな理由と数字で答える)
Q2.「決算が赤字ですが、今後はどう立て直すのですか?」
A2.「ご指摘の通り、前期は〇〇が原因で赤字となりました。深く反省しております。しかし、すでに対策として〇〇と〇〇を実行しており直近3ヶ月は黒字に転換しております。この融資で〇〇を行えば、通期での黒字化が見込めると考えています。こちらの事業計画をご覧ください。」(原因→対策→未来をセットで語る)
8.まとめ:賢くタイミングを選び、経営の舵を取る
(1)融資は「お金があるうち」に「計画的に」申し込むのが鉄則。
(2)決算直後の好業績時は、最も有利な条件を引き出せるゴールデンタイム。
(3)赤字決算でも試算表で「回復の兆し」を示せれば、逆転のチャンスはある。
(4)銀行の期末である2月・8月は、審査のハードルが下がりやすいボーナスタイム。
(5)新しい制度融資や銀行からの打診は、積極的に活用すべき追い風。
(6)設備投資や補助金関連の融資は、計画段階での「事前相談」が成否を分ける。
(7)どんな時も、精神論ではなく「客観的な数字(事業計画書・資金繰り表)」で語ること。
9.社長が次に取るべき3つのアクション
この記事を読んで「なるほど」で終わらせては意味がありません。早速、以下の行動に移しましょう。
(1)自社の「今」を把握する
最新の決算書と直近3ヶ月程度の月次試算表を手元に準備し、自社がどのタイミングに当てはまるか確認してください。
(2)「魔法の1枚」の骨子を作る
A4一枚で構いません。来期の売上・利益目標と、その根拠を書き出してみましょう。顧問税理士に相談するのも良い方法です。
(3)取引銀行の担当者に連絡する
融資の申し込みでなくても構いません。「最近の状況報告です」と、試算表や事業計画の骨子を持って訪問しましょう。この小さな一歩が、未来の資金繰りを大きく変えます。
融資は経営者が使える強力な武器です。
正しい知識とタイミングで、この武器を最大限に活用し会社の成長を実現してください。
資金繰りが厳しく、資金調達の準備が必要、自社に合った融資制度を知りたい、
手続きが難しそうで進める自信がないなど
元銀行員が融資獲得まで
サポートします!
- 資金繰りが厳しく、資金調達の準備をしなければ心配。
- 自分に合った融資制度を知りたい。
- 手続きはが難しそうで、自分ではなかなか進められない。
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- 手続きはが難しそうで、自分ではなかなか進められない。
