【融資獲得の鍵】金融機関がチェックする決算書の9つのポイント
融資を受けたいけれど、審査に通るかどうか不安・・・。中小企業経営者の方なら、誰もが抱える悩みですよね。金融機関は、融資の可否を判断する上で、提出された決算書の内容を細かくチェックしています。
この記事では、金融機関が特に注目する決算書のポイントを9つ解説します。これらのポイントを押さえて決算書を作成しておくことで、融資審査を有利に進められる可能性が高まります。
金融機関がチェックするポイントとは?
金融機関は、企業の信用度を測るために決算書を分析します。その際、単に利益が出ているかだけでなく、粉飾やごまかしがないか、健全な経営状態であるかを様々な角度からチェックしています。
ここでは、決算書の勘定科目ごとに、金融機関がチェックするポイントと、その理由を具体的に見ていきましょう。
この記事に関する目次
- 1.【融資審査の落とし穴】決算書の「現金」が多すぎるとどうなる?
- 2.【融資審査の落とし穴】「売掛金」の水増しはバレる?金融機関がチェックする3つのポイント
- 3.【融資審査の落とし穴】「棚卸資産」の過大計上はこう見破られる!
- 4.【融資審査で危険信号!?】「仮払金」の計上はなぜダメ?
- 5.【融資審査で大減点!?】決算書に「貸付金」があるとどうなる?
- 6.【決算書の落とし穴】減価償却費をケチるとどうなる?融資審査への影響は?
- 7.【決算書で発覚!?】社会保険料の支払いが遅延しているとどうなる?
- 8.【融資審査の盲点】「投資有価証券」が招くリスク!金融機関が注意深くチェックする理由とは?
- 9.【その決算書、危険信号です!】税金延滞利息で金融機関に疑われる3つのこと
- 10. まとめ|日々の経理の重要性を再認識しよう
1.【融資審査の落とし穴】決算書の「現金」が多すぎるとどうなる?
「決算書に現金が多めに残っているくらいなら問題ないのでは…?」
そう思っていませんか?
実は、金融機関は決算書の「現金勘定」を厳しくチェックしています。
なぜなら、現金勘定が多すぎる場合、粉飾決算や資金管理の甘さを疑われる可能性があるからです。
今回は、中小企業経営者の方向けに、 現金勘定の適切な管理方法について、具体例を交えながら分かりやすく解説します。
(1)なぜ「現金」が多すぎるとダメなの?
金融機関は、企業が資金を有効活用しているかを重視します。
通常、企業は運転資金や設備投資などに必要な資金以外は、預金したり、運用したりするのが一般的です。
そもそも中小企業が多額の現金を保有していることが不自然です。
そのため、多額の現金が眠っている状態を見ると、金融機関は以下のように考えます。
①「本当に事業がうまくいっているのか?」
②「資金管理がずさんで、無駄な支出が多いのではないか?」
③「不正な現金取引を隠蔽しているのではないか?」
(2)よくある事例:交際費の領収書漏れで「現金」が増える?
では、具体的にどのようなケースで現金勘定が多くなってしまうのでしょうか?
例えば、交際費の領収書のもらい忘れです。
【事例】
①取引先との接待で10万円を使い、普通預金から現金を引き出した。
②会計処理のため領収書を探したが見つからない…
③会計処理ができず、現金10万円がそのまま残ってしまった。
この場合、決算書上では以下のようになります。
ア)普通預金:▲10万円
イ)接待交際費:計上なし
ウ)現金:+10万円
本来計上すべき 「接待交際費」が過少になり、その分 「現金」が増えている状態です。
金融機関から見ると「本当に費用が発生したのか?」「意図的に経費を少なく見せかけているのでは?」と疑われても仕方ありません。
(3)「現金」が多いとどうなる?
決算書上の現金勘定が多すぎる場合、以下のようなリスクがあります。
①融資審査に通りにくくなる
②融資条件が悪化する
③金融機関からの信用を落ちる
金融機関は、決算書の内容を総合的に判断します。
現金勘定が多すぎるという一点だけで融資を断られるわけではありませんが、他の項目にも懸念点がある場合、審査通過のハードルは高くなるといえます。
(4)まとめ:日頃から適正な現金管理を!
①金融機関は、決算書の「現金勘定」をチェックしている!
②現金が多すぎる場合、粉飾決算や資金管理の甘さを疑われる!
③日頃から領収書の管理を徹底し、適正な会計処理を行うことが大切!
④現金勘定の減少方法の説明を求められる可能性がある!
これらの点を意識し、健全な経営をアピールできる決算書を作成しましょう。
2.【融資審査の落とし穴】「売掛金」の水増しはバレる?金融機関がチェックする3つのポイント
「売掛金を多めに計上すれば、決算書上の業績が良くなる…?」
短絡的にそう考えてしまう経営者もいるかもしれません。
しかし、金融機関は「売掛金勘定」を厳しくチェックしています。
安易な気持ちで売掛金を水増しすると「粉飾決算」とみなされ、融資審査に悪影響を及ぼす可能性があります。
今回は、中小企業経営者向けに、売掛金の水増しを見破られる理由と適正な売掛金管理の重要性について具体例を交えながら解説します。
(1)なぜ「売掛金の水増し」はダメなの?
売掛金とは、商品やサービスを提供したにも関わらず、まだ代金を受け取っていない債権のことです。
売掛金を水増しすると、一時的に売上高や利益を大きく見せかけることができます。しかし、実際には架空の売上であり、会社にキャッシュは入ってきません。
金融機関は、粉飾決算を見抜くプロです。売掛金の水増しは、以下のような方法で見破られます。
①月商や取引条件との整合性チェック
金融機関は、過去の決算書や試算表、取引状況などを分析し、企業の平均的な月商や入金サイクルを把握しています。
もし、決算書上の売掛金が、過去の傾向と比べて不自然に増加している場合、「売掛金を水増ししているのでは?」と疑われます。
【事例】
ア)毎月の売上高が2,000万円程度の企業が、決算月だけ5,000万円に急増。
イ)売掛金の回収期間が通常は30日以内なのに、決算月だけ90日以上に延びている。
②決算書提出後の入金状況の確認
金融機関は、決算書提出後に、企業の銀行口座の入出金明細を確認することができます。
決算書に計上されている売掛金が、実際に回収されているかどうかを確認することで水増しの有無を見抜きます。
【事例】
ア)決算書には多額の売掛金が計上されているが、提出後の入金状況を確認すると、ほとんど回収できていない。
イ)売掛金として計上されている取引先が存在しない、または取引実績がない。
③売掛金の内訳確認
金融機関は、売掛金の内訳について、取引先名、金額、請求日、支払期日などを具体的に確認する場合があります。
曖昧な回答しかできない場合や、証拠となる資料を提出できない場合は、水増しを疑われる可能性が高まります。
(3)「売掛金の水増し」がもたらすリスク
売掛金を水増しして一時的に業績を良く見せかけても、長期的なメリットはありません。
むしろ、以下のような重大なリスクを伴います。
①金融機関からの信用失墜
・粉飾決算は、企業の信用を大きく損なう行為です。
・一度信用を失うと、その後の融資や取引に大きな影響が出ます。
②融資の拒否や債務回収
・金融機関は、粉飾決算を行った企業に対して、融資を拒否したり既存の融資を回収したりする可能性があります。
③法的責任
・悪質な粉飾決算は、会社法違反や金融商品取引法違反などの罪に問われる可能性があります。
(4)まとめ:適正な売掛金管理を徹底しよう
①売掛金の水増しは、金融機関に見破られる!
②安易な気持ちで粉飾決算を行うと、信用を失墜させるだけでなく、法的責任を問われる可能性もある!
③日頃から適正な会計処理を行い、健全な経営を心がけることが大切!
売掛金管理を適切に行うことは、健全な経営を維持するために不可欠です。
3.【融資審査の落とし穴】「棚卸資産」の過大計上はこう見破られる!
「在庫は資産だから、多く計上した方が決算書は良くなる…?」
そう考えていませんか?
実は、金融機関は「棚卸資産」の計上額をチェックしています。
棚卸資産を過大に計上すると、利益を水増ししているとみなされ融資審査に悪影響を及ぼす可能性があります。
今回は、中小企業経営者の方向けに、棚卸資産の過大計上を見破られる理由と適正な在庫管理の重要性 について、具体例を交えながら解説します。
(1)なぜ「棚卸資産の過大計上」はダメなの?
棚卸資産とは、販売を目的として保有している商品や製品、製造途中の仕掛品、原材料などを指します。
棚卸資産を過大に計上すると、本来計上すべき「売上原価」が減り、その分「利益」を多く見せかけることができます。
しかし、これは 粉飾決算にあたり企業の健全性を著しく損なう行為です。
金融機関は、粉飾決算を見抜くプロです。棚卸資産の過大計上は、以下のような方法で見破られます。
①売上高や原価率との整合性チェック
金融機関は、過去の決算書や業界の平均データなどを参考に、企業の売上規模に対して適正な棚卸資産の金額を算出します。
もし、決算書上の棚卸資産が、売上高や原価率と比べて不自然に多い場合、「過大計上しているのでは?」と疑われます。
【事例】
①売上高が前年比で横ばいなのに、棚卸資産だけが大幅に増加している。
②原価率が、同業他社と比べて極端に低い。
②棚卸の実施状況の確認
金融機関は、企業が棚卸を適切に実施しているかどうかも確認します。
棚卸とは、決算日における棚卸資産の実数量を把握しその評価を行う手続きです。棚卸が適切に行われていない場合、棚卸資産の計上額が不正確になる可能性があります。
【事例】
①棚卸の実施記録がなく、棚卸資産の実在性を確認できない。
②棚卸の方法がずさんで、正確な数量を把握できていない。
③陳腐化や評価損 のリスク評価
・金融機関は、棚卸資産の陳腐化リスクも評価します。
陳腐化とは、技術の進歩や流行の変化などにより製品の価値が低下することです。陳腐化しやすい製品を多く抱えている場合、棚卸資産の評価損が発生するリスクが高まります。
【事例】
①長期滞留在庫が多い。
②需要変動の激しい業界で、旧型の製品を多く抱えている。
④ソフトウェア仮勘定の計上状況の確認
・ソフトウェア開発会社の場合、「ソフトウェア仮勘定」の計上状況もチェックされます。
ソフトウェア仮勘定とは、開発中のソフトウェアに係る費用を一時的に計上する勘定科目です。
開発が完了していないにも関わらず、ソフトウェア仮勘定をソフトウェア勘定に振り替えている場合、過大計上とみなされる可能性があります。
逆に、開発が完了しているにも関わらず、ソフトウェア仮勘定をソフトウェア勘定に振り替えておらず償却費も計上していない場合、過少過大とみなされる可能性があります。
【事例】
①開発が遅延しているにも関わらず、ソフトウェア仮勘定からソフトウェア勘定に振り替えている。
②開発進捗状況を証明する資料を提出できない。
(3)「棚卸資産の過大計上」がもたらすリスク
・棚卸資産の過大計上は、一時的に利益を水増しできても、長期的なメリットはありません。
むしろ、以下のような重大なリスクを伴います。
①金融機関からの信用失墜
・粉飾決算は、企業の信用を大きく損なう行為です。
・一度信用を失うと、その後の融資や取引に大きな影響が出ます。
②税務調査のリスク増加
・棚卸資産の過大計上は、脱税行為とみなされる可能性があります。
③経営判断の誤り
・不正確な会計情報に基づいて経営判断を行うと、業績悪化に繋がりかねません。
(4)まとめ:適正な在庫管理と会計処理を!
①棚卸資産の過大計上は、金融機関に見破られる!
②安易な気持ちで粉飾決算を行うと、信用を失墜させるだけでなく、法的責任を問われる可能性もある!
③日頃から適正な在庫管理を行い、正確な会計処理を行うことが大切!
適正な棚卸資産管理は、健全な経営を維持するために不可欠です。
4.【融資審査で危険信号!?】「仮払金」の計上はなぜダメ?
「仮払金」は、経理処理を簡易的に済ませたい時につい使ってしまいがちな勘定科目です。
しかし、決算書上に多額の仮払金が残っていると、金融機関は「資金管理がずさんな企業」と判断し、融資に消極的になる可能性があります。
今回は、中小企業経営者の方向けに、仮払金の正しい処理方法と、放置することのリスクについて、具体例を交えながら詳しく解説します。
(1) 仮払金とは?本来の使い方を理解しよう
まず、仮払金の本来の意味合いを正しく理解しておきましょう。
仮払金とは、「誰に、何のために支払ったか」 がまだ確定していない支出を一時的に計上するための勘定科目です。
【例】
①急な出張で、従業員が出張費を立て替えた場合
②事務用品を購入したが、請求書がまだ届いていない場合
これらのケースでは、後日、領収書の提出や請求書の到着によって「誰に」「何の目的で」支払ったかが明確になります。
(2)なぜ「仮払金」を放置するとダメなの?
決算書は、企業の経営状況を正しく表すための重要な書類です。
仮払金を放置すると、以下のような 問題点が生じます。
①費用の計上漏れによる利益の過大計上
・仮払金の計上期間が長引くと、本来計上すべき費用が計上されず、利益が実際よりも多く見えてしまう。
・金融機関は、粉飾決算の可能性を疑い、企業の信用度を低く評価する。
②資金管理の不透明化
・仮払金の残高が多いと、資金の使い道が不明瞭になり、資金管理の甘さを露呈してしまう。
・金融機関は、融資した資金が適切に運用されないリスクを懸念する。
(3)【事例】仮払金の放置でどうなる?
【ケース1】経費の精算漏れ
・営業担当者が、顧客との接待で立て替えた飲食代(例えば、5万円)を仮払金として計上。
・しかし、領収書を紛失したため、そのまま精算されずに放置。
【結果】
・接待交際費が過少計上となり、利益が実際よりも5万円多く計上される。
・5万円の使途が不明瞭なままとなり、資金管理の甘さを疑われる。
【ケース2】不正な支出の隠れ蓑に
・ 会社の資金を私的に流用した事実を隠蔽するため、架空の出張費を計上し、仮払金として処理。
【結果】
・粉飾決算となり、金融機関からの信用を失墜させるだけでなく、刑事罰の対象となる可能性もある。
(4)まとめ:仮払金は速やかに精算!日頃から適切な処理を
①「仮払金」は、あくまでも一時的な勘定科目!
②放置すると、粉飾決算や資金管理の甘さを疑われる!
③日頃から領収書をきちんと保管し、速やかに精算処理を行うことが大切!
仮払金の発生は避けられないケースもありますが、決算書の作成時には可能な限り残高をゼロに近づけることを心がけましょう。
5.【融資審査で大減点!?】決算書に「貸付金」があるとどうなる?
「困っている取引先に、一時的にお金を貸してあげるのも経営判断の一つでは?」
そう考える経営者もいるかもしれません。
しかし、金融機関は、決算書に「貸付金」が計上されていると融資に非常に慎重になります。
なぜなら、貸付金は回収不能になるリスクがある上、本業以外への資金流用とみなされ企業の信頼性を損なう可能性があるからです。
今回は、中小企業経営者の方向けに、貸付金がもたらすリスクと、決算書に計上しないための対策について、具体例を交えながら詳しく解説します。
(1)なぜ「貸付金」があるとダメなの?
金融機関は、融資をする際、「融資した資金が、事業の成長のために使われる」ことを期待しています。
しかし、決算書に貸付金があると、以下のような疑念を抱かれます。
①資金繰りの悪化
・本業で十分な利益が出ていないため、資金を貸し付けなければいけない状況なのではないか?
・貸付金の回収が滞れば、自社の資金繰りも悪化するリスクがある。
②本業への集中力の低下
・本業以外のことに資金を投じているということは、本業に集中できていないのではないか?
・貸付金の回収など、本業以外の業務に時間を取られ、経営が非効率になる可能性もある。
③モラルハザード
・架空の貸付金や、回収可能性の低い貸付を行っている場合、経営者のモラルを疑われる可能性がある。
(2)【事例】「貸付金」の計上が招くリスクとは?
【ケース1】取引先の倒産による貸付金回収不能
・資金繰りが苦しい取引先に対して、100万円を貸し付けた。
・しかし、その後、取引先が倒産。貸付金は回収不能に。
【結果】
・100万円の損失が発生し、財務状況が悪化する。
・金融機関からの信用を失い、今後の融資が受けにくくなる。
【ケース2】関連会社への不透明な資金提供
・業績の悪い関連会社を支援するために、多額の資金を貸し付けていた。
・しかし、関連会社への資金提供は、実質的には赤字の穴埋めであり、回収の見込みは低い。
【 結果】
・粉飾決算とみなされ、金融機関からの信用を失墜させる。
・税務調査の際に、問題視される可能性もある。
(3)まとめ:安易な貸付は避け、健全な財務体質を構築しよう
①金融機関は、「貸付金」に対して非常に厳しい!
②貸付金は、回収不能や資金流用を疑われ、企業の信用を大きく損なう可能性がある!
③安易な貸付は避け、本業で収益を上げる経営を!
どうしても貸付を行う必要がある場合は、契約書を作成する、担保を取得するなど、回収リスクを最小限に抑える対策を講じましょう。
そして、金融機関に対しては、貸付の理由や回収計画を明確に説明し理解を得ることが重要です。
資金に余裕がある企業でも、貸付金は慎重に扱うべきです。
日頃から健全な財務体質を構築し、金融機関から信頼される企業を目指しましょう。
6.【決算書の落とし穴】減価償却費をケチるとどうなる?融資審査への影響は?
「減価償却費って、実際に現金が出ていくわけじゃないし、少なく見積もってもバレないのでは…?」
そう考えている経営者の方もいるかもしれません。
しかし、減価償却費の計上を怠ると金融機関からの評価はガタ落ちになります。
減価償却費は決算書の別表十六(二)「減価償却資産の明細書」で簡単に分かってしまいます。
融資審査はもちろん、その後の経営判断にも悪影響を及ぼす可能性があります。
(1)そもそも「減価償却費」とは?
減価償却費とは、建物や機械設備など、長期にわたって使用する固定資産の価値が目減りしていくことを費用として計上するものです。
例えば、100万円で購入した機械を10年間使うとします。(簡易的な例えのため、残存価格や定率法などの考え方は除きます)
この場合、1年あたり10万円ずつ価値が減っていくと考え、毎年10万円を「減価償却費」として計上** していきます。
(2)なぜ「減価償却費」を適正に計上すべきなのか?
減価償却費を適正に計上する理由は、主に以下の3つです。
①利益を正確に把握するため
減価償却費を計上しないと、利益が実際よりも多く見えてしまいます。
正確な利益を把握することで、健全な経営判断を行うことができます。
②税負担を適切にコントロールするため
減価償却費は、税務上、費用として認められています。
適正に計上することで、節税効果を期待できます。
③金融機関からの信頼を得るため
金融機関は、企業の財務状況や経営の透明性を重視します。
減価償却費を適切に計上することは、健全な財務体質を示す指標となり融資審査においてもプラスに働きます。
(3) 【事例】減価償却費の未計上が招くリスク
【ケース】新工場取得費用の計上を先延ばし
・A社は、事業拡大のため、5,000万円で新工場を取得。
・減価償却費を計上すると利益が減ってしまうため、 減価償却費を計上せず、取得費用を全額資産計上する会計処理を行った。
・その結果、実際よりも利益が過大計上された決算書を作成。
【結果】
・見かけ上の利益は大きくなったが、実際には多額の納税を迫られることに。
・資金繰りが悪化し、設備投資や事業拡大の計画に支障が出てしまった。
・金融機関からは、会計処理の不透明さを指摘され融資審査で不利な扱いを受けることに。
(4)まとめ:減価償却費の適正計上で、健全な経営を!
減価償却費は、企業にとって 「将来の投資のための費用」とも捉えることができます。
適切に計上することで、利益の圧縮、税負担の軽減、そして金融機関からの信頼獲得にもつながります。
7.【決算書で発覚!?】社会保険料の支払いが遅延しているとどうなる?
「社会保険料の支払いは、ちょっとくらい遅れても大丈夫だろう…」
そう安易に考えていませんか?
実は、決算書に社会保険料の支払いが遅れている事実が記載されていると、 金融機関からの評価を大きく下げてしまいます。
今回は、中小企業経営者の方へ、社会保険料の支払いを遅延するリスクを、具体例を交えながら詳しく解説します。
(1)決算書の「未払金」に要注意!
決算書には、「未払金」という項目があります。
これは、商品やサービスの提供を受けたにも関わらず、まだ支払いが完了していないものを計上する科目です。
未払金の内訳には、取引先への買掛金や従業員への給与などが含まれますが、社会保険料も含まれるケースがあります。
金融機関は、この 「未払金の内訳」を見て、企業の資金繰りやコンプライアンス意識を慎重にチェックしています。
(2)なぜ社会保険料の支払いが遅れるとダメなの?
社会保険料の支払いを遅延すると、企業は以下のようなリスクにさらされます。
①金融機関からの信用失墜
社会保険料の支払いが遅れているという事実は、資金繰りが逼迫していることを示唆します。
金融機関は、融資をしたくても、返済能力に疑問を持ち、融資を渋ったり、金利を引き上げたりする可能性があります。
②従業員のモチベーション低下
社会保険は、従業員にとって将来の安心を担保する重要な制度です。
支払いの遅延は、従業員の会社に対する不信感を募らせ、モチベーションの低下や優秀な人材の流出につながる可能性があります。
③法的リスク
社会保険料の支払いは、法律で義務付けられています。
悪質な滞納を繰り返すと、延滞金や差し押さえなどの法的措置を取られる可能性もあります。
(3)【事例】こんなケースは危険信号!
【ケース】業績悪化で社会保険料の支払いを先送り
・B社は、業績悪化により資金繰りが苦しくなり、社会保険料の支払いを数ヶ月間猶予してもらっていた。
・決算書には、未払金として社会保険料が計上されることに。
【結果】
・金融機関からの融資を断られ、資金調達に苦戦することに。
・従業員の不安が高まり、退職者が続出。人材不足に陥ってしまう。
・社会保険事務所から指導を受け、ペナルティを科されることに。
(4)まとめ:社会保険料の支払いは「企業の義務」!
①社会保険料の支払いは、法律で義務付けられた「企業の義務」!
②支払いを遅延すると、金融機関からの信用を失墜させ、従業員のモチベーションを低下させる!
③資金繰りが厳しい場合は、早急に専門家へ相談し、適切な対応を!
社会保険料の支払いは、決して後回しにしてはいけません。
万が一、支払いが困難な状況に陥った場合は、 早めに社会保険事務所に相談し分割納付などの対応を検討しましょう。
8.【融資審査の盲点】「投資有価証券」が招くリスク!金融機関が注意深くチェックする理由とは?
「余剰資金で投資をするのも、経営判断の一つでは?」
そう考える経営者の方もいるかもしれません。
しかし、融資を受けながら「投資有価証券」を保有していると、金融機関からの評価は下がり、 融資の継続にも悪影響が出る可能性があります。
今回は、決算書における「投資有価証券」のリスクと金融機関との良好な関係を築くための対策を、具体例を交えながら解説します。
(1)そもそも「投資有価証券」とは?
「投資有価証券」とは、株式や債券などの有価証券への投資を意味します。
企業が事業活動で得た利益や将来の事業拡大に備えた資金などを運用する際に、投資有価証券として計上されます。
(2)なぜ金融機関は「投資有価証券」を気にするのか?
金融機関が融資を判断する際に重視することは「融資した資金が、事業の成長のために使われているか」という点です。
融資を受けたにも関わらず、投資有価証券として多額の資金が運用されている場合、以下のような懸念が生じます。
①資金使途の不適切さ
融資は、あくまでも事業に必要な資金を提供するものです。
投資目的で融資を受けたわけではないにもかかわらず、投資に資金を回している場合「資金使途が不適切」と判断されかねません。
②事業リスクへの無関心さ
企業は、常に業績悪化や予期せぬ事態に備えて、健全な財務体質を維持することが求められます。
赤字にも関わらず投資に資金を回している場合、本業のリスクを軽視している、資金管理の意識が低いと判断される可能性があります。
③投資による損失リスク
投資には、常に損失のリスクが伴います。
投資で損失を出した場合、本業の業績を圧迫するだけでなく融資の返済にも影響を及ぼす可能性があります。
(3)【事例】投資有価証券が招いた「金融機関とのトラブル」
【ケース】好調な利益を株式投資に…
・D社は、長年、安定した利益を上げていましたが、近年は競争激化により、将来の収益に不安を感じていました。
・そこで、余剰資金を株式投資に回し、少しでも多くの利益を得ようと考えました。
・しかし、その矢先に取引先の倒産という予期せぬ事態が発生。
・運転資金が不足し、追加融資を受けようとしたところ「投資に資金を回している場合ではないのでは?」と金融機関から厳しい指摘を受け融資を断られてしまいました。
(4)まとめ:投資は計画的に!まずは「本業」を安定させる
投資自体は、決して悪いことではありません。
しかし、融資を受けている状況であれば、まずは「本業」を安定させ健全な財務体質を構築することが最優先です。
その上で、余剰資金の範囲内で、計画的かつ慎重に投資を行うようにしましょう。
9.【その決算書、危険信号です!】税金延滞利息で金融機関に疑われる3つのこと
「税金の支払いくらい、数日遅れても問題ないだろう…」
そう思っていませんか?
実は、決算書の別表に「税金の延滞利息」が計上されていると、金融機関は企業の信用度を下げてしまいかねません。
今回は、中小企業経営者の方へ、税金の延滞がもたらすリスクを、具体例を交えながら詳しく解説します。
(1)金融機関が注目する「決算書の別表」とは?
決算書は、企業の経営状況を把握するための重要な資料ですが、その中には 「別表」という項目があります。
別表には、本表だけでは分かりにくい詳細な情報が記載されており、金融機関はこの別表まで細かくチェックして企業の財務状況や経営の健全性を分析しています。
そして、特に注目される項目の一つが「税金等の延滞利息」です。
(2)なぜ「税金の延滞」はダメなのか?
金融機関は、税金の延滞に対して、以下のように ネガティブな印象を抱きます。
①資金繰りの悪化
・税金の支払いを遅延しているという事は、資金繰りが逼迫していることを意味します。
金融機関は「融資をしても返済が滞るのではないか」「差し押さえられるのではないか」と不安を抱き、融資を躊躇する可能性があります。
②経理体制のずさんさ
税金の納付期限は法律で定められています。
これを守れないという事は、ルーズな経営をしている、コンプライアンス意識が低いなど、企業としての信用問題に発展しかねません。
③経営者のモラル
税金は、国民の義務として納めるべきものです。
支払いを軽視するような姿勢は、経営者としての資質を疑われかねません。
(3)【事例】こんなケースは要注意!
【ケース】納税を先延ばしにした結果
・C社は、新しい設備投資のため、手元の資金を確保しておきたいと考え、法人税の納付を数ヶ月間延期した。
・その結果、決算書の別表に 「延滞利息」が計上されることに。
【結果】
・金融機関からの融資審査で、「資金管理がずさん」と指摘され、希望額の融資を受けられなかった。
・取引先にも「経営が不安定なのでは?」と噂が広がり、取引縮小を検討されるように。
・最終的に、資金調達が困難になり、事業の継続が危ぶまれる事態に。
(4)まとめ:税金の延滞は「百害あって一利なし」!
①金融機関は、決算書の「別表」まで細かくチェックしている!
②税金の延滞は、資金繰りの悪化、経理体制のずさんさ、経営者のモラルを疑わせる行為!
③納税は、企業にとって最も重要な義務の一つ!期限内に確実に納めよう!
万が一、税金の支払いが難しい場合は期限前に税務署に相談し猶予や延滞税の減免などの対応を取りましょう。
目先の利益にとらわれず法令遵守を徹底することが、長期的な企業の成長には欠かせません。
10. まとめ|日々の経理の重要性を再認識しよう
今回は、「金融機関の担当者が決算書をチェックするポイント」というテーマで解説しました。
これらのポイントは、決算書作成時に「どうすれば見栄えの良い決算書になるか」という視点ではなく「日々の経理を適正に行い、健全な経営を実現する」という視点を持つことが重要です。
金融機関は粉飾やごまかしを見抜くプロです。決算書の内容を操作するのではなく日々の経営活動を改善し健全な財務体質を構築することが、長期的な企業成長、そして融資審査の成功へと繋がります。
資金繰りが厳しく、資金調達の準備が必要、自社に合った融資制度を知りたい、
手続きが難しそうで進める自信がないなど
元銀行員が融資獲得まで
サポートします!
- 資金繰りが厳しく、資金調達の準備をしなければ心配。
- 自分に合った融資制度を知りたい。
- 手続きはが難しそうで、自分ではなかなか進められない。
元銀行員が融資獲得まで
サポートします!
- 資金繰りが厳しく、資金調達の準備をしなければ心配。
- 自分に合った融資制度を知りたい。
- 手続きはが難しそうで、自分ではなかなか進められない。