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失敗しない創業融資の申請書類と面談準備 — 経歴・商圏・資金繰りで金融機関を納得させる方法


創業・開業後に金融機関から融資を受けるには、業績推移と返済可能性を具体的な数字で示すことが最重要です。
元銀行員の視点で、経歴の書き方、商圏分析、初年度~以降の収支・資金繰りの作り方、面談で刺さる説明ポイントまで、想定問答を交えて解説します。
この記事を読めば銀行と自信を持って対話できるようになります。

この記事に関する目次

1.融資審査で銀行・公庫・保証協会が本当に見ていること

①返済可能性(キャッシュで返せるか)が第一の関門です。
税引後利益+減価償却費で返済原資が確保できるかを厳しく見られます。

②経営者の経歴と事業経験は高評価につながります。
過去の関連職務や人脈が事業成功の確度を高める判断材料になります。

③事業の実態確認(所在地、賃貸契約、見積・契約書)は面談・現地確認で重視されます。
信用保証協会は創業時に実地確認することが多くなってきています。(従前は申込金融機関で実地確認を完了することが多かったです。)

(元銀行員のここだけの話)
銀行の担当者は書類の信頼性を稟議で説明しやすいかで評価を変えます。
書類が整っていれば稟議書記載もスムーズに運び上席へ推薦しやすくなります。

2.申込書類で必ず押さえる8項目

経歴(職務経歴) 空白がない連続した職歴で、前職の業務内容・役職・実績・人脈を具体的に。
事業概要 屋号、所在地(実施現場)、従業員数、決算期を登記簿・定款に整合させる。
創業動機 経歴と結びつけて「なぜその業種か」「市場での強み」を説明。
強み・差別化 許認可、受賞、第三者評価、写真やパンフで実態を見せる。
商圏分析 半径、競合数、想定市場規模等の数字と図表
収支計画(初年度) 保守的に黒字化を示す(過度の楽観は逆効果)
収支計画(2期目以降) 少しずつ成長するシナリオ、返済原資の整合性。
必要資金と資金使途 設備は見積書、運転資金は月次支出×3か月目安で根拠を明示。

3.経歴(職務経歴)の書き方 — 実例とコツ

書き方のルール 入職・退職年月を連続して記載、部署・役職・主な職務、実績(数値)を短く列挙。
強調点 前職での顧客リストや主要取引先、どのように売上や効率を改善したかを数値で示す。
注意点 「空白」があると説明責任が増えるので、育児・転職活動等の理由も正直に短く記載しておく。

(元銀行員の本音)
「関連経験がある」だけで印象は格段に良くなります。
未経験は計画の堅実さでカバーするしかありません。

4.具体的事例

(1)成功事例:(ITサービス、年商5,000万円、創業後1年目→融資獲得)
業種・規模 年商5,000万円のBtoBクラウドサービス、従業員8名。
融資希望額 設備資金300万円+運転資金600万円=900万円申請。
審査結果 日本政策金融公庫より900万円の創業融資を獲得。
評価されたポイント 創業者のSaaS業界での10年の営業経験と既存クライアント10社の契約見込み、保守契約の年間売上根拠を提示した点。資金繰り表で初年度黒字+月次キャッシュフローを明示した点が決め手。

【ポイント】
既存の顧客契約(見積書や契約書、契約意向書(LOI)など)があることは説得力が高いです。

(2)成功事例:(美容室、年商1,200万円、創業前→保証協会付き融資)
業種・規模 個人美容室、想定年商1,200万円、従業員2名。
融資希望額 内装・設備500万円(設備資金)+運転資金200万円=700万円申請(信用保証協会付銀行借入)
審査結果 信用保証協会保証で700万円を受け、開業。
評価されたポイント 申請者は銀座での勤務歴7年と顧客名簿を提出、商圏分析で半径500mに競合は3店、想定顧客層が明確で回転率を保守的に算出していた点。賃貸契約の用途と内装写真で事業実態を示した点が評価された。

【ポイント】
立地に関する具体的根拠(勤務歴+顧客移転見込み)があれば、家賃の高さは許容されやすいです。

(3)失敗事例(飲食、想定年商3,000万円、開業直前で申請却下)
業種・規模 飲食店、想定年商3,000万円、従業員5名想定
融資希望額 設備・改装1,200万円、運転資金400万円=1,600万円。
審査結果 銀行から却下
問題点 初年度の売上想定が過度に楽観的(繁忙期想定のみで算出)、資金使途の一部に事前支払分が含まれていたが証拠書類が不十分、賃貸契約の使用用途が「住居」表記のまま訂正されておらず現地確認でマイナス印象。
教訓 過大な売上計画と書類不備(賃貸・見積不足)はNGになりやすい。現地確認での印象は重い。

【ポイント】
「楽観数字で審査官を納得させよう」とすると逆に不信感を生みます。
現場証拠を揃え、保守的な計画で臨むべきです。

5.即使える「チェックリスト」— 申請前確認項目

経歴 職歴に空白なし、前職の主要取引先と実績を明記していること
登記・事業概要 屋号、所在地(事業実施場所)、登記簿・定款との整合性
賃貸契約 用途が事務所/店舗使用可になっていること。コピーを提出可能
許認可 業務に必要な許認可が揃っているか(例:建設業、職業紹介、美容師免許等)
商圏資料 競合数、想定顧客数、賃料相場、図表で提示
収支計画(初年度) 月次売上・経費・税引後利益(黒字)を示す
資金繰り表 月次入出金を記載、融資実行時期と用途が明確
見積・領収 設備は見積書、すでに支払った設備費は原則融資対象外
顧客証憑 見積書・契約書・LOI等があれば同封
税・公共料金 滞納なし(信用情報のチェックに影響)

6.Q&A形式の想定問答集(面談での受け答え例)

Q1. 「初年度の売上根拠は?」

A1. 既存見込み顧客10社からの契約意向書(LOI)で月平均受注額を算出し、季節変動を見込んだ保守的な売上想定にしています。詳細は商談履歴と見積書でご説明します。

Q2. 「資金の返済原資は何ですか?」

A2. 「税引後利益+減価償却」を基に算出した返済原資で毎月の返済に充てる計画です。資金繰り表で月別のキャッシュ残高を示します。

Q3. 「賃貸契約は事業使用可能ですか?」

A3. はい。賃貸借契約書で事業使用可になっています。必要であれば管理会社からの同意書も取得済みです。

Q4. 「想定より売上が落ちたらどうする?」

A4. 人件費の変動対応、販促の強化、仕入交渉による粗利改善など複数のリカバリープランを用意しています。資金繰り表にも代替策を組み込んでいます。

7.記載例(抜粋)

(1)経歴(記載例)
20XX/04〜20YY/03 株式会社○○、営業部、課長、法人営業(年商××億円担当)、主要取引先A社・B社(担当歴5年)
実績 新規顧客獲得30社、顧客単価△%向上
(2)初年度月次計画(記載例)
1月〜12月、売上、変動費、固定費、人件費、税引後利益、減価償却、月末現金残高、融資返済予定

8.金融機関が嫌うNGの致命的ミスと回避策

致命的ミス1:賃貸契約が「住居」用途のまま申請する

回避:管理会社へ事業使用可の確認書を取り、契約書を修正または別途同意書を添付する。

致命的ミス2:初年度の不自然な過大売上計画

回避:保守的なシナリオを提示し、リスク時の代替策を明記する。

致命的ミス3:資金使途根拠が薄い(見積書・領収書がない)

回避:業者見積書、発注書、振込履歴をそろえる。

致命的ミス4:経歴に空白があり、面談で説明できない

回避:空白期間の行動を書き、可能であれば裏付け資料(研修修了証、派遣契約など)を用意する。

9.リスク別の具体的回避策

(1)想定売上未達リスク

・支出削減計画(人件費見直し、外注化)、短期資金繰り借入れ(運転資金上限は月支出の3か月目安)を事前に銀行と協議。

(2)返済圧迫リスク

・返済据置期間の利用(創業融資での据置期間は選択肢)、ただし追加融資を短期間で検討するなら据置期間を短くする判断も必要。

(3)許認可遅延リスク

・代替営業プランやプレ営業(許認可不要なオンライン販売など)で売上の一部をカバーできる計画を用意。

(4)書類不備リスク

・提出前に顧問税理士や融資サポート専門家にチェックを受け、稟議に記載しやすい形式で資料を揃える。

10.面談での話し方(元融資課長の実践アドバイス)

(1)「まず結論(何をいくら借りたいか)」を先に述べ、次に「根拠(数値・証拠)」を簡潔に示す習慣を付けてください。

(2)面談では資料を指差しながら説明し、聞かれたら即座に該当ページを開けるようにしておきましょう。

(3)銀行員は稟議に書き写せる箇所(端的で論理的なフレーズ)を好みます。長い感情論は要点だけに絞って伝えてください。

(ここだけの話)
担当者は「稟議で説明しやすい案件か」を無意識に評価しています。評価しやすい資料は融資成功率を高めます。

11.提出前に作るべき「資金繰り表」と「収支計画」の関係(実務上の注意)

(1)資金繰り表は「キャッシュ中心」、収支計画は「損益中心」。減価償却は収支に入るが資金繰り表にはキャッシュアウトしない点を説明できるようにする。

(2)資金使途に合わせた借入時期を資金繰り表に書き込み、融資が遅れた場合の月次残高シミュレーションも添付する。

(3)運転資金は原則「月支出の3か月分」が目安。過剰申請は却下リスクを高めるため避ける。

12.提出書類チェック

□:履歴書(職務経歴書)
□:登記簿謄本(法人)/開業届(個人)
□:賃貸借契約書・管理会社同意書(店舗)
□:許認可証の写し(必要な業種)
□:商圏分析資料(図表・競合リスト)
□:顧客見積書・契約書・LOI(ある場合)
□:設備見積書・発注書・振込証明(設備資金)
□:初年度月次収支計画・資金繰り表(12ヶ月)
□:過去決算書(ある場合)・試算表(開業後)
□:事業計画書(1〜3年計画)

13.よくある質問(FAQ)

Q1: 「自己資金はどれくらい必要ですか?」

A1: 状況により異なりますが、一般的には創業融資で自己資金2〜3割が望ましいとされます。
ただし日本政策金融公庫の制度変更等で要件は変わるため、最新条件は要確認してください。

Q2: 「創業時に保証人は必要ですか?」

A2: 制度によりますが、創業時は無担保・無保証人のケースもあります。
しかし、保証協会付融資や民間融資では保証人や担保を求められることがあります。

Q3: 「赤字でも融資は受かりますか?」

A3: 一時的な赤字でも改善傾向や資金繰りで返済が確保できるなら可能性はありますが、初年度は黒字を示す方が審査は通りやすいです。

14.まとめ

(1)金融機関は「返済可能性」を数字で確認したい(税引後利益+減価償却が返済原資)。
(2)経歴の連続性と関連経験は高評価。前職の実績・人脈は事業成功の根拠になる。
(3)所在地・賃貸契約・現場の実態を示す書類は必須。信用保証協会は現地確認を行う。
(4)初年度は保守的で説得力ある収支計画を作る(過大な楽観は逆効果)。
(5)資金使途の根拠(見積・発注・振込)は必ず準備し、資金繰り表と整合させる。
(6)面談では結論→根拠の順で端的に説明し、稟議に書き写しやすい資料を用意する。
(7)致命的なミス(賃貸用途、過大計画、書類不備)はNG。事前チェックで潰しておく。

15.次に取るべき具体的アクションプラン

(1)自社の決算書・職務経歴書を整理する
・職歴の空白をなくし、前職実績を数値でまとめる。

(2)初年度の月次資金繰り表と収支計画の骨子を作る
・保守的な売上想定と返済スケジュールを反映する。

(3)必要書類(賃貸借契約、許認可、見積書、顧客LOI等)を揃え、顧問税理士または融資サポートに確認してもらう



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