「つなぎ融資が出ない…」を回避!補助金・助成金を活用する経営者のための資金繰りガイド

「補助金に採択された!これで新しい挑戦ができる!」…そう喜んだのも束の間、補助金は後払い。
先に数百万円、数千万円の支払いが必要で、会社の資金繰りが一気に厳しくなった・・・!
この記事を読めば、補助金採択後の資金ショートを防ぐ「つなぎ融資」の活用法が分かり自信を持って銀行と交渉できるようになります。
多くの経営者が、事業拡大のチャンスとして補助金や助成金の活用を目指されます。
しかし、概算払いという制度があるものの、やはり「補助金は原則、後払い」という事実です。
これが原因で、せっかく採択されたのに事業が頓挫しかける「補助金貧乏」に陥ってしまうケースがあります。
今回は、そんな事態を避けるための「つなぎ融資」について解説します。
この記事に関する目次
1. なぜ危険?補助金採択が逆に資金繰りを圧迫する「後払いの罠」
まず、大前提として理解していただきたいことがあります。
省力化補助金やものづくり補助金といった大型の補助金は、採択後、事業を実施し、その実績を報告した後でなければ補助金は入金されません。
(1)補助金 採択後の一般的な流れ
①採択通知の受領
②交付申請
③交付決定(正式な許可)
④補助事業の実施
⑤実績報告書の提出
⑥検査・確定通知
⑦精算払請求・入金
(2)補助金 採択後の資金の流れと「つなぎ融資」
3,000万円の設備投資計画で補助率が2/3(補助額2,000万円)の場合を考えてみましょう。
①まず、自社で3,000万円を全額支払う必要がある
②事業完了後、完了検査を経て数週間~数ヶ月後に2,000万円が入金される
つまり、一時的に3,000万円もの大金が会社のキャッシュから消えてしまうのです。
運転資金の確保だけでも大変な中小企業にとって、これは致命的な資金繰りの悪化を招きかねません。
この「事業実施から入金までの期間」の資金を橋渡し(つなぐ)するのが「補助金つなぎ融資」なのです。
2. 【元銀行員が語る】つなぎ融資審査の裏側と銀行の本音
「補助金の交付が決まっているんだから、融資は簡単に出るだろう」
そう考える経営者様は多いのですが、これは大きな誤解です。
銀行員はこう考えています。
「補助金が入金されるのは確かだが、それまでの間、この会社は本当に持ちこたえられるのか?この事業は本当に計画通りに進むのか?」
銀行が融資審査で見るポイントは、単に「補助金の交付決定通知書」があるかどうかだけではありません。
・返済能力:既存の借入を含め、会社の体力で返済が可能か。
・事業の実現性:補助金事業の事業計画書は絵に描いた餅ではないか。
・自己資金:補助対象経費以外の費用や、補助率でカバーできない部分を自己資金で賄えるか。
・経営者の姿勢:計画性を持って、事前に相談に来ているか。
採択が決まってから慌てて「お金を貸してください」と駆け込んでくる経営者より、補助金の申請段階から「採択されたら、つなぎ融資をお願いしたい」と相談に来てくれる経営者の方が圧倒的に信頼できます。
計画性の高さを評価するからです。
3. 成功と失敗の分かれ道!つなぎ融資の事例研究
つなぎ融資の成否は、準備次第で大きく変わります。具体的な事例を見ていきましょう。
【成功事例①】製造業B社(年商8,000万円)の場合
| 概要 | 補助金(5,000万円規模)を活用し、新製品開発のための製造ライン導入を計画 |
| 融資希望額 | 3,000万円(補助金交付予定額) |
| 結果 | 満額承認 |
| 【評価されたポイント】 | ①補助金申請前に取引銀行に事業計画書を持参し「採択された場合のつなぎ融資」について事前相談を行っていた。 |
| ② 資金繰り表を提出し補助金入金までのキャッシュフローを明確に説明できた。 | |
| ③長年の取引実績と、堅実な経営姿勢が評価された。 |
【成功事例②】ITサービス業C社(年商1億5,000万円)の場合
| 概要 | 補助金(2,000万円規模)で新たなソフトウェア開発を計画 |
| 融資希望額 | 2,500万円(補助金相当額と自己資金負担不足分) |
| 結果 | 満額承認(補助金総額分は引当短期融資、不足分は長期融資) |
| 【評価されたポイント】 | ①補助対象経費3,000万円のうち、補助額を除く1,000万円のうち500万円を自己資金で準備している点をアピール。 |
| ② 「全額借入頼み」ではない姿勢が、事業への本気度と財務の健全性を示すものとして高く評価された。 | |
| ③開発後の具体的な販売計画と収益予測が事業計画書に盛り込まれており将来性を納得させられた。 |
【失敗事例】飲食業D社(年商3,000万円)の場合
| 概要 | 補助金(300万円規模)に採択され、店舗改装を計画。 |
| 融資希望額 | 300万円(補助金相当額) |
| 結果 | 否決 |
| 【問題視されたポイント】 | ①既に他行からの借入やノンバンクからの借入が年商に対して多く「過剰債務」と判断された。 |
| ② 補助金採択後に初めて相談に訪れたが試算表なども準備しておらず、現状の資金繰りを説明できなかった。 | |
| ③「補助金がもらえるから大丈夫」という安易な考えが透けて見え事業計画への信頼性を得られなかった。 |
【失敗事例】ペットホテル業E社(年商8,000万円)の場合
| 概要 | 補助金(4,000万円規模)が採択された後、補助金の概算払いを申請 |
| 融資額 | 4,000万円(補助金相当額が満額承認(信用保証協会付き)) |
| 結果 | 今後の新規の運転資金の取扱いが厳しい状況 |
| 問題視されたポイント | ①概算払い分(約1,500万円)の入金があったが、報告及び相当額を内入れせず銀行及び信用保証協会に不信感を持たれる |
4. 押さえておくべき主要な「つなぎ融資」制度
つなぎ融資には、公的な制度から民間のものまで様々な選択肢があります。自社に合ったものを検討しましょう。
(1) 東京都中小企業制度融資
東京都中小企業制度融資は、東京都で事業を行う中小企業者にとって心強い制度です。
① 補助金・助成金つなぎ
| 項目 | 内容 |
| 対象 | 国や都、区市町村等の補助金・助成金の交付決定を受けた中小企業者 |
| 限度額 | 1億円(補助金・助成金交付決定額の未交付金額の2/3以内) |
| 資金使途 | 運転資金・設備資金 |
| 融資期間 | 10年以内(ただし、補助金の交付決定から助成対象期間終了月の6か月後まで) |
| 返済方法 | 原則、期日一括返済(補助金受領日に一括返済) |
| 融資利率 | 年1.65%~2.35%以内(固定)など ※信用保証協会の責任共有制度の対象か否かで変動 |
② チャレンジ
こちらはつなぎ融資専門ではありませんが、都の助成金交付決定を受けた事業も対象となるため活用できる可能性があります。「つなぎ」と違い、分割返済が基本です。
| 項目 | 内容 |
| 対象 | 都等の助成金交付決定を受けた事業を行う中小企業者など |
| 限度額 | 1億円 |
| 資金使途 | 運転資金・設備資金 |
| 融資期間 | 10年以内(据置2年以内) |
| 返済方法 | 分割返済(但し、融資期間が1年以内の場合は一括返済することができます。) |
| 融資利率 | 年1.65%~2.35%以内(固定)など ※信用保証協会の責任共有制度の対象か否かで変動 |
(2) 民間金融機関の独自商品
地域の信用金庫なども、独自のつなぎ融資商品を用意している場合があります。
普段から取引のある金融機関に相談してみましょう。
・多摩信用金庫:公的補助金つなぎ融資
・西武信用金庫:公的補助金・助成金等つなぎ資金融資
(3) ノンバンクの選択肢
銀行からの融資が難しい場合でも、ノンバンクが選択肢になることがあります。
金利や手数料は高めになる傾向があるため、返済計画は慎重に立てる必要があります。
| セゾンファンデックス | 補助金つなぎローン |
| 特徴 | 交付決定された補助金を電子記録債権化し、それを担保に融資を受ける仕組み。 |
| 融資金額 | 300万円~5億円 |
| 融資年率 | 3.65%~9.9%(固定) |
| 注意点 | 事務手数料(融資額の3.3%以内)や登記費用などが別途必要。代表者の連帯保証が原則必要。 |
5. 銀行を納得させる!つなぎ融資の交渉準備
準備が9割です。銀行に相談に行く前に、以下の準備を万全に整えましょう。
【銀行訪問前の準備チェックリスト】
□:補助金交付決定通知書(または申請書類一式)
□:補助金事業の事業計画書(なぜこの事業が必要で、どう収益化するか)
□:資金繰り表(直近の実績と、補助金入金までの予測)
□:決算書・確定申告書(直近3期分)
□:月次試算表(直近まで)
□:既存の借入返済予定表
□:見積書など、補助事業で必要な支払額がわかる書類
6.Q&A形式・想定問答集
銀行員は必ずこれらの質問をしてきます。
スムーズに答えられるように準備してください。
Q1.「なぜ、この補助金事業を行う必要があるのですか?御社の将来にとってどんな意味がありますか?」
A1.「はい。弊社の主力事業である〇〇は市場が縮小傾向にあります。そこで、今回の補助金を活用して新たな技術を導入し、成長分野である△△市場に参入します。3年後には、この新規事業を第二の柱に育てる計画です。」(→事業の必要性と将来性を具体的に語る)
Q2.「補助対象経費が3,000万円で、補助額が2,000万円ですね。残りの1,000万円はどうされるご予定ですか?」
A2.「はい。1,000万円のうち、500万円は自己資金で準備しております。残りの500万円についても、今回のつなぎ融資とは別枠でご相談させていただけますでしょうか。」(→自己資金の準備状況を明確に伝え、堅実さを示す)
Q3.「補助金が入金されるまでの数ヶ月間、既存事業の支払いや返済など、資金繰りは大丈夫ですか?」
A3.「はい。こちらの資金繰り表をご覧ください。今回のつなぎ融資3,000万円をお借りできれば、補助金が入金される〇月まで、現在の運転資金と合わせて問題なく回せる見込みです。」(→具体的な数字(資金繰り表)で説明し説得力を持たせる)
7. 【要注意】これだけは避けろ!つなぎ融資でNGになるミス
(1)借入過多を無視した申請
既に返済負担が重いのに、さらに借入を申し込むのは無謀です。
銀行は「そもそも返済できるのか?」と最も懸念します。
まずは既存借入の整理などを検討すべきです。
(2)自己資金ゼロの無謀な計画
「採択された計画の費用は、補助金を担保としたつなぎ融資と自己資金相当分も融資」という全ての費用を融資での計画は「他人の金」で事業をやろうとしていると見なされ心証が悪いです。
事業への本気度を示すためにも一定の自己資金は必ず準備してください。
(3)採択後の「いきなり相談」
前述の通り、最も印象が悪いパターンです。
何の事前相談もなく採択後に「お金が足りません、貸してください」では、計画性のなさを露呈するだけです。
必ず申請前か、遅くとも申請中には銀行に相談しましょう。
無理な補助金計画は本業の資金繰りまで圧迫し本末転倒になりかねません。
「補助金ありき」ではなく、「自社が本当にやるべき事業か」「資金計画は現実的か」を冷静に判断することが経営者としての最も重要な仕事です。
8.まとめ
最後に、補助金つなぎ融資を成功させるための要点をまとめます。
(1)補助金・助成金は「後払い」が原則。採択後の資金ショートに注意する。
(2)生命線となるのが、入金までの期間を埋める「つなぎ融資」である。
(3)銀行は「補助金決定」だけでなく、「事業の実現性」や「自己資金」「計画性」を審査する。
(4)成功の鍵は「事前相談」。補助金申請前から銀行と連携し信頼関係を築く。
(5)公的制度、民間金融機関、ノンバンクなど、融資の選択肢は複数ある。
(6)「資金繰り表」や「事業計画書」を準備し、具体的な数字で返済能力と将来性を説明する。
(7)「借入過多」「自己資金ゼロ」「いきなり相談」は融資審査における三大NG行動と心得る。
9.次の一歩を踏み出すためのアクションプラン
この記事を読んで「なるほど」で終わらせず、ぜひ行動に移してください。
(1)自社の決算書と借入返済予定表を並べ、現在の財務状況を客観的に把握する。
(2)検討中の補助金があれば、事業計画書とセットで「つなぎ資金を含めた資金計画」を作成してみる。
(3)計画の骨子ができたら顧問税理士や取引金融機関の担当者に「相談」する。
しっかりと準備し誠実に対話すれば、銀行はあなたの事業の強力なパートナーになってくれます。
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手続きが難しそうで進める自信がないなど
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