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知らないと損!その取り組みが保証料15%割引になる方法(健康DS保証)

「働き方改革なんて、うちみたいな中小企業には関係ない…」
「融資を受けたいけど、少しでも有利な条件で借りたい…」
「認定制度はハードルが高そうで、何から手をつければいいか分からない…」

もし社長がこうお考えなら、非常にもったいないことをしているかもしれません。
実は、日頃の従業員への配慮が信用保証協会の融資を有利にする強力な武器になるのです。
この記事を読めば、その秘密兵器「健康DS保証」の活用法が分かり、自信を持って有利な資金調達を実現できます。

1.「健康DS保証」とは?

今回ご紹介する「健康企業応援・ダイバーシティ推進保証制度(通称:健康DS保証)」は、東京都信用保証協会が提供する特別な制度です。
簡単に言えば、「従業員の健康や多様な働き方を大切にしている会社を、保証料を割引して応援しますよ」というメッセージが込められた制度です。
金融機関は「働き方改革」や「健康経営」に真剣に取り組む企業を「持続的に成長できる将来性のある企業」として高く評価する傾向にあります。
この制度は、まさにその流れを汲んだもの。単なる福利厚生ではなく、会社の信用力を高めるための戦略的な一手となり得るのです。

2.融資制度の概要:何がどれだけお得なのか?

この制度の最大の魅力は、なんといっても保証料の割引です。具体的な内容を下の表にまとめました。

項目 内容
制度の目的 従業員の健康づくりや多様な人材(ダイバーシティ)の活躍を推進する企業を応援する
最大のメリット 保証料率が通常の15%割引になる
融資限度額 2億8,000万円(組合4億8,000万円)
資金の使いみち 運転資金または設備資金
利用期間 10年以内(うち据置期間1年以内)
融資利率 各金融機関が定める利率
担保・保証人 必要に応じて。まずは相談から
対象 東京都内に事業所があり、従業員が5名以上の中小企業

(参照:東京信用保証協会「健康DS保証」リーフレット

3.あなたは対象者?意外とクリアできる9つの条件

「でも、うちは特別な認定なんて受けていないし…」と諦めるのはまだ早いです。この制度の素晴らしいところは、立派な認定がなくても日々の地道な取り組みだけで対象になる可能性がある点です。
以下の9つの条件のうち、どれか一つでも満たしていれば利用できる可能性があります。
ぜひ、自社が当てはまるものがないか確認してください。

【認定・登録でクリアできる条件】
①「健康企業宣言の証」の交付を受けている
②「くるみん」などの認定を受けている
③「安全衛生優良企業」の認定を受けている
④「えるぼし認定」などを受けている
⑤「ユースエール認定」を受けている
⑥東京都の「東京ライフ・ワーク・バランス認定企業」である

【日々の取り組みでクリアできる条件】
⑦従業員の健康診断受診率が80%以上で、再検査も促している
⑧従業員に対し、メンタルヘルスに関する情報提供や研修を行っている
⑨女性、高齢者、外国人、障害者などを雇用し、その活躍を後押ししている

いかがでしょうか。
特に7番から9番は、多くの真面目な経営者様がすでに取り組んでいることではないでしょうか。
これこそが、この制度が「知る人ぞ知る」と言われる所以なのです。

4.【事例で学ぶ】健康DS保証 活用の成否を分けたポイント

この制度をうまく活用できるかどうかは、取り組みをどう「見せる」かにかかっています。

【成功事例①】年商8,000万円のWeb制作会社A社
状況 受注増加に伴う人件費や外注費の増加で、資金繰りが悪化。運転資金として500万円の融資を希望。
活用した条件 上記の7番と8番(健康診断受診率90%、ストレスチェックの実施)
結果 希望額500万円を「健康DS保証」で調達成功! 通常より低い保証料で資金繰りを改善。
評価されたポイント① 健康診断の受診状況をまとめた一覧表(個人名は伏せる)を提出した。
評価されたポイント② ストレスチェック実施時の案内メールや、産業医からのフィードバック資料を提示し、具体的な取り組みを客観的に証明した。

《ポイント》
A社の勝因は、「やっています」という言葉だけでなく「やっている証拠」をきちんと書類で示せた点です。
銀行や保証協会は客観的な事実を何よりも重視します。
日頃から記録を残す意識が、いざという時に大きな力になる良い例です。

【成功事例②】年商1億5,000万円の内装工事業B社
状況 事業拡大のため、新たな作業車両の購入資金として800万円の設備資金を希望。
活用した条件 上記の9番(高齢のベテラン職人と、外国人技能実習生の積極的な雇用)
結果 希望額800万円の融資を「健康DS保証」で獲得!
評価されたポイント① 事業計画書の中で、人材不足という業界課題に対し、多様な人材活用でどう対応しているかを具体的に説明した。
評価されたポイント② 高齢者向けの柔軟な勤務シフト表や、外国人材向けの研修マニュアルを提示し、口先だけでない本気の取り組みであることをアピールした。

《ポイント》
B社は、ダイバーシティへの取り組みが単なる社会貢献ではなく、事業を継続・成長させるための重要な経営戦略であることを明確に示しました。
こうしたストーリーは融資担当者の心に響き「この会社は将来性がある」という強い印象を与えます。

【失敗事例】従業員10名の飲食店C社
状況 メニュー改定と販促強化のため、運転資金300万円を希望。
活用しようとした条件 上記の9番(女性スタッフが活躍している)
結果 「健康DS保証」は適用されず、通常の保証料での審査となった。
問題視されたポイント① 面談で「うちは女性スタッフが多くて、みんな頑張ってくれています」と口頭で伝えただけだった。
問題視されたポイント② 女性の活躍を促すための具体的な制度(育休・時短勤務の実績、役職登用の実績など)を示すことができなかった。

《ポイント》
C社に悪気があったわけではありません。
しかし、融資審査は「想い」だけでは通りません。
「女性が活躍している」という事実を裏付ける客観的な証拠がなければ、担当者は評価のしようがないのです。
就業規則や具体的な実績など、形にして示す準備が不可欠でした。

5.融資審査で「うちも対象だ」と証明するチェックリスト

では、どうすれば自社の取り組みを効果的にアピールできるのでしょうか。

(1)担当者を納得させるアピール材料チェックリスト

以下のうち、自社で用意できるものはないか確認してみましょう。
一つでもあるなら、それは強力な武器になります。

チェック アピール材料の例 該当する条件
「健康企業宣言の証」や「くるみん」などの認定証のコピー 1番~6番
健康診断の受診率が分かる集計表や、会社負担での再検査の案内書 7番
メンタルヘルス研修の実施記録(日時、内容、参加者リストなど)や、社内報での啓発記事 8番
就業規則の「育児・介護休業規定」や「時短勤務制度」のページ 9番
女性管理職の登用実績や、高齢者・外国人材の雇用実績がわかる資料 9番
多様な人材の活躍を伝える、会社のホームページや採用サイトの該当ページ 9番
(2)NGを避けるための注意点
①「口約束」だけで済ませない

必ず、取り組みを証明できる「紙」や「データ」を用意してください。

②「申込書にチェックするだけ」だと思わない

申込書はあくまで入り口です。面談で「具体的にどんなことを?」と深掘りされることを前提に、説明できるように準備しておきましょう。

③「認定がないから」と諦めない

重要なのは認定の有無より「実際に何をしているか」です。まずは自社の現状を棚卸しすることから始めましょう。

6.まとめ:日々の経営努力を、有利な資金調達に繋げるために

最後に、この記事の最も重要なポイントを振り返ります。

(1)東京都の「健康DS保証」は、従業員を大切にする会社が保証料割引を受けられるお得な制度です。
(2)「健康企業宣言」などの認定がなくても、日々の取り組みだけで対象になる可能性があります。
(3)特に「健康診断の推進」「メンタルヘルス対策」「多様な人材の活躍」は狙い目です。
(4)融資審査では「やっている」という言葉だけでなく、それを証明する客観的な資料が不可欠です。
(5)自社の取り組みが、事業の成長にどう繋がるのかをストーリーとして語れると、評価は格段に上がります。
(6)この制度を知っているか知らないかで、資金調達コストに差が生まれます。

社長が日々、心を砕いて行っている従業員への配慮は、決して無駄ではありません。
それは会社の文化を作るだけでなく、会社の信用力を高め、有利な資金繰りを実現する力になるのです。
ぜひこの制度を有効活用してください。

7.次のアクションプラン

この記事を読んで「うちも使えるかもしれない!」と感じた社長様。早速、今日から以下の3つのアクションを始めてみましょう。

(1)本記事の「9つの条件」と「アピール材料チェックリスト」を照らし合わせ、自社が活用できそうな項目と、その証拠書類がないか探してみる。
(2)健康診断の担当者や総務担当者に直近の受診率や再検査の状況を確認する。
(3)準備が整ったら、取引銀行の融資担当者に「東京都の健康DS保証という制度を検討したい」と相談してみる。

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