【元銀行員が完全解説】融資審査通過後の手続きパーフェクトガイド!面談後から着金までの流れと注意点

融資の面談が終わり、結果を待つ時間は落ち着かないものですよね。「いつ連絡が来るのか」「もし審査に通ったら、次は何をすれば…」と不安に思う経営者は少なくありません。
この記事を読めば、元銀行員の視点から融資審査通過後の手続きの全体像と、金融機関ごとの流れ、そして着金までをスムーズに進めるための具体的なノウハウが分かります。
自信を持って、力強い一歩を踏み出しましょう。
この記事に関する目次
1.融資面談後、経営者が最も気になる「結果通知」の裏側
融資の成否を分ける面談が終わり、ほっと一息つきたいところですが、多くの経営者にとって最も落ち着かない時間がここから始まります。
私も結果を待つ経営者の焦りや不安を数多く見てきました。
まずは落ち着いて、結果通知が来るまでの流れと、その裏側で何が起きているのかを正確に理解しましょう。
2.結果通知までの期間はどれくらい?
「一体いつ連絡が来るんだ…」という声が聞こえてきそうですね。
金融機関によって多少異なりますが、目安となる期間は以下の通りです。
| 金融機関 | 通知までの目安期間 | 通知方法 |
| 日本政策金融公庫 | 面談後、5~10営業日程度(※) | 担当者から代表者へ電話連絡。融資可決の場合、現在は電子契約が主流になっていますが、通常、後日契約書類が郵送される。 |
| 銀行融資(信用保証協会付) | 面談後、7~14営業日程度 | 銀行の担当者経由で連絡。保証協会の結果がまず銀行に届き、その後、銀行から申込者へ通知される。 |
(※)実際にはもう少し幅があるのが実情です。特に決算期や年度末などの繁忙期は、審査が混み合い、通常より時間がかかることもあります。
3.【元銀行員が語る】なぜ時間がかかる?通知の裏側で起きていること
経営者からすれば「早く結果を教えてくれ」というのが本音でしょう。
しかし、銀行内部では面談後も複数のステップを踏んでいます。
ここだけの話ですが、面談担当者が「この会社はいける!」と思っても、一人では決められません。
融資は組織の決定だからです。
(1)担当者による稟議書作成: 面談内容、決算書分析、事業計画の評価などを基に、融資を承認してもらうための社内プレゼン資料(稟議書)を作成します。
(2)上席者(課長・支店長)の承認:作成された稟議書を上司がチェックします。ここで質疑応答や修正指示が入ることも日常茶飯事です。
(3)(保証協会付の場合)信用保証協会への照会: 銀行がOKと判断したら、次は信用保証協会に保証を依頼します。保証協会でも独自の審査が行われます。
(4)本部審査部への回付(金額が大きい場合):融資額が支店長の決裁権限を超える場合、本部の審査部に稟議が回されます。ここまで行くと、さらに数日かかります。
このように、何人もの「審査の目」を通っているため、どうしても時間が必要になるのです。
4.連絡が来ない…!そんな時のNG行動と正しい対処法
目安の期間を過ぎても連絡がないと、不安になりますよね。
しかし、ここで焦ってはいけません。
(1)【注意点】NG行動
「どうなっていますか!?」と担当者に何度も催促の電話を入れるのは逆効果です。
審査が不利になることはありませんが、「落ち着きのない経営者だ」という心証を与えかねません。
銀行員も人間ですから、良い関係を築く意識は大切です。
(2)正しい対処法
目安の期間(例:10営業日)を過ぎても連絡がない場合は、丁寧な口調で状況を伺う電話を入れましょう。
「お忙しいところ恐縮です。先日の融資の件ですが、その後の状況はいかがでしょうか?」
このように聞けば、担当者も進捗を教えてくれますし、悪い印象は与えません。
(3)融資決定!でも油断は禁物。着金までの手続き完全ガイド
無事に「融資、通りました!」の連絡。
しかし、ここで気を抜いてはいけません。
実際に事業資金が口座に振り込まれる「着金」までには、まだ重要な融資手続きが残っています。
5.融資手続きの全体像
融資決定から実行(着金)までの流れは、主に以下の2パターンです。
(1)日本政策金融公庫のケース
公庫の場合、手続きは非常にシンプルです。
①契約書類の郵送:融資決定の連絡後、数日で「金銭消費貸借契約書」などの必要書類一式が郵送されてきます。
※現在は電子契約が主流となっています。
②書類の記入・捺印と返送: 内容をよく確認し、記名・捺印の上、同封の返信用封筒で返送します。(または、窓口で手続きする場合もあります)
※電子契約での金銭消費貸借契約の手続方法については担当者にお聞き頂くと丁寧に教えてくれます。
③融資実行(着金):公庫が返送書類を受理・確認後、1~3営業日程度で指定口座に入金されます。
(2)信用保証協会付融資(銀行)のケース
銀行経由の場合は、もう少しステップが増えます。
①保証協会の保証承諾:まず銀行が信用保証協会から「保証します」というお墨付き(保証承諾書)を受け取ります。
②銀行内の最終手続き:保証承諾書を基に、銀行内で形式的な最終稟議を行います。
③契約手続き: 銀行の担当者と日程を調整し、店舗に出向いて「金銭消費貸借契約書」等の契約書類に署名・捺印します。
④融資実行(着金):契約手続きが完了後、当日~3営業日程度で指定口座に入金されます。急ぎの場合は、契約当日に着金するよう調整することも可能です。
6.融資実行までの手続きチェックリスト
契約手続きで慌てないために、事前に準備しておくべきものをリストアップしました。
担当者から案内がありますが、先に目を通しておくとスムーズです。
| チェック項目 | 内容・注意点 |
| □ 契約書類の確認 | 金銭消費貸借契約書、保証委託契約書など。特に金利、返済期間、返済方法は念入りに確認しましょう。 |
| □ 会社の印鑑証明書 | 発行後3ヶ月以内のものを求められます。法務局で取得。 |
| □ 会社の登記簿謄本 | こちらも発行後3ヶ月以内が一般的です。 |
| □ 代表者の印鑑証明書 | 連帯保証人になる場合に必要です。市区町村役場で取得。 |
| □ 実印(会社・代表者) | 契約書に捺印するために必須です。印鑑証明書と同じ印鑑を用意してください。 |
| □ 収入印紙 | 融資額に応じた印紙が必要です。事前に金額を確認し、郵便局などで購入しておきましょう。 |
| □ 返済用口座の通帳・届出印 | 毎月の返済を引き落とす口座のものです。 |
7.制度融資の場合は?
自治体の「制度融資」を利用する場合、最初に自治体の窓口で「あっせん書」をもらってから金融機関に申し込むため、少し手間が増えます。
信用保証協会の審査が通った後は、再度自治体に行く必要はありません。
その後の流れは、上記の「信用保証協会付融資」と同様に進みます。
8.事例で学ぶ!融資手続きの成功と失敗の分かれ道
私が担当したお客様の中にも、手続きの段階で明暗が分かれたケースがありました。具体的な事例をご紹介します。
【成功事例①】年商8,000万円の建設業B社:準備万端でスピーディーな着金を実現
| 融資希望額 | 1,000万円(運転資金) |
| 結果 | 満額承認 |
| 評価されたポイント | B社の社長は、融資決定の連絡を受けるとすぐに、担当者に「契約に必要な書類を教えてください」と確認。事前に印鑑証明書や登記簿謄本を取得し、収入印紙も準備していました。そのため、契約日の設定から当日の手続きまでが非常にスムーズに進み、契約当日に融資 実行が完了。急ぎの仕入れ代金の支払いに間に合わせることができました。 |
【成功事例②】年商3,000万円の飲食業C社:融資決定後の交渉で有利な条件に
| 融資希望額 | 融資希望額500万円(設備資金) |
| 結果 | 満額承認 |
| 評価されたポイント | C社の社長は、契約内容の確認時に「据置期間(元金の返済が猶予される期間)をもう少し長くできませんか?」と丁寧に交渉しました。事業計画書で示した「新設備導入後の売上増加が軌道に乗るまでの期間」を根拠に説明したところ、銀行側も納得。当初3ヶ月だった据置期間が6ヶ月に延長され、立ち上がりの資金繰りに大きな余裕が生まれました。 |
【失敗事例】年商5,000万円のWeb制作会社D社:契約時の安易な言動で融資実行が遅延
| 融資希望額 | 1,000万円(運転資金) |
| 結果 | 満額承認(融資実行遅延) |
| 評価されたポイント | D社の社長は、契約手続きの雑談の中で「このお金で新しいPCも一斉に買い替えようかな」とポロっと口にしてしまいました。申込時の資金使途は「外注費の支払い」だったため、担当者は「話が違う」と顔色を変えました。もちろんPCも事業に必要な経費ですが、申込内容と異なる使途を安易に口にしたことで担当者が念のため上席に再確認する必要が生じ、結果的に着金】が3日も遅れてしまったのです。資金使途は厳格に守る姿勢が求められます。 |
9.経営者が抱く融資手続きの素朴な疑問
最後に、経営者の皆様からよくいただく質問にお答えします。
Q1. 融資が決定したら、すぐに使っても良いのですか?
A1. いいえ、金銭消費貸借契約書を締結し、実際に口座に着金するまでは使えません。
融資決定の連絡は、あくまで「融資する準備が整いました」という合図です。
この連絡を元に支払いなどを約束してしまうと、万が一手続きが遅れた場合に資金ショートを起こす危険があります。
必ず着金を確認してから、支払いを実行してください。
Q2. 提示された融資額が希望額より少なかった(減額された)場合、どうすれば?
A2. まずは担当者に減額の理由を冷静に確認しましょう。
その上で、提示された金額で事業計画が遂行可能か、迅速に再検討する必要があります。
もし、どうしても不足する場合は、追加の自己資金を投入するか、計画の一部を縮小・延期する判断も必要です。
減額されたからといって感情的になるのは得策ではありません。
銀行との関係を維持し、次の追加融資の機会に繋げることが重要です。
Q3. 契約時に特に気を付けるべきことは何ですか?
A3. 契約書の内容を隅々まで確認すること、これに尽きます。
特に「金利(固定か変動か)」「返済期間」「繰り上げ返済の条件や手数料」「遅延損害金」の4点は必ず自分の目で確認し不明な点があればその場で担当者に質問してください。
「銀行が作る書類だから間違いないだろう」と安易にサインせず、自社の将来に関わる重要な契約だという意識を持つことが大切です。
10.まとめ:融資手続きをスムーズに進めるための5つの鉄則
本日の内容をまとめます。面談後から着金まで、気を抜かずに走り抜けましょう。
(1)結果通知を焦らない:銀行内部では複数の承認プロセスが動いている。目安期間を過ぎたら一度だけ丁寧に確認する。
(2)手続きの全体像を把握する:日本政策金融公庫か銀行(保証協会付)かで流れが異なることを理解しておく。
(3)必要書類は早めに準備: 融資決定の連絡が来たら、すぐに必要書類を確認し、有効期限に注意しながら準備を始める。
(4)契約書は熟読する:金利や返済期間など、重要な条件は自分の目で必ず確認し、納得した上で署名・捺印する。
(5)資金使途を厳守する:契約時や融資実行後も申し込み時に提出した計画通りの資金使途を守る姿勢を貫く。
11.次のアクションプラン
この記事を読んで、融資手続きのイメージが湧いたでしょうか。最後に、次に取るべき具体的な行動を3つ提案します。
(1)担当者の名刺を準備する
融資面談の担当者の連絡先をすぐ取り出せるようにしておきましょう。いざという時の連絡がスムーズになります。
(2)必要書類の取得場所を確認する
「印鑑証明書は市区町村役場」「登記簿謄本は法務局」など、今から取得場所と手順をシミュレーションしておきましょう。
(3)資金繰り表を再確認する
融資実行が予定より数日遅れても事業が回るか、改めて資金繰り表を確認し、リスクに備えておきましょう。
融資の実行は、ゴールではなく、あなたの会社が更に飛躍するためのスタートラインです。
この資金を最大限に活かし、事業を成長させていく。
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