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【元銀行員が解説】中小企業が融資審査に通るためのマニュアル – 赤字決算・返済遅延があっても資金調達する方法


この記事について

本記事は、銀行で15年以上、中小企業向け融資業務に携わってきた経験、また、事業を運営してきた経験から、融資審査の「内部ロジック」と「攻略法」を解説するものです。
特に赤字決算や返済遅延といった問題を抱える企業が、どのように金融機関の審査基準をクリアし、必要な資金を調達できるかについて、実務経験に基づく対策をご紹介します。
銀行の審査担当者が本当は見ているポイントを知ることで、融資成功の可能性を大きく高めることができます。

この記事でわかること

①銀行内部の融資審査プロセスの全貌と各段階での評価ポイント
②赤字決算企業に対する金融機関の実際の評価方法と審査突破のコツ
③返済遅延が与える信用への影響と効果的な挽回策
④銀行審査担当者が実際に使用する財務指標とその基準値
⑤具体的な改善策と融資申込前の準備チェックリスト

この記事に関する目次

1. 金融機関融資審査プロセスの全体像

融資審査では、あなたの申込書類がどのような経路で評価されるのかを理解することが重要です。多くの経営者は「担当者に提出したらあとは待つだけ」と考えがちですが、実は複数の関門を通過する必要があります。

1-1. 融資審査の3段階構造

銀行内部では、お客様の融資申込に対して以下の審査ステップが存在します。

(1) 営業店レベル(一次審査)
①融資担当者による事前スクリーニング(取引履歴・信用情報確認)
②営業担当者による稟議書作成(案件概要・財務分析・担保評価等)
③支店長・法人営業課長による審査(支店審査会議)
④エリア統括(地区本部)によるレビュー(融資金額によります)

(2) 審査部レベル(二次審査)
①個別審査担当者による定量・定性分析(財務分析・事業性評価)
②セクター分析担当者による業界動向分析
③審査役(調査役)による総合判断
④与信委員会または役員決裁(大口案件の場合)

(3) 保証審査レベル(外部保証利用時)
①信用保証協会による独自審査
②保証付き融資における金融機関プロパー部分の検証

1-2. 審査プロセスの内部事情

一案件につき約30項目~50項目のチェックポイントがあり、そのうち「赤字決算」「返済遅延」「債務超過」は重大項目でした。
こうした項目に該当する場合、通常より慎重な融資となるため時間をかけて詳細分析を行います。
特に直近決算が赤字だったため、月次試算表の推移と改善策の実効性について重点的な検証が行われました。

2. 赤字決算と返済能力の問題 — 審査部視点での評価ロジック

2-1. 金融機関が採用する返済能力評価指標と基準値

金融機関の審査部では、赤字決算企業に対して主に以下の指標で評価を行います。これらの数値を理解し、自社の状況を客観的に把握することが第一歩です。

(1) 債務償還年数(Debt Repayment Period)

①算出式:有利子負債÷(税引後利益+減価償却費)
②一般的基準値
・優良先:5年以内
・要注意先移行リスク:10年超
・融資否決リスク:15年超または分母がマイナス

(2) DSCR(Debt Service Coverage Ratio:債務返済カバー率)

①算出式:(税引後利益+減価償却費)÷年間元利金返済額
②一般的基準値
・優良先:1.5倍以上
・要管理先:1.0~1.2倍
・融資否決リスク:1.0倍未満

(3) インタレスト・カバレッジ・レシオ

①算出式:(営業利益+受取利息)÷支払利息
②一般的基準値
・優良先:3.0倍以上
・審査注意先:1.0~2.0倍
・融資否決リスク:1.0倍未満

(4)実務ポイント

審査では上記指標をスコアリングモデルに組み込み、システム判定を行っています。
特に赤字決算の場合、債務償還年数が「計算不能」となるため、代替指標として「現預金÷月商」(手元流動性)を重視します。
この値が3ヶ月以上あれば、短期的な返済能力があると評価されやすくなります。

2-2. 赤字決算企業の審査突破事例
【事例1:建設業B社】赤字でも融資獲得に成功

(1)企業概要:年商5億円、直近決算赤字800万円、減価償却費1,200万円の建設業
(2)申込内容:運転資金2,000万円(返済期間5年)
(3)問題点:2期連続赤字で債務償還年数は計算不能
(4)取った対策
①月次試算表で直近3ヶ月の黒字転換を示す資料を提出
②赤字の原因が特定の不採算工事(完了済)であることを証明
③受注残高資料(今後1年分の工事契約書コピー)を提示
④経営改善計画書で具体的なコスト削減額(年間1,500万円)を数値化
(5)審査結果
審査部から「一時的赤字と判断」され、希望通りの融資条件で承認。特に受注残高の具体的な証拠資料が決め手となった。
(6)ポイント解説
赤字企業の審査では「赤字の原因」と「改善の具体性」が重視されます。特に「構造的要因か一時的要因か」の見極めがカギとなるため、一時的要因であることを客観的に証明できる資料の提示が重要です。

2-3. コロナ禍・インフレ期における赤字決算への対応策
(1)審査部の認識

コロナ禍やインフレによる影響については、「一時的要因」と「構造的要因」を区別する審査姿勢が強まっています。
特に以下の点を重点的に分析しています。
①コロナ前の業績水準への回復見通し
②業種別回復率の統計データとの比較
③売上高変動率と経常利益変動率の相関分析
④月次業績の回復トレンド分析

(2)効果的な対応策

①定量資料の強化
ア)「コロナ前後比較表」の作成:2019年度と現在の主要指標比較
イ)「月次推移グラフ」:最低12ヶ月の売上・粗利・営業利益の推移を視覚化
ウ)「変動費・固定費分析表」:損益分岐点の低下施策を示す資料
エ)「資金繰り実績・計画表」:直近6ヶ月実績と今後12ヶ月計画

②赤字構造改善計画の具体化
ア)不採算事業・取引先の整理計画:顧客別・製品別採算分析資料
イ)固定費削減計画:項目別削減額と実施時期の明示
ウ)価格改定・単価アップ戦略:値上げ交渉状況・成功事例の提示
エ)在庫・債権管理の強化策:回転期間短縮による資金効率化

(3)【実例】飲食業C社の成功事例

年商1億円、経常利益△500万円、借入金残高3,000万円の企業が取った対策:
①粗利率2%改善(年間効果200万円)の価格改定実績を示す資料提出
②固定費削減(人件費100万円、家賃50万円等)の具体的な証拠資料
③不採算店舗2店(年間損失80万円)の閉鎖計画と効果試算
④在庫回転率0.5ヶ月改善(資金効率化効果400万円)の実施証明
これにより「赤字500万円→対策効果430万円→実質70万円の赤字」という改善効果を示し、第3四半期からの単月黒字化と合わせて追加融資1,000万円の承認を獲得しました。

3. 返済遅延による信用毀損 — 金融機関内部の管理体制と対応策

3-1. 金融機関における延滞管理システムの実態

返済遅延は融資審査において「赤信号」と認識される最も重大な問題の一つです。銀行内部ではどのように管理されているかを理解しましょう。

(1) 延滞情報の組織的共有と記録システム

①早期延滞管理システム:1日延滞でも基幹システムから自動抽出
②延滞日数別管理表:日数に応じた管理レベルの自動格上げ
・1~15日:営業店管理
・15~30日:エリア本部報告
・30日以上:審査部管理・役員報告事項
③延滞履歴データベース:過去3年間の遅延履歴の蓄積・分析
④信用情報機関への登録:5日以上の延滞で内部記録、61日以上でCIC等に登録

(2)担当者の実務経験より

銀行では「延滞ゼロ運動」として、延滞率の低い支店に対するインセンティブ制度を設けていました。
そのため、営業担当者は期日の数日前から取引先に連絡し、返済原資の確認を徹底していました。
延滞が発生すると支店業績評価に直結するため、営業担当者は返済日に入金がない場合、朝一番(営業店で未入金リストが上がってきた段階)に経営者へ直接電話することが日常的でした。
これは多くの銀行で同様の対応が行われています。

3-2. 金融機関決算期における延滞管理の厳格化とその背景

銀行の中間決算期(9月末)と本決算期(3月末)は特に延滞管理が厳しくなります。この時期に返済遅延があると影響が大きいため注意が必要です。

(1) 決算期における金融機関の内部管理上の要請

①リスク管理債権の開示義務:3ヶ月以上延滞債権は不良債権として区分引下げが必要
②不良債権比率への影響:不良債権は金融機関の健全性指標に直結
③引当金計上の増加:延滞の長期化で貸倒引当金の積増しが必要となる
④金融庁検査対応:延滞管理は金融検査における重点確認事項

(2)決算期前の金融機関の具体的管理強化策

①特別債権管理委員会の開催:通常月は月1回→決算期前は週1回に頻度増
②延滞先への一斉交渉:決算期1ヶ月前からの集中的回収活動が展開
③条件変更の集中処理:返済困難先の条件変更を決算期前に集中実施
④担保処分の促進:回収見込みのない債権の最終処理の加速

(3)銀行内部の実情

地方銀行や第二地銀では2月・8月に「決算対策会議」が開催され、各営業店に延滞債権の正常化目標が割り当てられます。この時期は新規融資より既存債権の正常化が優先されるため、新規融資審査も厳格になりやすい傾向があります。

(4)【事例】決算期影響の具体例

D社(卸売業)は2月25日に運転資金の追加融資を申込みましたが、グループ会社に5日間の返済遅延があったため、「3月決算後の再相談」と回答されました。その後、グループ会社の延滞を解消し、4月10日に再申込したところ、スムーズに融資承認されました。

3-3. 返済遅延を防止するための実務的対策と遅延発生時の危機管理
(1) 返済遅延防止のための資金管理高度化策

①返済資金別口座管理:返済専用口座を設定し、必要資金を事前に積み立てる
②マルチバンク返済日調整:複数行の返済日を分散させる交渉を行う
③返済日警報システム:経理システムに返済期日アラート機能を導入する
④月次資金繰り表の精緻化:日次レベルでの資金過不足を予測し対応策を策定

【実践的な返済管理方法】
・返済期日5営業日前:資金確認
・返済期日3営業日前:不足の場合の対応策決定(売掛金早期回収・緊急借入等)
・返済期日1営業日前:最終資金確認と不測事態への備え

(2) 返済遅延発生時の効果的な対応プロトコル

①即日連絡の原則:延滞発生前または当日朝までに担当者へ連絡する
②具体的入金日の明示:「近日中」ではなく「◯月◯日15時までに」と明確に伝える
③証跡資料の提出:入金遅延の原因証明(取引先からの支払遅延証明書等)を提示
④経営トップからの連絡:支店長・審査役レベルへの経営者自らによる説明

(3)【具体的対応例】銀行返済日に資金ショートが判明した場合

Step 1: 担当者への即時連絡(支店コールセンターではなく直通電話)
Step 2: 状況説明資料の即日FAXまたはメール送付
・現在の預金残高状況
・入金予定先・金額・日時の明細
・対応策と確約(経営者署名入り)
Step 3: 部分入金の実施(全額返済不能でも可能な限りの部分返済)
Step 4: 翌営業日に経営者自ら支店訪問して謝罪と説明

(4)【事例】適切な対応で信用を維持したケース

製造業E社(年商2億円)は、大口取引先からの入金遅延により返済日前日に資金不足が判明。すぐに以下の対応を実施しました。

①支店長と担当者に即日電話連絡(返済日前日15時)
②資金不足の原因証明資料(取引先からの支払遅延通知書)をメール送付
③翌日午前中に経営者本人が支店訪問し状況説明
④1週間後の確実な入金日を明示し、誓約書を提出
⑤全額返済は不可能だが、手元資金の50%を部分返済として実施

結果:この誠実な対応により、延滞はマイナス評価とされたものの「信用毀損」には至らず翌月の追加融資も承認されました。担当者からは「事前連絡と部分返済の姿勢が評価された」との説明がありました。

(5)返済条件見直しの事前交渉術

返済遅延のリスクを事前に察知した場合の対応策として有効なのが事前の条件変更交渉です。
①リスケジュール交渉のタイミング:返済困難が予測される3ヶ月前までに相談
②条件変更提案の準備
・現状分析資料(資金繰り予測表、収支計画)
・経営改善計画書(SWOT分析、アクションプラン)
・金融支援依頼内容(据置期間・返済期間延長等の具体的提案)
③積極的な情報開示:業績悪化の兆候を隠さず早期に情報共有
④決算書提出前の事前レビュー:決算確定前に税理士と金融機関担当者の三者面談を実施

(6)担当者のアドバイス

融資では「後手の対応」より「先手の相談」を高く評価します。私の経験では、返済遅延が起きてからの相談より、起きる前の事前相談は格段に印象が良く、支援姿勢も積極的になります。特に業績悪化時には四半期ごとの面談を自主的に申し入れることで「問題を認識し対応している経営者」という評価につながります。

4. 融資審査合格のための戦略的アプローチ

4-1. 金融機関審査部の評価ロジックの本質

金融機関の融資審査における評価の本質は、以下の3要素で構成されています。これらの比重を理解し、自社の強みを最大限にアピールすることが重要です。

(1)定量分析(財務評価):60%

・ 収益性(営業利益率、ROA等)
・安全性(自己資本比率、流動比率等)
・成長性(売上・利益成長率)
・返済能力(DSCR、債務償還年数)

(2) 定性分析(事業性評価):30%

・経営者の資質・経験
・ビジネスモデルの持続可能性
・市場ポジション・競争優位性
・後継者問題・事業承継計画

(3) 取引関係評価:10%

・過去の返済履歴
・メインバンク取引状況
・情報開示の透明性・適時性
・総合取引採算性

(4)審査評価の現実

私が経験した多くの審査会議では、「財務の健全性」と「返済履歴」が最低限のハードルとなっていました。
これらに問題がある場合、いかに事業性が高く評価されても融資承認は困難です。
しかし逆に、これらをクリアできれば、事業の将来性が多少不透明でも「チャレンジ支援」として融資承認されるケースも少なくありません。

4-2. 赤字決算・返済遅延企業の融資獲得戦略

赤字決算または返済遅延の履歴がある企業が融資を獲得するためには、以下の「4C対策」が効果的です。

(1) Compensation(補完)戦略

財務上の弱点を他の強みで補完する
・経営者の個人資産提供(担保・保証)
・グループ会社からの支援確約
・業績回復の客観的根拠提示(受注残高増加等)

(2) Communication(対話)戦略

金融機関との情報共有を強化する
・毎月の試算表・資金繰り表の定期提出
・四半期ごとの経営状況報告会の実施
・業績悪化要因と対策の事前説明

(3) Control(管理)戦略

経営改善に向けた内部管理体制強化をアピール
・外部専門家(税理士・中小企業診断士等)の関与
・管理会計システムの導入
・コスト削減・生産性向上施策の数値化

(4) Commitment(約束)戦略

経営者自身の責任ある行動を示す
・役員報酬の削減
・私財提供による資本増強
・経費削減の率先垂範

(5)【成功事例】融資獲得戦略

IT企業F社(年商1.5億円)は創業5年目で初の赤字(▲1,000万円)となり、さらに一度の返済遅延歴がありました。設備投資資金2,000万円の調達のため、以下の戦略を実行
①Compensation(補完)戦略:経営者所有の不動産(評価額3,000万円)を担保提供
②Communication(対話)戦略:過去6ヶ月の月次試算表で業績回復傾向を示し、今後12ヶ月の資金繰り予測表を提出
③Control(管理)戦略:中小企業診断士を顧問に迎え、月次の経営改善会議を実施(議事録を融資申込時に添付)
④Commitment(約束)戦略:役員報酬を30%削減し、個人資産500万円を増資

結果:メインバンクからは一度断られましたが地元の信用金庫が事業性を評価し、希望額の融資を獲得。
特に「経営者の私財提供」と「外部専門家の関与」が決め手となりました。

4-3. 融資申込前の事前準備と審査通過のためのチェックリスト
(1) 融資申込前の自己診断項目

以下の項目について事前に自社評価を行い、対策を講じることが重要です。
①財務健全性指標:DSCR、債務償還年数、自己資本比率
②資金繰り状況:手元流動性、入金予定、支払予定
③事業計画の実現可能性:売上・利益計画の根拠、市場環境分析、競合状況
④担保・保証の提供可能性:不動産評価額、動産(機械設備等)、個人保証の範囲
⑤取引状況:メインバンク取引の集中度、信用保証協会の保証枠残高

⑥チェックポイント
審査担当者として特に注目していたのは「数字の裏付け」です。

「売上が2割増加する」という計画を見る際、「なぜ2割なのか」「どの顧客からどのように増加するのか」が具体的に説明できるかどうかで信頼性の判断が大きく変わります。

申込前に各項目の根拠を明確に準備しておきましょう。

(2) 融資審査通過のための提出書類準備チェックリスト

審査通過率を高めるために、以下の書類を入念に準備しましょう。特に赤字決算や返済遅延がある場合、追加書類の質が審査結果を左右します。

①基本書類(すべての融資申込で必要)
・決算書(過去3期分)と勘定科目明細
・試算表(直近月まで)
・資金繰り表(実績と今後12ヶ月計画)
・金融機関取引状況表
・商業登記簿謄本・定款

②審査評価向上書類(可能な限り準備を推奨)
・経営改善計画書(具体的数値目標と達成手段)
・事業計画書(成長戦略と投資計画)
・返済シミュレーション表(自社作成の返済予測)
・業界動向分析資料(自社の市場ポジション)
・主要取引先リスト(販売先・仕入先の企業規模・取引年数)

③補完書類(赤字決算・返済遅延がある場合に必須)
・赤字要因分析と改善策資料
・月次試算表の改善推移グラフ(視覚的に回復傾向を示す)
・資産売却計画書(遊休資産等がある場合)
・固定費削減計画と実績
・借入金返済計画書(全行まとめた返済予定表)

(3)融資審査書類の充実で審査期間を短縮した事例

食品加工業G社(年商3億円)は設備投資のため5,000万円の融資を申請。前期赤字(▲600万円)でしたが、以下の書類を徹底準備しました。

①赤字要因を図解した分析資料(原材料高騰の影響額と対応策)
②新規取引先3社の基本契約書(年間売上増加効果:8,000万円)
③製造コスト削減プロジェクト実績資料(月次効果:200万円)
④設備投資による生産性向上計画(投資回収期間:3.2年)

通常の審査期間2〜3週間のところ、10営業日程度で融資承認を獲得。
担当審査役からは「必要情報がすべて揃っていたため、追加ヒアリングの手間が省けた」とのコメントがありました。

(4)【実務ポイント】書類作成時の注意点

①「見せ方」の工夫:グラフや表を活用し、改善傾向や将来性を視覚的に訴求
②「根拠」の明確化:数字の出所や計算根拠を明示(「なぜその数字なのか」が説明できる)
③「誠実さ」の表現:リスク要因も正直に記載し、その対策を提示
④「専門性」の表現:業界特有の知識や専門用語を適切に使用し、事業への理解度をアピール

5. まとめ:金融機関との長期的関係構築のポイント

銀行で15年以上、中小企業向け融資業務に携わってきた経験、また、事業を運営してきた経験から、中小企業経営者の皆様に伝えたい重要ポイントをまとめます。

5-1. 融資審査の本質を理解する

融資審査の本質は「返済可能性の見極め」と「リスクの許容度判断」です。
銀行員は基本的に「貸したい」と思っています。
しかし、預金者からお預かりしたお金を運用する責任があるため返済の確実性を重視せざるを得ません。

審査担当者の目線で最も評価されるのは、以下の3点です。

(1)誠実な情報開示:良い情報も悪い情報も隠さず伝える姿勢
(2)具体的な改善行動:問題を認識し、既に対策に着手している証拠
(3)数字への責任感:提示した計画数字に対する強いコミットメント

5-2. 赤字・遅延があっても資金調達を成功させるための5つの鉄則

(1)先手を打つ
問題が表面化する前に相談することで金融機関の信頼を獲得できます。赤字決算が見込まれる時点、資金繰りが厳しくなりそうな兆候があった時点で、率直に相談しましょう。

(2)透明性を高める
月次試算表の定期提出、四半期ごとの経営状況報告など定期的なコミュニケーションを心がけましょう。情報の非対称性を減らすことが信頼構築の近道です。

(3)具体的な数字で語る
「良くなる」ではなく「いつ」「どれくらい」「なぜ」良くなるのかを具体的に説明しましょう。定性的な説明より定量的な説明の方が説得力があります。

(4)改善の「証拠」を示す
経営改善は「言葉」ではなく「行動」で示すことが重要です。コスト削減、不採算事業の整理、役員報酬カットなど、すでに実行している改善策の効果を数字で示しましょう。

(5)複数の選択肢を持つ
メインバンク一行だけに依存せず複数の金融機関と関係を構築しておきましょう。地方銀行、信用金庫、政府系金融機関、など、資金調達先の多様化が経営の安定につながります。

5-3. 最後に:パートナーシップとしての金融機関との関係

金融機関との関係は単なる「貸し手・借り手」ではなく、ビジネスパートナーとして捉えることが重要です。私が経験した「良い取引先」の共通点は、以下の姿勢を持っていました。

(1)定期的な訪問:良いときも悪いときも定期的に足を運ぶ
(2)早期の相談:問題が小さいうちに相談する
(3)本音での対話:建前ではなく、本音で語り合える関係を構築する
(4)感謝の表現:融資だけでなく、様々な支援やアドバイスに感謝を示す

銀行員も一人の人間です。数字だけで判断しているわけではありません。
人間関係があってこその融資判断があることを忘れないでください。
財務や返済に問題があっても、誠実さと行動力で乗り越えられる道は必ず開けます。




※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の状況に応じたアドバイスではありません。
実際の融資相談に際しては、金融機関や専門家への相談をお勧めします。

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