「債務超過」からの逆転資金調達マニュアル!銀行を動かす4つの戦略

「決算書が債務超過になってしまった、銀行が相手にしてくれなくなるかもしれない・・」そんな状況にいる経営者様へ。
銀行からの融資が難しくなるのではないかというご不安は、経営者の方にとって非常に大きなものでしょう。
諦めるのは、まだ早いかもしれません。
債務超過という厳しい状況からでも資金調達の可能性をこじ開けるための4つの戦略を解説します。
銀行員が稟議書に「この会社は再生できる」と書きたくなるシナリオの作り方とは?
この記事は、あなたの会社の未来を繋ぐための、希望の光となるかもしれません。
この記事に関する目次
はじめに:「債務超過=融資NG」は本当か?
中小企業経営者が決算書を見て厳しい状況と感じる瞬間の一つが、自社が「債務超過」に陥ったと知った時です。
債務超過とは、貸借対照表(B/S)の純資産の部がマイナスになっている状態のことをいいます。
平たく言えば、会社の全資産を売り払っても、借金を返しきれない状態を指します。
(1)債務超過とは?
①定義: 会社の負債総額が、資産総額を上回っている状態です。(負債 > 資産)
②銀行が懸念する理由:
・返済能力の懸念:会社の純資産がマイナスであるため、事業がうまくいかなかった場合に、負債を返済する元手がないと判断されます。
・倒産リスク:債務超過が続くと、資金繰りも悪化し、最終的に事業を継続できなくなるリスクが高いと見られます。
・法的な問題:継続企業の前提(ゴーイングコンサーン)に疑義が生じます。
(2)銀行は本当に「相手にしてくれない」のか?
①新規融資: 債務超過の企業への新規融資は、基本的に厳しくなります。銀行は貸倒れリスクを避けるためです。
②既存融資: 即座に融資を打ち切ったり、一括返済を求めたりすることは稀です。銀行にとっても返済が滞るよりは、事業の再生を支援して回収を図る方が望ましいからです。
銀行員にとって「債務超過」は危険な兆候と認識しています。
稟議書にこの一言があれば、審査部の担当者は眉をひそめ「融資不可」の判断を下す可能性が高いです。
なぜなら、追加融資をしても回収できる見込みが低いと機械的に判断されるからです。
しかし、「債務超過だから」という理由だけで融資が謝絶されるわけではありません。
なぜなら、数字の裏にある「ストーリー」を読み解けば、再生の可能性が見える企業が確かに存在するからです。
確かに過去の実績からの融資の可否判断をすることが多いですが、本来、銀行員が本当に見たいのは、過去の悪い決算書ではなく、「なぜそうなったのか」という原因分析と、「これからどうやって立て直すのか」という未来への具体的な計画、そして何より「経営者の覚悟」なのです。
今回は、債務超過というピンチからでも、金融機関を納得させ資金を調達するための「4つの戦略」を記載します。
戦略1:過去と向き合う。「債務超過のストーリー」を構築せよ
融資の相談に来て、ただ「お金を貸してください」では、話になりません。
まず、なぜ債務超過という結果に至ったのか、その原因を経営者自身の言葉で、誠実に、かつ論理的に説明する必要があります。
【銀行員が納得する「やむを得ない理由」の例】
(1)先行投資型
「将来の成長のために大規模な設備投資を行い、その減価償却費が先行して重荷になったが、来期から本格稼働し、売上は〇〇円増加する見込みです。」
(2)外部要因型
「コロナ禍による売上激減(あるいは、急激な円安による原材料費の高騰)という、予測不能な事態が直撃したが、現在は需要も回復しつつあります。」
(3)一過性損失型
「退職金の一括支払いや、不採算事業からの撤退に伴う特別損失を今期で全て計上したため、一時的に債務超過となった。来期からはV字回復を見込んでいます。」
重要なのは、「他責」ではなく「自責」の念を滲ませつつも、それが「将来への布石」や「断ち切るべき膿を出し切った結果」であるという前向きなストーリーを構築することです。
これを明確に説明できるだけで、担当者の心証は「ただのダメな会社」から「苦境に立ち向かう会社」へと変わります。
戦略2:未来を数字で語る。「経営改善計画書」こそ最強の武器
過去の説明が終わったら、次は未来の話です。精神論や根性論は一切不要です。銀行員が求めているのは、具体的で、測定可能で、達成可能なアクションプランが盛り込まれた「経営改善計画書」です。
これこそが、債務超過の企業が資金調達をするための最強の武器です。
この計画書には、最低でも以下の項目を盛り込んでください。
(1)現状分析(SWOT分析など)
自社の強み・弱み、機会・脅威を客観的に分析。
(2)具体的な改善アクションプラン
①売上向上策:新規顧客開拓の具体的手法、客単価アップ策、新商品投入計画など。(例:既存顧客へのクロスセルで売上5%増、Web広告からの新規受注月5件獲得など)
②コスト削減策:不要な固定費の見直し、仕入先の再交渉、業務効率化による残業代削減など。(例:事務所の一部解約で家賃月10万円削減、電力会社の切り替えで電気代5%削減など)
(3)数値計画(3~5年分)
上記アクションプランが、損益計算書(P/L)、貸借対照表(B/S)、資金繰り表(C/F)にどう反映されるかを、具体的な数字で示す。
特に「いつ債務超過を解消できるのか」の目標時期は必ず明記してください。
【事例:金属加工業D社の逆転劇】
D社は、リーマンショックの煽りで債務超過に陥りました。
しかしD社長は、ただ嘆くのではなく、「3年で債務超過を解消する」という詳細な経営改善計画書を作成。
その中身は「不採算だった一般部品加工から撤退し、利益率の高い医療機器向けの精密部品加工に特化する」「そのために、今回の融資で最新の5軸加工機を導入したい」という、具体的で説得力のあるものでした。
銀行員はその本気度と計画の実現性を評価し追加融資を実行。D社は計画通りにV字回復を果たしました。
戦略3:「カネのなる木」を明確に。コア事業の収益力を証明せよ
会社全体としては赤字でも、事業部ごと、あるいは製品ごとに見れば、しっかりと利益を稼ぎ出している「優良事業(カネのなる木)」があるはずです。
経営改善計画書の中で、コア事業が何であり、そこから「どれだけのキャッシュフローが生まれているのか」を明確に示してください。
銀行員は、「不採算事業を大胆にリストラし、稼ぎ頭であるコア事業に経営資源を集中させることで、会社は再生する」というシナリオが大好きです。
会社の中にある「希望の光」を銀行員に見せてください。
それが、融資判断の大きな拠り所となります。
戦略4:経営者の「覚悟」を見せる。聖域なきコストカット
最後の、そして最も重要な戦略が経営者自身の覚悟を行動で示すことです。
会社がこれほどの危機にある中で、経営者が以前と同じ生活水準を維持しているようでは誰も助けてはくれません。
【覚悟を示す具体的な行動】
(1)役員報酬の大幅カット
まずは経営陣が身を切り、痛みを分かち合う姿勢を示す。
(2)私財の提供
経営者個人が所有する不動産を担保として提供する、個人資産を会社に投入(増資)するなど。
「会社と一蓮托生である」という、これ以上ない強力なメッセージになります。
(3)聖域なきコストカットの断行
社長車の売却、不要な保険の解約など、細かいことでも構いません。コスト意識の高さをアピールします。
これらは、単なるポーズではありません。
銀行員が稟議書に「経営者は私財を提供し、役員報酬をカットするなど、並々ならぬ覚悟で経営再建に取り組んでいる」と書けるかどうか。
この一文が、審査部の心を動かす最後のひと押しになるのです。
【まとめ】債務超過は「終わり」ではない「新たな始まり」
債務超過という現実は、あまりにも重く、厳しいものです。
しかし、それは必ずしも「事業の終わり」を意味するものではありません。
むしろ、これまで見て見ぬふりをしてきた問題と本気で向き合い、会社を筋肉質に生まれ変わらせるための「荒療治の始まり」と捉えることもできます。
①過去と向き合い誠実に説明する責任感
②未来を数字で語る緻密な計画性
③自社の強みを見極め集中する決断力
④身銭を切ってでも会社を立て直すという経営者の覚悟
これらの全てを揃え、金融機関に提示することができた時会社に対する評価は180度変わる可能性があります。
一人で抱え込まず、まずはメインバンクの担当者や、信頼できる税理士、中小企業再生支援協議会などの専門機関に相談してください。
会社の再生を、本気で応援してくれるパートナーは必ずいます。
厳しい状況から這い上がり、力強い復活を遂げる。
その逆転劇の主役は、あなた自身なのです。
資金繰りが厳しく、資金調達の準備が必要、自社に合った融資制度を知りたい、
手続きが難しそうで進める自信がないなど
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