追加融資を勝ち取る「最低限の資料」の作り方

「銀行から『ご融資いかがですか?』と電話があったけど、どう対応すれば…」
「急に資金が必要になった。またイチから面倒な手続きをするのか…」
事業が軌道に乗り始めると、このような追加融資の機会や悩みに直面する経営者様は非常に多いです。
実は、既存の取引銀行への追加融資は、たった2つの「最低限の資料」で勝負が決まります。
この記事を読めば、その資料に隠された本当の意味と、銀行を納得させる作り方が分かり、自信を持って交渉に臨めます。
この記事に関する目次
1.なぜ「最低限の資料」で勝負できるのか?
まず、なぜ追加融資は「最低限の資料」で話が進むのでしょうか。
それは、銀行が既にあなたの会社の決算書や過去の取引履歴といった基本情報を把握しているからです。
いわば、あなたの会社の「カルテ」は銀行の手元にある状態なのです。
だからこそ、銀行が知りたいのは「前回の健康診断(決算)から今日まで、会社の体調はどう変化したか」という一点に尽きます。
その最新の健康状態を示すのが、これからお話しする2つの資料なのです。
2.追加融資の成否を分ける「2つの神資料」とその本質
私が融資課長時代、追加融資の稟議を通す際に最も重視していたのは、まさにこの2つの資料から読み取れる「未来の兆候」でした。
資料(1):試算表 – 会社の「今」を語る通信簿
「試算表」と聞くと、税理士が作る難しい書類というイメージがあるかもしれません。
もっと簡単に考えてください。
これは、「決算から現在までの、会社の途中経過の成績表」です。
ここだけの話ですが、銀行員が試算表で本当に見たいのは、過去の数字ではありません。
そこから読み取れる「会社の勢い」と「未来の業績の兆候」です。
①売上は右肩上がりか?
勢いがあれば、将来の返済能力も高いと判断できます。
②急激な赤字は出ていないか?
もし出ていれば、その原因と対策を社長が語れるかが問われます。
③おかしな資産(不明な貸付金など)が増えていないか?
会社の資金が不透明な流れで外に出ていないか、厳しくチェックします。
決算は年に一度ですが、会社の状況は日々刻々と変化します。だからこそ、最新の試算表を提出することは、「私はきちんと自社の経営状態を把握していますよ」という社長の姿勢を示す、何よりのメッセージになるのです。
資料(2):借入返済予定表 – 会社の「信用力」を示す健康診断書
次に重要なのが、全ての金融機関からの借入状況を一覧にした「借入返済予定表」です。
銀行は、あなたの会社だけでなく、他の銀行の動きも非常に気にしています。
銀行員がこの資料で確認する本音のポイントは2つです。
①会社全体の返済負担は重すぎないか?
あなたの会社の利益に対して、借入金の返済総額がどれくらいの割合(返済負担率)なのかを見ています。
このバランスが崩れていると、新たな融資は難しいと判断されます。
②他行への返済は滞っていないか?
もし他行への返済が遅れていれば、「何か問題が起きているのでは?」と赤信号が灯ります。
逆に、全ての返済が順調であれば、それはあなたの会社の信用力を証明する強力な証拠となります。
この借入一覧表と試算表の借入金残高の数字が1円でもズレていると「この会社の経理は信用できない」という致命的なレッテルを貼られかねません。
数字の整合性は絶対に確認してください。
3.【事例で学ぶ】追加融資の明暗を分けた「資料の質」
同じ資料を提出しても、その質と伝え方で結果は天と地ほど変わります。
【成功事例①】年商8,000万円の小売業A社
| 融資希望額 | 運転資金500万円 |
| 結果 | 希望額満額での追加融資に成功! |
| 【評価されたポイント】 | ①最新の試算表を提出し、売上が前年同期比で15%伸びていることを示した。 |
| ②事業計画書としてA4一枚の簡単な資料を添付。「売上増に伴い、人気商品の仕入資金が3ヶ月後に不足する」と資金繰りの具体的な見通しを数字で説明した。 | |
| ③ 借入一覧表も完璧で、会社の財務状況の透明性をアピールできた。 |
《融資の視点》
A社の勝因は、試算表で示された「好調な業績」という事実に加え「なぜ今お金が必要なのか」を未来の資金繰りと結びつけて論理的に説明した点です。
これにより、融資担当者は「これは前向きな投資だ」と確信し、自信を持って稟議書を書くことができました。
【成功事例②】年商1.5億円のWebサービス会社B社
| 融資希望額 | 設備資金1,000万円 |
| 状況 | 銀行担当者からの「何か資金ニーズはありませんか?」という打診がきっかけ |
| 結果 | 低金利での追加融資を獲得 |
| 【評価されたポイント】 | ①打診に対し「実は来期に向けたサーバー増強を検討しています」と即答。 |
| ②翌日には、最新の試算表と借入一覧表、そしてサーバー会社からの見積書を揃えて提出。迅速な対応が本気度を示した。 |
《融資の視点》
銀行からの打診はチャンスですが、準備がなければ活かせません。
B社の社長は常に自社の課題と未来の投資計画を考えていたため、すぐに行動できました。
「いつでも来い」という姿勢が、銀行からの信頼をさらに高めたのです。
【失敗事例】年商5,000万円の建設業C社
| 融資希望額 | 運転資金300万円 |
| 結果 | 追加融資を謝絶(否決) |
| 【問題視されたポイント】 | ①提出した試算表が3ヶ月も前の古いもので、かつ赤字だった。 |
| ②赤字の理由を聞いても、社長は「これから良くなるから大丈夫」と根拠のない精神論を繰り返すだけだった。 | |
| ③ 借入一覧表の提出を渋り、全体の借入状況が不透明だった。 |
《融資の視点》
C社の失敗は、追加融資を安易に考えていた点にあります。
既存取引があるからといって、審査が甘くなるわけではありません。
最新の経営状況を説明できず全体の財務状況を開示できない会社に、銀行が「追い貸し」をすることはありません。
信頼関係を自ら壊してしまった典型例です。
4.追加融資申し込み前チェックリスト
| カテゴリ | チェック項目 | チェック |
| 資料準備 | ①最新(前月分まで)の試算表は用意したか? | □ |
| ②全ての借入を網羅した「借入返済予定表」は用意したか? | □ | |
| ③試算表の借入残高と、借入返済予定表の合計額は一致しているか? | □ | |
| 面談準備 | ①なぜお金が必要か(資金使途)を1分で簡潔に説明できるか? | □ |
| ②その資金によって、会社の業績がどう良くなるのかを語れるか? | □ | |
| ③最近の業績について、好調な点と課題点を自分の言葉で説明できるか? | □ |
5.想定問答集 Q&A
Q1. 「最近の近の業績はいかがですか?(試算表を見ながら)」
【NG例】
「まあまあですね」「税理士に聞いてください」
【OK例】
「はい、ご覧の通り売上は順調に推移しています。特に〇〇という商品が好調で、利益率の改善にも繋がっています。一方で、課題は△△で、現在その対策を検討中です。」
【ポイント】
好調な点を具体的にアピールしつつ、課題も隠さず、対策を考えている姿勢を見せることが信頼に繋がります。
Q2. 「このご資金で、具体的に何をされるのですか?」
【NG例】
「手元にないと不安なので…」「色々です」
【OK例】
「〇〇社からの大型受注に対応するため、3ヶ月分の先行仕入資金として活用させていただきます。この受注により、売上が前期比で10%増加する見込みです。」
【ポイント】
融資を「未来への投資」として位置づけ、その結果生まれるリターン(売上増など)を明確に示しましょう。
6.まとめ:日頃の準備が、いざという時の力になる
最後に、追加融資を成功させるための要点をまとめます。
(1)追加融資の成否は「試算表」と「借入返済予定表」という最低限の資料で決まります。
(2)試算表は、会社の「今の勢い」と「未来の兆候」を示すための重要なコミュニケーションツールです。
(3)借入返済予定表は、会社全体の信用力を示す健康診断書。数字の正確性が命です。
(4)「返済した分だけ借りられる」という安易な考えは危険。業績が悪ければ追加融資は受けられません。
(5)銀行からの融資の打診はチャンスですが、それに応えられる日頃からの準備が不可欠です。
(5)資料をただ出すだけでなく、そこに込められたストーリーを自分の言葉で語れる社長が、融資を勝ち取ります。
追加融資は、あなたの会社が成長している証です。
そのチャンスを最大限に活かすためにも、日頃から自社の数字と向き合い、未来を語る準備をしておきましょう。
その姿勢が、銀行との揺るぎない信頼関係を築くのです。
7.次のアクションプラン
この記事を読んで「準備すべきことが分かった!」と感じた社長様。
早速、今日から以下の3つのアクションを始めてみましょう。
(1)顧問税理士に連絡し「銀行提出用に、前月までの試算表をください」と依頼する。
(2)全ての金融機関の返済予定表を集め、借入先、当初借入額、残高、金利などを一覧にまとめた「借入返済予定表」を作成する。
(3)作成した2つの資料を眺め「なぜ今お金が必要で、それによって会社がどう良くなるのか」をA4一枚の紙に書き出してみる。
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