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【融資マニュアル】決算書の売上債権回転期間で金融機関は何を見ている?

このマニュアルでは、中小企業経営者の方向けに、金融機関が融資判断を行う際に重視する「売上債権回転期間」について解説します。

特に、売上債権回転期間が長くなってしまう原因とその対策について、具体的な事例を交えながら解説していきます。

この記事に関する目次

1. 【資金繰り改善】売上債権回転期間を理解して融資を有利に!

「売上債権回転期間」って聞いたことはありますか?
これは、企業が商品やサービスを販売してから、実際にお金が入ってくるまでの期間を示す重要な指標です。
金融機関はこの期間を特に注目しており、融資の可否や金利にも影響を与える可能性があります。

(1)売上債権回転期間とは?

簡単に言うと、 「売掛金」を回収するまでにかかる平均的な期間です。(計算式は以下の通り)

計算式:売上債権回転期間(月数) = 売上債権 ÷ (売上高 ÷ 12ヶ月)

・売上債権:貸借対照表の「売掛金」と「受取手形」の合計額(まだ回収できていない売上代金のことです。)
・売上高:1年間の売上総額

【例】A社の売上債権が1,200万円、売上高が1億2千万円の場合

売上債権回転期間 = 1,200万円 ÷ (1億2千万円 ÷ 12ヶ月) =1ヶ月
A社は、平均して1ヶ月で売掛金を回収できていることになります。

一般的に、売上債権回転期間は1ヶ月~2ヶ月以内が目安とされています。

(2) 回転期間が長いとどうなる?金融機関の目線

回転期間が長くなればなるほど、資金回収が遅れていると判断され、金融機関は以下のように考えます。

①資金繰りが悪化しているのでは?
②売掛金のうち、回収できない金額が発生するリスクが高いのでは?
③ひょっとして、粉飾決算の可能性もある?

結果として、融資に消極的になったり、金利がアップしたりする可能性があります。

【例】決算書提出時や融資面談で金融機関の担当者から
「御社の売上債権回転期間は3ヶ月ですね。業界平均と比べて少し長めですが、何か理由があるのでしょうか?」
「売掛金の内訳を、得意先別、経過月数別に見せていただけますか?」
聞かれる可能性があります。
このように、 売上債権回転期間が長い場合は、その理由や内訳について具体的に説明できるようにしておく必要があります。

(3)まとめ

売上債権回転期間は、企業の資金繰り状況を判断する上で重要な指標です。
金融機関との良好な関係を築き、スムーズな融資につなげるためにも、日頃から回転期間を意識し、適切な管理体制を整えていきましょう。

2. 要注意!売上債権回転期間が長い会社はこう見られている!

「うちの会社は大丈夫!だって決算書では黒字だし…」

ちょっと待ってください!
実は、決算書上の黒字と、会社の健全性は必ずしも一致しないんです。
売上債権回転期間が長い場合、金融機関はその裏に隠されたリスクを見抜こうとします。

(1)なぜ、売上債権回転期間が長くなるのか?

ズバリ、 見かけ上の黒字を作り出している可能性があるからです。

多くの経営者は、金融機関に対して「業績の良い会社」と思われたいと考えます。
しかし、業績が振るわない時でも、なんとか黒字に見せかけようと、売上を実際よりも多く計上してしまうケースがあるのです。

これが「売上高の過大計上」です。

【例】架空の売上計上

B社は業績不振が続いていましたが、どうしても融資を受けなければなりませんでした。
そこで、実際には存在しない取引をでっち上げ、売上を水増ししてしまいました。

このような粉飾決算を行うと、一時的には売上高が上がり、売上債権回転期間も短くなります。
しかし、実際にはお金が入ってこないため、いずれ資金繰りが行き詰まり、金融機関からの信用を失墜させる結果となります。

(2)決算時だけでなく、期中融資でも同様のケースが・・・

売上高の過大計上は、決算時だけでなく、期中に融資を受けたい時にも行われることがあります。

【例】無理な前倒し請求

C社は、新しい機械を導入するために期中融資を申し込むことになりました。
しかし、直近の業績が良くなかったため、なんとかして融資を勝ち取りたいと考えました。
そこで、本来は翌月請求するはずの売掛金を、無理に当月中に請求することで、売上高を水増ししたのです。

このような行為は、短期的には融資を受けやすくするかもしれませんが、長期的に見ると、金融機関との信頼関係を損ない、最終的には会社にとって大きな損失をもたらす可能性があります。

(3)まとめ

売上債権回転期間が長い会社は、金融機関から「資金繰りに問題を抱えている」「粉飾決算の可能性もある」と疑いの目を向けられる可能性があります。

健全な経営を続けていくためには、売上高の過大計上といった行為に頼ることなく、適正な決算を行い、金融機関との信頼関係を築くことが大切です。

3.【架空計上は百害あって一利なし!】その場しのぎが会社を壊す

「今期の業績がどうしても足りない…」「このままだと融資を受けられないかもしれない…」

そんな焦りから、「架空の売上」を計上してしまう経営者が後を絶ちません。しかし、それは非常に危険な行為です。
架空計上は、会社を破滅に導く「時限爆弾」になりかねないことを、しっかりと認識しておきましょう。

(1)売上の架空計上とは?

実際には商品を販売したり、サービスを提供したりしていないにも関わらず、あたかも売上があったかのように偽って決算書に計上することです。

【例】架空の請求書を作成する

D社は、資金繰りが悪化し、銀行から追加融資を受けられなければ倒産する危機に陥っていました。
そこで、実際には取引のない会社への請求書を偽造し、架空の売上を計上することで、黒字に見せかけようとしました。

(2)なぜ、架空計上をしてしまうのか?

多くの場合、

①業績不振を隠蔽し、金融機関から融資を引き出すため
②対外的な信用を保つため

などの目的で行われます。

(3)架空計上のリスク
①資金繰りの悪化

架空の売上を計上しても、実際にはお金が入ってくるわけではありません。
むしろ、架空の売上によって税金が増えたり、後で発覚した場合の追徴課税や罰金などが発生したりして、さらに資金繰りを悪化させる可能性があります。

②金融機関からの信用失墜

架空計上が発覚した場合、金融機関からの信用は失墜します。
今後、融資を受けることは難しくなり、会社の存続自体が危ぶまれる事態になりかねません。

③刑事罰の可能性

悪質な架空計上は、詐欺罪や脱税に問われ、刑事罰が科される可能性もあります。

(4)まとめ

架空計上は、一時的に状況を改善できたとしても、長期的に見れば、会社にとって大きなリスクが伴います。
目先の利益にとらわれず、健全な経営を心がけましょう。

4.【要注意!】売上前倒し計上は自転車操業!?そのリスクと対策

「来期の売上を少し早めに計上して、今期の業績を良く見せたい…」

こんな誘惑に駆られることはありませんか? それが「売上高の前倒し計上」です。
架空計上よりはマシ…なんて思っていませんか? 実は、売上高の前倒し計上も、会社を危険な道へと導く可能性があります。

(1)売上高の前倒し計上とは?

本来計上すべき事業年度よりも前に、売上を計上することです。

【例】商品の発送前に売上計上

E社は、3月決算の会社です。3月31日に得意先に商品を発送し、4月5日に納品、入金は4月末の予定です。しかし、今期の業績を良く見せるため、発送前に売上を計上しました。

このように、実際には売上発生のタイミングではないにも関わらず、意図的に売上計上時期を早める行為を「売上高の前倒し計上」と言います。

(2)売上高の前倒し計上のリスク
①自転車操業に陥る

前倒し計上を繰り返すと、実際には売上は立っていないのに、利益だけが計上された状態になります。
これを続けると、資金繰りが常に逼迫し、自転車操業の状態に陥ってしまいます。

②対外的な信用を失墜させる

金融機関や投資家は、会社の業績を分析する際に、売上計上時期の妥当性についても厳しくチェックしています。
もし、前倒し計上が発覚した場合、「粉飾決算」とみなされ、対外的な信用を失墜させるだけでなく、法的責任を問われる可能性もあります。

③社内のモラル低下

売上高の前倒し計上は、会社の不正行為に繋がります。
それが常態化すると、社内のコンプライアンス意識が低下し、より悪質な不正が横行するリスクも孕んでいます。

(3)まとめ

売上高の前倒し計上は、短期的には業績を良く見せる効果がありますが、長期的には会社にとって大きなリスクとなります。
健全な経営を維持するためには、安易な売上操作に頼ることなく、適正な会計処理を行うことが重要です。

もし、業績不振に悩んでいる場合は、売上操作に逃げるのではなく、抜本的な経営改善に取り組むことが大切です。
・新規顧客の開拓
・既存顧客との取引拡大
・コスト削減
・新商品・サービスの開発
など、健全な経営努力を積み重ねることで、長期的な安定成長を目指しましょう。

5.【その不良債権、見て見ぬふりをしていませんか?】 資金繰りを圧迫する「隠れ負債」問題

「あの取引先の経営状態、最近ちょっと怪しいな…」

そう感じながらも、見て見ぬふりをしてしまっていませんか?
不良債権は、企業の資金繰りを悪化させる大きな要因となります。早急な対応が、会社の未来を守ります。

(1)不良債権とは?

回収が困難、もしくは不可能と考えられる債権のことです。
具体的には、
・取引先の倒産・破綻
・取引先の資金繰り悪化による支払いの遅延・滞納
・自然災害や事故などによる債務者の事業継続困難
などが原因で発生します。

(2)不良債権問題を放置することの危険性

不良債権を放置すると、以下のような悪影響が生じます。

①資金繰りの悪化:回収が見込めない売掛金は、会社の資金を圧迫し、新たな投資や事業展開の足かせとなります。
②信用力の低下:多額の不良債権を抱えていることが発覚すると、金融機関からの信用を失い、融資が受けにくくなる可能性があります。
③業績悪化:不良債権を処理するために多額の損失を計上せざるを得ない場合もあり、会社の業績悪化に繋がります。

(3)見逃し厳禁!こんな兆候は要注意!

①売掛金の回収が長期化する
②取引先から支払いの延期の申し入れが続く
③取引先の経営状況が悪化しているという情報が入る
④取引先との連絡が途絶えがちになる

これらの兆候が見られる場合は、早急に状況を把握し、適切な対策を講じる必要があります。

(4)まとめ:早期発見・早期対応がカギ

不良債権は、早期に発見し、適切な対応をとることが重要です。問題を先延ばしにすればするほど、解決は困難になります。

6.【資金繰りの落とし穴!】支払サイトの長期化がもたらすリスクとは?

「売上は上がっているのに、なぜか資金繰りが楽にならない…」

こんな悩みを抱えていませんか?
その原因の一つに「支払サイトの長期化」が潜んでいるかもしれません。

(1)支払サイトとは?

商品を納入してから、実際に代金が支払われるまでの期間のことです。
一般的に「月末締め翌月末払い」の場合、支払サイトは30日となります。

しかし、業界や取引先によっては、
・「2ヶ月後払い」
・「完成後払い」
・「手形払い」
など、支払サイトが長期化するケースも少なくありません。

(2)支払サイト長期化のリスク
①資金繰りの悪化

支払サイトが長くなればなるほど、売上代金の回収が遅れるため、資金繰りが悪化する可能性があります。
特に、短期借入金に頼っている場合は、支払いが滞るリスクが高まります。

【例】建設業のF社の場合

F社は、公共工事を中心に請け負っています。しかし、支払サイトが6ヶ月と長く、資金繰りに苦戦していました。
受注残高は潤沢であるにも関わらず、資金不足のため、従業員の給料の支払いが遅延する事態に陥ってしまいました。

②機会損失

資金繰りに余裕がない状態では、新規設備投資や事業拡大などの成長機会を逃してしまう可能性があります。

③倒産リスクの上昇

支払サイトの長期化によって資金繰りが悪化し、最悪の場合、倒産に追い込まれるリスクも考えられます。

(3)支払サイト長期化への対策
【対策1】資金繰り計画の見直し

・支払サイトの長期化を見据え、余裕を持った資金繰り計画を立てる。
・必要に応じて、短期借入枠の拡大を検討する。
・案件引当融資等、金融機関に相談しておく。

【対策2】取引先との交渉

・支払サイトの短縮を交渉する。
・前金や分割払いの導入を検討する。

【対策3】ファクタリングの活用

・売掛債権をファクタリング会社に売却することで、早期に資金調達を行う。


(4)まとめ

支払サイトの長期化は、企業の資金繰りを圧迫する大きな要因となります。
資金繰り計画の見直しや請求業務の効率化など、早めに対策を講じるようにしましょう。

4.金融機関の目線:決算書や試算表でチェックされるポイント

金融機関は、売上債権回転期間の長さに加え、以下の点もチェックしています。

①売上債権の内訳(得意先別、債権年齢別など)
②回収状況(延滞債権の有無、回収方法など)
③売上計上基準(出荷基準、検収基準など)
④業界の平均的な売上債権回転期間との比較
⑤前期との比較

これらの情報を総合的に判断し、企業の資金繰りリスクを評価します。

5.まとめ:健全な資金繰りのために

売上債権回転期間は、企業の資金繰りの健全性を示す重要な指標です。
金融機関からの融資を受けるためには、売上債権回転期間を適切な範囲に抑え、健全な資金繰りを維持することが不可欠です。

そのためにも、
①売上計上基準の見直し
②請求業務の効率化
③支払条件の見直し
など、売上債権回転期間を短縮するための対策を積極的に行いましょう。



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