「休眠会社を活用して融資は可能ですか？」と質問が時々ありますが、結論から申し上げると、難しいです。

そもそも休眠会社の場合、銀行の融資対象企業として
①休眠期間中の売上がない、
②休眠していたので事業実態が見えない、
③休眠会社に繰越損失があるなど融資対象の企業としては難しい
④休眠会社で事業を行う理由を銀行が見いだせない
ケースが多いです。

融資を受けようとすると、過去に遡って決算書の提出を金融機関から求められる場合があります。
免許や許認可を受けている場合には、既に返納していたり、取消し処分になっている場合もあります。
そのため、基本的には銀行から融資を受けたいのであれば、休眠会社は活用されないのが賢明でしょう。

休眠会社が銀行融資を受ける際には、いくつかの注意点があります。新規設立の会社と比較して、審査が厳しくなる可能性があるため、事前にしっかりと準備しておくことが重要です。

1.銀行が重視するポイント

（1）休眠期間中の理由と期間
事業停止の理由が明確で、再開の見込みが十分にあるか。

休眠期間が長すぎる場合は、信用力が低下していると判断される可能性があります。

②財務状況の透明性
休眠期間中の財務状況が明確に示されているか。

過去の債務や簿外債務がないかなど、財務内容の健全性が問われます。

③事業計画の具体性
将来の事業計画が具体的に示されており、収益性を確保できる見込みがあるか。

事業計画の現実性と実行可能性が重視されます。

④経営者の経験と能力
経営者の経験や能力が、事業の成功に結びつくか。経営者の実績や専門性も評価の対象となります。

⑤担保や保証人の有無
融資を受ける際には、担保や保証人を用意することが求められる場合があります。

2.融資を受けるための対策

①透明性の高い情報開示
休眠期間中の経緯や財務状況などを、銀行に正確かつ詳細に開示することが重要です。
②事業計画の具体性
将来の事業計画を具体的に示し、銀行に事業の成長性と収益性をアピールする必要があります。
③担保や保証人の用意
融資を受ける際には、担保や保証人を用意する必要がある場合があります。
④専門家への相談
税理士や弁護士などの専門家へ相談し、適切な手続きを進めることが大切です。

3.休眠期間中の理由が重視される理由

①事業の中断理由

景気変動、業績悪化など、一時的な困難により事業を中断していた場合は、再建の可能性が高いと判断されることがあります。

②構造的な問題

業種の衰退、競争激化など、構造的な問題により事業を断念した場合は、再建が難しいと判断される可能性があります。

③経営者の判断

経営者の個人的な事情により事業を中断していた場合は、経営者の能力や意欲に疑問を持たれる可能性があります。

4.休眠期間が重視される理由

①休眠期間が長いほど、会社の信用力は低下すると判断される傾向があります。

②長期間事業活動を行っていない場合は、取引先や従業員との関係が希薄になっている可能性も考えられます。

③休眠期間中は、売上や利益が発生しないため、財務状況が悪化している可能性があります。

5.銀行が求める情報

銀行は、休眠期間中の理由と期間について、以下の情報を求めてきます。

①休眠期間中の詳細な経緯

事業を中断した時期、理由、その後の状況など

②財務状況

休眠期間中の財務諸表、債務状況など

③事業再開計画

事業再開の時期、目標、具体的な事業計画など

④経営者の経験と能力

経営者の経歴、業績、事業に対する意欲など